2007年9月16日 ~松島から鹿島台まで~

今日は、2週間ぶりの散歩。8月26日の続きで、松島町高城から大崎市鹿島台まで歩く予定だ。
当日の降水確率が高かったので気を揉んだが、とりあえず、午前中は雨は降らないとのこと。
霧雨でも小雨でも、今日は雨が降っては困る。今日の道中では石巻街道をできる限りたどろうかと考えている。が、地図で見る限り、石巻街道とおぼしき道路は細い線。舗装状況もどのようになっているのだか皆目見当がつかない。こういう道路を歩く日は、晴天に限る。幸い今朝は晴れ。しかも9月中旬とは思えないほどの暑さだ。
いつものように桑折駅発6時29分の東北本線下り普通列車に乗り、定刻8時09分、松島駅着。定期券の乗り越し精算やらトイレに行ったりやらで散歩のスタートはその2分後の8時11分であった。
松島駅前から10分近くの間、仙石線高城町駅入口までの間は、8月26日に歩いたコースと全く同じ。町役場や銀行の支店などが軒を連ねるけれどどこかパッとしない商店街である。が、高城町駅へと至る道路が分岐した先から300メートルほどは、様相がガラリと異なる。電柱がオレンジ色に塗られており、歩道もピンク色のカラー舗装。軒を連ねる商店は相変わらずパッとしないが、商店街全体を俯瞰すると一瞬華やかな雰囲気になる。
カラー電柱が尽きると、いよいよ石巻街道の本番。今歩いている道は国道45号線の旧道でもありそのまま道なりに進むと国道に合流してしまうが石巻街道は商店街の北端で右に分岐している。沿道に松島高校があるせいか、しばらくは住宅街が続く。松島高校の前には石巻街道の案内板が設置されていた。これによると、松島は日本橋からちょうど百里の位置にあたるという。
住宅が尽きるとにわかに登り勾配になり、沿道の景観も雑木林となる。しばらく歩くと左手に運動公園が見え久々に人の気配を感じるものの、今度は路面の舗装が尽きてダートとなってしまう。なかなか手強い街道だ。10分ほど歩くと集落が見え舗装も復活するものの集落の先はまたダート。しかも雑木林はこれまで以上に生い茂っていて太陽の光が殆ど届かず、路面もどことなく湿っているという状況。松島駅を出てからまだ30分ほどしか経っていないのに、山奥の様相すら呈してきた。そんな雰囲気をブチ壊しにするかのように国道45号線そして三陸自動車道が登場する場面もあるものの、その先はまた雑木林の中の細道。それにしても、これほど細道が続くのも珍しい。
沿道の雑木林が尽き田畑が現れ、十文字という集落に入る。ここで街道はT字路になっており、右折すると石巻街道、左折すると大崎市松山に至る松山道となる。今回の目的地は大崎市鹿島台なので、石巻街道とはここでお別れ。名残惜しい気持ちで左折する。十文字から品井沼駅近辺までは、丘陵と収穫間際の稲穂が広がる田んぼとが入り交じる風景の中を歩く。なんだか二本松市東部を歩いているような感覚に陥る。
品井沼駅周辺の住宅地を通り過ぎると、長城のような堤防が目の前に広がる。吉田川の堤防だ。吉田川はそれほど大きくない川だが、この辺りは水害の多発地帯であるため堤防も大きくなったのであろう。堤防の上から川を見ると、河川敷のスペースも他の川より広めにとってある。
吉田川といえば、川同士が立体交差するサイフォンがあることで、地元では知られている。サイフォンは国道346号線に架かる品井沼大橋の少し西側にあり、吉田川の下を鶴田川(高城川)が通る形になっている。もっとも、河川の立体交差は道路や鉄道の立体交差とは違い、一見してもそれとはわからない。
が、サイフォンの効果は絶大であり、それまで小河川が入り組み大雨の度に洪水、冠水を繰り返したきた品井沼は、立派な水田地帯へと生まれ変わった。品井沼大橋から先、国道346号線はしばらくの間吉田川の堤防に沿って走るが、そこから見える田園風景は壮観そのもの。はるか先まで稲穂、稲穂、稲穂。米どころの宮城県を象徴するかのような光景だ。
国道をしばらく歩くと、松島町から大崎市鹿島台地区に入る。大崎市は昨年(2006年)3月に古川市鹿島台町など1市6町が大同合併して成立した市で、面積796平方キロと仙台市(783平方キロ)を上回り、山形、秋田の両県と境を接するビッグサイズの都市だ。鹿島台はその南東端に位置するが、大崎市の中心である古川よりも仙台市との結びつきが強く、農村地帯の大崎市としては珍しく、ベッドタウンとしてもそれなりの発展をみた地域だ。
その様子は、鹿島台駅に近づくにつれて顕著になってくる。国道沿いの家々は比較的新しいものが多い。ただ、大規模な宅地開発は行われなかったようで、田んぼの中に数軒の宅地があったり、あるいは宅地の中に少しだけ田んぼが残っていたりといったスプロール現象が見られる。
宅地の整備に限らず、道路状況もまた、インフラ整備があまり進んでいない様子だ。今歩いている国道346号線は鹿島台の北に位置する涌谷町や登米市仙台市との最短ルートであり三桁国道の割には交通量が多いのだが、歩道の整備状況があまり芳しくない。現在バイパスが整備中とも聞くが早期完成を希望したい。
目標の鹿島台駅には、10時41分に到着した。松島駅を出てから2時間半ジャスト。小ぢんまりとした駅舎だったが、どういう訳か構内には制服姿の高校生が多く集っており、賑わいを見せていた。