2010年5月9日 ~長町三昧~

今日は久々の日曜休日。が、散歩には出掛けない。
お昼過ぎから夕方にかけて、仙台市太白区長町まで家族4人で出掛けていたからだ。
「仙台」ではなくその一地域に過ぎない「長町」であるのがミソ。
都心でも観光地でもなく親戚縁者も住んでいないただの街で長時間過ごしたのは、ひょっとしたら初めての経験だったかもしれない。
 
昼食を早めに摂り、桑折駅発12時13分の下り電車に乗車。この電車は白石止まりだがすぐに接続列車があり、13時20分には長町駅に着いてしまう。時間にして1時間ちょっと、駅数にして15。他県だから気づきにくい面があるかと思うが、桑折からだと郡山に行くのも仙台に行くのも距離的にも時間的にも大して変わらない。
長町駅を出、駅前からまっすぐに西へと延びる道路を歩く。4車線の幅広い道路でクルマの通行量は以前から多かったが、歩行者の姿も結構多いのが目に付いた。大げさではなく、福島の駅前通りよりも多いかもしれない。少なくとも10年前は、ここまで歩行者が多くはなかったと思う。
歩行者の行先は、大体想像がつく。長町駅から600メートルほど西にあるザ・モール仙台長町である。1997年のオープンだからもう長町の「顔」と言っていいだろう。このショッピングセンターは徐々に拡大の一途をたどっているのが特徴で、2000年には敷地北側にシネコンを併設したPart2が、昨年10月には敷地西側に三井ショッピングパークララガーデン長町が、相次いでオープンしている。Part2には足を運んだことが何度かあったもののララガーデン長町は未体験だったので、まずはこちらに入る。と言っても、特に何かを買う予定はなく、館内の飲食店でとりあえずはお茶でも…という魂胆であった。
店内を一通り回り、3階にあるサンマルクカフェに入る。スイーツ好きの妻と下の子はロールケーキを頼んだが、私と上の子はサンドウィッチを注文。男女で見事に嗜好が割れる。座れる席がないか店内を見渡すと、4人まとめて座れる席は幼児向けの遊具が設けられたキッズルームしかなかった。あまり気にしない表情の下の子に対し、露骨に嫌な顔をする上の子。ここでも対照的だ。
食事を終え、お互いの3階同士を結ぶ連絡通路を通って、ザ・モール仙台長町へ。ここでは来訪経験がそれなりにある(?)私が、ディズニーストアへと妻子を案内する。ディズニーストアは、東北地方では、ここと仙台の一番町、あと郡山のうすいの6階にしかない。福島市にないのがちょっと悔しい。
ここでも、喜んでいたのは妻と下の子であった。上の子は所在なさげに店内をウロウロ。ディズニーグッズには、男の子向けのものが少ないような気がする。そこで趣向を変えて、またまた連絡通路を通ってPart2の3階にあるグッズショップ・ぽとらっちへ。マニアックなことに、ここに陳列されていた宮城県の観光キャラクター・むすび丸のグッズに上の子、下の子双方興味を抱いていた模様。むすび丸もまたいわゆるゆるキャラのひとつだが、こうしたキャラクターの方が、ディズニーのようなしっかりしたキャラクターよりも多くの人の心をつかみやすいのかもしれない。
この他にも、ぽとらっちに隣接している島村楽器の店内に陳列してあった電子ピアノをいじくったりと、子供達はザ・モール長町にハマってしまった模様。近場では見られないテナントが揃っているから当然といえば当然だが、仙台経済圏という枠組みで見た場合、ザ・モール仙台長町界隈は南の名取市にあるイオンモール名取エアリと競合関係にあり、福島方面からの集客も、特にクルマ利用層に関しては、名取で堰き止められてしまうようだ。
こんなことを書き連ねていくと、「仙台の植民地」「仙台市福島区」と揶揄されがちな典型的福島県北住民そのもののような感じになってしまうが、特に買回り品については福島県内で探すよりも仙台まで出た方がいいものを見つけやすいのもまた現実である。というか、特段の大都市を持たない福島県政令指定都市の仙台と同じ土俵で勝負しようという考えがどだい無謀だし、福島県は仙台にないものを見出し、磨きをかけてその分野で仙台から客を呼ぶ、金を落とす、ということにもっと力を入れれば良いと思う。上手く表現できないけれど、仙台とは「競合・対立」ではなく「相互依存」を目指すべきではなかろうか。もちろん仙台にも、都市としての魅力をもっと磨いて欲しいところだ。我々福島県民のためにも。
ついつい話が脱線してしまったが、とにかく、ザ・モール仙台長町近辺で長居してしまった。が、今日のメインイベントはここではない。我々はザ・モール仙台長町を辞すと、その直下にある地下鉄長町南駅から泉中央方面への電車に乗った。仙台の地下鉄に乗ったのは上の子は赤ん坊の時以来、下の子は初めてだが、一ヶ月半前に札幌の地下鉄に乗っているから、車両を見ても特に驚いた表情は見せない。
長町駅を過ぎ、次の長町一丁目駅で下車。実は、この駅の近くでカナダのパフォーマンス集団であるシルク・ドゥ・ソレイユが「コルテオ」を上演しており、それを観に行くのが、今日のメインイベントなのだ。ドーム型の大きいテントが印象的な会場には午後3時15分頃に到着。開演時刻は午後4時だからまだ間があるが、既にたくさんのお客さんでごった返している。
席に座り、「まだ始まらないの?」としびれを切らした様子の子供達をなだめながら待つこと数十分。ようやく、「コルテオ」が幕を開けた。
現在も上演中なので内容については割愛するが ~というか、上手く書けそうにない~ 個人的には「人間って、ここまで身体を動かすことができるんだ!」という一種の感動を覚えた。同じ思いに駆られた妻は涙さえ浮かべていたし、子供達もやんやの大喝采。ネットでの評価を調べてみると「ドラリオン」など過去の上演作品に比べると物足りないという声もあるようだが、何せこちらはサーカスもオペラもミュージカルも大道芸もまともに観たことがないズブの素人。何かに比べてという評価などできるはずもなく、ただただ、演者のパフォーマンスに喝采を送るばかりであった。
閉演後に外に出ると、既に薄暮となっていた。サンマルクカフェで軽食してから4時間ほどしか経っていなかったけれど、シルク・ドゥ・ソレイユの演技を五感で受け止めた影響からか、「おなかがすいた」と代わりばんこに主張する子供達。当初は自宅に帰ってから夕食を摂る腹積もりだったのだがそこまでとてももちそうになかったので、奥州街道(旧国道4号線)沿いに展開する長町の商店街で、腹ごしらえすることにした。商店街の店のいくつかは、「コルテオ」来場者に対して品代割引などのサービスをしているようであった。「コルテオ」自体は仙台公演と銘打たれているのだが、商店街においては「長町のイベント」として認知されているのが、何となく愉快に感じる。
目に付いたラーメン屋に入り、ギョーザとラーメンを注文して食べる。私もまた小腹がすいていたせいもあってか、行き当たりばったりで入った店にしては美味しいラーメンだった。魚介系のダシが効いたあっさり目のスープに舌鼓。