2013年8月21日 ~北東北一泊旅行記 その1~

子供達の夏休みも、いよいよ今週いっぱいとなった。
その思い出作りの一環…というか、実は私達親の方が乗り気だったりするのだが、青春18きっぷを利用して普通列車オンリーで秋田県仙北市角館まで一泊旅行を企画することにした。またどうして角館なのかと言うと、現在秋田県では「ふくしま子どもリフレッシュ事業」(参考URL:http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1365765211327/)なる事業を展開しており、これを使ってみたのである。宿泊は秋田県からの助成、交通費は青春18きっぷ…ずいぶん割安な旅行と相成った次第。
ただし、子供達が「リフレッシュ」できるのかどうかは、いささか心許ない。鈍行旅行の経験は昨年日光までの日帰りがあるものの、一泊はもちろん初めて、道中で機嫌を悪くしないか心配な面はあるが、未知の土地への旅行ということもあり、期待が不安を上回っているようではあった。
私が通勤でいつも利用している桑折駅6時29分発の下り始発電車で出発し、7時39分仙台駅着。ここで8時01分発の下り電車に乗り換えて、9時34分一ノ関駅着。ここまで159.2キロ、約3時間を費やしているが、まだまだ全行程の3割にも満たない。気長な旅である。
次に乗る電車は一ノ関駅10時29分発の盛岡駅行。どういう訳か接続が悪く、55分も待たされる。この間延びしたスケジュールも鈍行旅行の特徴。一旦改札を出て、駅構内や駅前を散策してみる。
 
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定刻通りに一ノ関駅を発車した電車は、水沢、北上、花巻と北上盆地の主要都市を串刺しにして、盛岡目指す。この区間を鈍行列車で乗り通すのは私にとっても21年ぶりのことだが、車窓には記憶に残っているものがほとんどない。一方、子供達はと言うと、お菓子を食べたり、あるいは妻や子供同士とおしゃべりに夢中だったり、車窓にはあまり関心がなさそうだ。もっとも、桑折駅から盛岡駅まで乗車した三本の列車はすべてロングシートの車両であり、車窓を眺めるには適さない。一つぐらいはクロスシートの車両があるだろうと淡い期待を込めていたのだが、 まさか桑折から盛岡までロングシートで乗り通すことになるとは思わなかった。
日詰駅を過ぎると沿線に住宅が増え、定刻11時57分、盛岡駅に到着。
盛岡駅を訪れたのは13年ぶり。東北、秋田の両新幹線に東北本線田沢湖線、山田線、花輪線、そして第三セクターのIGRいわて銀河鉄道と、多くの路線の列車が発着する交通の要衝だ。東北地方では仙台駅に次ぐ賑わいを見せているように思う。
また、今年に限って言えば、好評を博しているNHK連続テレビ小説あまちゃん」や夏の高校野球でベスト4に進出を果たした花巻東高校の存在も、盛岡の賑わいを演出しているように感じられた。花巻東高校は今日の午後に準決勝を戦う予定なのでスマホで一球速報を確認しようかと思っているが、「あまちゃん」ブームは本当に凄かった。駅構内の土産物屋はどこも「あまちゃん」関連商品を前面に出していたし、飲食店もドラマ中に登場するウニ丼やまめぶのPRに余念がない。盛岡市は冷麺やじゃじゃ麺といった麺文化の発達した土地柄だが、食事の選択肢が一気に増えた感がある。お昼時、何を食べようかちょっと迷った次第。
結局、駅ビルの地下にある郷土料理店で丼物の昼食を摂る。
 
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今日の宿泊地・角館へは田沢湖線一本で2時間弱程度の行程。ところが、次の電車は14時24分発とかなり間が空いてしまう。もっとも、岩手、秋田の両県を跨いで走る田沢湖線普通列車は、一日わずか4往復しか運行されていない(なお、うち1往復は途中の田沢湖駅止まりであり、盛岡駅角館駅を直通する普通列車は3往復のみ)。秋田新幹線の列車が15往復も走っているから田沢湖線もまた重要線区として認識されがちだが、JRの区分では幹線系線区ではなく地方交通線。純粋に線区内のみを利用する人はさほど多くはないようだ。
乗換待ちで余った時間を盛岡市内のミニミニ観光へと割り当てようかと思う。荷物をコインロッカーに入れ、盛岡城跡(岩手公園)まで往復する予定だ。今日の盛岡は晴天。岩手山の山頂だけは雲に隠れて見えず画竜点睛を欠くが、気温もさほど高くなく、歩き甲斐のある天候だ。妻子を引き連れ、北上川に架かる開運橋を渡り、東へと歩を進める。
 
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駅から500メートルほど進むと、盛岡市随一の繁華街・大通のアーケードへと差し掛かる。 
久方ぶりの来訪だからだろうか。沿道の商店の構成が、微妙に変化しているような気がする。飲食店、それも全国チェーンの居酒屋系の店が増えているようだ。この傾向は福島市郡山市の繁華街でも見られるが、全国各地でこのような現象が起こっているのだろうか。ちょっと淋しく感じる。
とは言え、人通りもそれなりにあり、個性的な路面店がいくつか見られるなど、福島市郡山市に比べれば繁華街がまだ「生きている」感じはする。郊外にイオンモールが二つも進出し状況は厳しさを増しているけれど、大通には盛岡の街の「核」として頑張って欲しいと、切に願う。
 
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岩手公園は、大通のアーケードの東端を出てすぐのところ。家族で記念写真を撮った後、駅へと引き返す。ただし、大通経由ではなく一本南の菜園通りを経由し、盛岡市内唯一のデパート・川徳で休憩したりと大通とは異なる盛岡市の様子を堪能しながらの帰り道であった。14時少し前に、盛岡駅に到着。
話はガラリと変わるが、盛岡駅の駅ビル・フェザンについて、上の子から鋭い質問を受けた。
「どうして、フェザンの綴りが『FES"AN』なのか? 『FEZAN』 じゃダメなのか?」
言われてみれば、確かにその通り。どうして「S"」なんだろう…後で調べてみたところフェザン自体の由来は岩手県の県鳥であるキジの英語名「pheasant」から採られたことがわかったのだが(参考URL:http://www.fesan-jp.com/fesan/corporate.html)、綴りの由来は結局わからないまま。どなたかご教示願えると嬉しい。
 
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