2013年8月22日 ~北東北一泊旅行記 その4~

柳家を見終わった頃には、時計の針は11時20分を指していた。近くの茶屋でソフトクリームを頬張ってから、タクシーで角館駅へと戻ることにする。車内では、運転手と会話。「やっぱり1、2時間では角館は見切れないですね。最低でも半日はかけないと」とのこと。確かにその通りで、武家屋敷通り内にある樺細工伝承館や平福記念美術館、町の南部に位置する田町武家屋敷などを全部見ようとすれば半日どころか丸一日を要するのではないかと思う。
角館駅からは、11時46分発のこまち25号で、大曲駅まで移動。青春18きっぷの旅のはずなのにこの区間だけ秋田新幹線を利用するのも変な話だが、この区間田沢湖線普通列車も一日7往復と極端に少なく、9時42分発の後は13時46分発まで間が開いてしまうのだ。苦肉の策の新幹線利用。わずか16.8キロしか離れていないのに、運賃と特急券を合わせて一人1,000円以上徴収されてしまうのも、非常に悔しい。
秋田新幹線は今日も少し遅れており、結局8分遅れの11時54分に角館駅を発車。車内は意外に混んでいて子供達を座らせるのがやっとの状況。しかも10分も走るともう大曲駅到着を告げるアナウンス。前夜の睡眠不足がたたって座席で眠りかけている子供達を、慌てて叩き起こす始末。
線路がスイッチバックになっている関係で、大曲駅には秋田新幹線のすべての列車が停車する。「新幹線の線路の終端」は子供達には非常に珍しいものに映ったようで、特に下の子はデジカメ片手に興奮気味。さっきまでウトウトしていたのが信じられないほどだ。
そう言えば、大曲では、明後日に全国花火競技大会が開催される予定。知名度の高いイベントだから、全国から沢山の見物客が押し寄せるのだろう。駅構内に掲げられた花火の写真を見ながら、いつの日か実際に花火を見てみたいなと思った。
 
イメージ 1
 
大曲駅からは青春18きっぷを利用して、12時32分発の上り電車に乗車。3つ目の横手駅に12時49分着。ここで昼食を摂る予定にしていたので、いったん下車する。
昔の横手駅の駅舎は小ぢんまりしていたように記憶していたのだが、立派な橋上駅舎に建て替えられていたので、非常に驚いた。1999年に山形新幹線新庄駅まで延伸して以降定期の特急列車が停まらなくなり横手駅は主要駅としてのポジションが低下したものだとばかり思っていたのだが、駅舎に関しては、そんな懸念を覆す結果となっている。
駅周辺には、5階建て程度のホテルが数軒建っていた。大曲駅周辺にはそのような建物は見受けられなかったので、大曲の花火を見に来る人たちの中には、これらのホテルに宿泊する人がいるのかもしれない。この他、2月に開催される横手かまくらなど、ホテルが活用される機会は意外にあるようだ。
 
イメージ 2
 
横手と言えば、最近はB級グルメブームの中で横手焼きそばが知名度を得るようになった。我々家族も駅前広場に面したお店に入り、焼きそばを注文する。 このお店は横手焼きそばのお店の中でも知名度が高い所らしく、さして広くない店内には観光客とおぼしき人達が複数訪れていた。
店内のテレビで放映されていた高校野球の決勝戦を観戦しながら待つこと十数分、ようやく焼きそばがテーブルに運ばれた。焼きそばの上に半熟の目玉焼きを乗せているのが特徴で、黄身を潰して麺に絡ませて食べるのが定番のスタイルだとか。値段は一人前で500円。食事ともおやつとも判別がつかない量と値段であったが、食べてみると意外にも満腹感を覚える。充実のひと時であった。
 
イメージ 3
 
青い山脈」の発車メロディに見送られて13時50分発の新庄駅行電車で再び出発。旅の疲れと満腹感が相俟って、家族全員車内で寝入ってしまう。気がつくと及位(のぞき)駅到着を告げるアナウンス。及位山形県北端の駅。今回の旅行では福島、宮城、岩手、秋田の各県に続いて5つ目の県ということになる。
県境の山間部を右に左にと揺られ、定刻15時14分に、新庄駅に到着。この駅もまた、 大曲駅と同様「新幹線の線路の終端」を見ることができる。なんだか今日の行程は、新幹線見物ツアーと化しているかのようだ。
 
イメージ 4
 
次に乗る予定の電車は、新庄駅16時17分発の山形駅行。1時間ほど時間があるので、駅構内をブラブラすることにする。まず目についたのは、24日から26日にかけて開催されるという新庄まつりの勇壮な山車。大曲の花火とともに、東北地方の夏祭りのフィナーレを飾るイベントだ。
駅の隣接地には、ゆめりあ(参考URL:http://www.ecopolis.or.jp/yumeria/top.html)という、新庄市を中心とした山形県最上地方の交流拠点がある。ここにも立ち寄ってみる。物産コーナーなどを見て回っているうちに時間は過ぎていき、あっという間に16時になってしまった。改札へ急がないと…
 
イメージ 5
 
新庄駅から再び普通列車に乗って、山形駅に17時28分着。わずか5分の乗り換え時間で、17時33分発の米沢駅行に乗車する。仕事や学校からの帰りのお客さんで車内は混み合っており、子供達を座らせるのがやっとの状況であった。
米沢駅には、18時18分に到着。次の電車は18時46分発の福島駅行と多少間があるので一旦改札の外に出ようかと思いかけるが、既にホームに福島駅行の電車が入線していたので、早めに乗車する。先ほどの電車とは打って変わって車内はガラガラで、ボックス席どころか車両の前半分をほぼ独占できる状況であった。今日の午後は寝てばかりだった子供達も、かなり興奮気味。
板谷峠を越えて、福島駅に到着したのは19時31分のこと。ここでいったん下車して夕飯を食べ、20時50分発の東北本線の電車に乗り21時03分、無事桑折駅に帰還。今日もまた、角館駅から桑折駅まで276.9キロ、下車していた合間も含めて実に9時間以上に及ぶ長旅であった。