2007年03月11日 ~結局、福島市中心部を散歩~

3月4日に安達駅起点の早朝散歩を延期したので、次の休日こそは、と思っていた。
ちなみに行き先は、二本松市(旧東和町)の針道。理由は簡単で、帰りのバスの便がいいから。土日祝日限定で8時50分台に針道を通過し福島駅東口に至るという何とも珍しい運行形態のJRバスが走っており、それに乗ってみたいなと思ったのだ。散歩も楽しみだが、ローカルバスの小旅行もまた、ワクワクするものがある。
あともう一つ、針道に惹かれたのは、そのあたりをクルマで走った経験が殆どなかったから。通った経験は、確か一度あったかどうか。10年ほど前に福島から川俣に出、国道349号線経由であぶくま洞(田村市滝根町)、リカちゃんキャッスル(小野町)、スパリゾートハワイアンズ(いわき市)と回ったことがありその時通っているはずなのだが、風景が全然記憶に残っていないのだ。川俣から田村市船引までの間が、完全に欠落している状態なのだ。
そういう意味では、安達から針道までの散歩は、私にとってかなり新鮮味の濃いものになりそうだ。早く出かけたいなと数日前からウズウズしていた。ただ、出掛ける予定の11日の天気は雨ないしは雪の予報だったのだが。

散歩当日、4時半に起床したら、茶の間の電気が点いていた。
あれ、寝る時に消し忘れたかな、と思いながら行ってみると、なんと妻が、一昨日録画したドラマのビデオを観ていた。休日の夜明け前に起きている我々夫婦って、睡眠に関していったいどういう感覚を持ってるのだか。
心配な天気だが、自宅近辺は雲がだいぶ低い位置で垂れ込めているものの、何も降っていない。、当初の予定通り、安達駅から二本松市針道までのルートを歩くことにした。「雨大丈夫かなぁ? 気をつけてね」と心配する妻に見送られて、5時半に自宅を出発。
いつものように5時42分桑折発の上り電車に乗り、まずは安達駅を目指す。薄暗かった空模様も、福島を出る頃には明るくなっている。ところが、ここで異変が。
路面が濡れている…
そう、懸念していた雨が、降り出してしまったのだ。安達には6時25分に到着したものの、ここも雨。安達からの散歩は断念せざるを得ない。仕方なく、6時38分発の下り電車に乗って、福島方面へと戻ることにする。
実はこの時点で、私は「安達からの散歩」を諦めていたのであって、散歩そのものは諦めていなかった。上り電車の車窓から確認した限りでは雨が降っていたのは福島以南。だから福島まで行けば、ひょっとして散歩は可能なのではないかと思ったのだ。
6時57分、福島着。ここで天候を確認するため、駅舎の外へ出た。幸運なことに、雨は降っていなかった。これなら大丈夫そうだ。という訳で、急きょ予定を変更し、福島駅を起終点として福島市中心部を一周するコースを歩くことにした。

7時ちょうどに福島駅を出発。まずは駅前通りのアーケードを直進した後、左折して繁華街を南北に貫くパセオ通りへと入る。パセオ通りは福島市の目抜き通りのひとつだがここ数年は商店街の空洞化が著しく、半ばゴーストタウンのような状況。特に通りの北部は空き商店の後継として飲み屋が入居するケースが多く、早朝だと異様な寂寥感がある。
パセオ通りは万世町にある福島銀行本店の手前で終わるが、その延長となる道路はまっすぐに信夫山の麓へと続いており、引き続きそこを歩くことにする。沿道は、商店と住宅が程よい割合で入り交じった地域。こういう景観は繁華街の外延でしか見られないので、歩いていると妙に新鮮な気持ちになる。
通りを1キロ近く歩くと、信夫山の麓へ。このあたりでは一番目立つ建物である福島テレビの前で右に折れ、今度は山麓に沿って流れる祓川(はらいがわ)の沿岸を進む。祓川は幅2メートルにも満たない小さな川だが、福島市の河川としては珍しく、親水空間が整備されているのが特長。だからだろうか、沿岸には犬の散歩やジョギングをしている人を何人か見掛けた。ちなみに、この辺になると商店は姿を消しており、代わりに文教施設が多くなる。学法福島高校、福島県文化センター、福島東陵高校福島市音楽堂、信夫山子供の森公園と次々に現れる。
親水空間に沿った道路をそのまま進むと、国道4号線と交差して国道115号線へと入る。しばらく直進し阿武隈川に架かる文知摺橋(もちずりばし)を渡る。この辺りを流れる阿武隈川は白鳥の飛来地で、橋の上からは、かなりな規模の白鳥の群れを見ることができる。
文知摺橋を渡り終えたら今度は阿武隈川に沿って南下し、市街の南東にある渡利を目指す。
渡利といえば、有名なスポットが花見山公園。今年は桜の開花が早そうなのであと半月もすれば周辺も慌ただしくなるのだろうが、遠目で見た限りでは現在は花も咲いておらず、嵐の前の静けさといった雰囲気。
花見山よりむしろ私が気になったのは、渡利の街並みだった。総じて道路が狭く、数十年前の日本の街並みといった風情なのだ。ただ、昨年12月3日に歩いた国道114号線渡利バイパスに代表されるように渡利にも広い道路がいくつかできているから、近い将来その姿は大きく変わるかもしれない。例えば、阿武隈川に架かる天神橋を挟んで渡利の対岸にある五月町や清明町のように。渡利から福島駅に戻る道中でこの界隈を通ったが、街路が拡張したせいで、もはや十数年前の街並みすら思い出せなくなっている。
結局、福島駅には、8時36分に戻った。即興の散歩とはいえ、なかなか充実した内容であった。