2007年4月22日 ~何故か、花見山公園へ~
4月15日の散歩の帰りは、南角田から福島方面への電車に乗った。逆方向の槻木経由に比べて自宅最寄の桑折駅までの運賃が割高になるのだが、宮城福島県境付近の阿武隈川をゆっくり眺めてみたいなと思ったのだ。
ところが、いざ乗ってみると、車内にはお客さんがいっぱい。県境をまたぐローカル列車は乗客が少ないのが常だしボックス席をゆうゆう独占して座れるものかと思っていたのに、完全にあてが外れてしまった。ボックス席は既に埋まっており、外の見えないロングシートに空席をようやく見つけて座った次第。乗客はその後も増え続け、福島に着く頃には通勤電車並みの混雑ぶりとなった。私の知る阿武隈急行とは大きくかけ離れた盛況である。
客層を見ると、家族連れや年配の夫婦連れが大半を占めていた。どうやら、福島市の花見山公園がお目当てのようだ。一目千本桜をはじめ宮城県にも花見スポットはいくつかあるけれど、それらを撥ね退けてでも訪れたくなる魅力が、花見山にはあるということなのだろうか。それにしても、阿武隈急行を満員にさせるとは、大した集客力だ。
花見山の地元・渡利近辺の交通インフラ整備などいろいろ課題を抱える花見山ではあるが、競馬場を除けば県外からお客さんを集めることができる福島市中心部のスポットは、ここしかない。しかも花見山が観光客で賑わうようになったのはここ10年ほどの傾向だ。やっぱりそれは福島市にとって貴重な財産だし、福島市の活性化のためにももっと「活かす道」が模索されてもいいのではないかと思う。
しかし、実は私自身、花見の時期に花見山を訪れた経験が皆無であった。活性化云々を語ったところで所詮絵に描いた餅。ならば次回の散歩は予定を変更して花見山へ行こうかと思った次第である。時間帯は早朝、しかも散歩予定日は4月22日で花見のピークからは多少遅れるが、一応の参考にはなるだろう。
散歩当日。
目が覚めたら、5時35分であった。桑折発5時41分発の登り電車に乗って福島駅へ行きそこから歩く予定だったのだが、もう間に合わない。
寝坊というのは1時間、2時間遅れてしまいもう逆立ちしたって間に合わないやという場合はキッパリあきらめもつくけれど、今日のようにあと15分早く起きれれば… という場合は、どうやったら遅れを取り戻せるか足掻いてしまうもの。私もまた、時刻表片手にいろいろと検討してしまう。すると、7時過ぎに桑折を通過する路線バスで、渡利を経由して福島市南部にある県立医科大学まで行く便があることを発見。これに乗れば、7時台後半には渡利に着けそうだ。散歩が可能となれば、居ても立ってもいられず早速自宅を出発。6時25分のことであった。もっとも、バスの通過時刻よりかなり早めに出発したのは、福島方面にある程度歩いてバス代を浮かそうという打算もあった訳なのだが。
30分ほど歩いて伊達市に入り、国道4号線に面した伏黒入口というバス停からバスに乗車。お客さんはほとんど乗っていない。この便は福島駅前を経由しないので、敬遠されているようだ。福島の旧市内に入ると左に折れて国道114号線に入り、阿武隈川を渡って渡利の町に入る。7時34分、川を渡ったすぐ先にある岩崎町というバス停で下車。
岩崎町からしばらく、県道山口渡利線を歩く。第一印象は「狭すぎる!」歩道どころか、センターラインすらないのである。この道路は花見山への観光バスは通ってはいけないことになっているが福島交通の路線バスが走っている。路線バスが走っているという時点で拡幅するのが当然だと思うのだが、既に周辺には住宅が建て込んでおり、遅きに失した感がある。
5分ほど歩くと、左手に体育館が登場。ここに、花見山を訪れる身障者を連れた人用のマイカー臨時駐車場が設けられている。先に目をやると、花見山はまだまだ遠く。ここで身障者を下ろして歩かせるのもどうかなと思う。もっとも、身障者連れでない一般のマイカー臨時駐車場は花見山から3キロほど離れた地点にあり花見客はそこからシャトルバスで花見山に向っているので、比較の問題で言えば近かったりするのだが。
駐車場から先は、くるみ川という川に沿って遊歩道が設けられており、徒歩の花見客はそちらに誘導される。くるみ川自体が親水空間になっており歩く分には支障はないのだが、路面がダート(一部丸太舗装)のため、身障者にはちょっと辛いかもしれない。
遊歩道をしばらく歩くと、今度は左手に、観光バス及びシャトルバス用の駐車場が登場。今は朝早いので広々としているが、バスが10台も来れば混乱しそうな気がする。それ以前に、駐車場に出入りする周辺の道路が致命的に狭いのが大きなマイナス。やはりきちんとした道路を整備し、観光バスそして身障者連れのマイカー用の駐車場だけでも公園の至近に整備すべきだと思う。
が、花見山に近づくにつれて、その考えにも自信を失いかけてしまう。花見山が注目されだした近時の傾向なのかどうかはわからないが、付近の民家で独自に花を植え、育てているケースが多いのだ。花見山は公園の中だけではなくてこれら周囲の景観をも含めて楽しむべきものだとも思うし、そこへ太い道路や駐車場をこしらえてしまうのは、明らかな環境破壊。ただ、こうした周囲の民家の方々のささやかな配慮が、結果的に一部の観光客による民有地への無断立ち寄りを助長している傾向はあるようだ。
岩崎町から18分ほど歩いて、花見山公園に到着。まだ8時前だが、どこからやってきたのか、年配の観光客がチラホラと見える。花見山に限らず花を愛でる人は、平均年齢がやや高めなのが特徴。特に花見山は園内での宴会・飲食が御法度なので、その傾向は更に強まるものと推察される。となれば、観光地としてまず頭に入れていかなければならないのが、バリアフリーという考え方。公園入口付近に駐車場を設置するのはその点から考えると必須だと思うし、園内の散策路に関しても、またしかり。
ところが花見山の場合、民有地を善意で無料開放しているという経緯からか、その点はまったく未整備といっていい。散策路は狭く、かつ急勾配も散見される状況。近くを歩いていた夫婦連れからは「私は入口で待っているから、お父さん歩いて行きなよ」という声が聞こえてきた。今の時間帯はまだいいけれど、一番混雑する時期は、悲惨だと思う。恐らく人の流れは一方通行。引き返したくても戻れない可能性が高いことだろう。そのせいだろうか。「30分コース」と書かれた散策路を歩いてきたのが、わずか8分で歩ききってしまった。でも、こんな短いコースでも、混雑していれば1時間近くかかってしまうかもしれない。
時計を見ると8時ジャスト。福島駅発9時00分の電車で帰る予定にしていたので、早足で花見山を後にする。行く時には気づかなかったのだが、帰途、体育館の近くに「渡利村道路元標」と書かれた小さい石碑を見つけた。石碑のそばには元標が設置された明治初年の渡利の絵図が描かれていたのだが、当時の渡利には人家が殆どなかったようだ。渡利そして花見山の現状を考えると、ものすごい皮肉に見えてしまう。
ところが、いざ乗ってみると、車内にはお客さんがいっぱい。県境をまたぐローカル列車は乗客が少ないのが常だしボックス席をゆうゆう独占して座れるものかと思っていたのに、完全にあてが外れてしまった。ボックス席は既に埋まっており、外の見えないロングシートに空席をようやく見つけて座った次第。乗客はその後も増え続け、福島に着く頃には通勤電車並みの混雑ぶりとなった。私の知る阿武隈急行とは大きくかけ離れた盛況である。
客層を見ると、家族連れや年配の夫婦連れが大半を占めていた。どうやら、福島市の花見山公園がお目当てのようだ。一目千本桜をはじめ宮城県にも花見スポットはいくつかあるけれど、それらを撥ね退けてでも訪れたくなる魅力が、花見山にはあるということなのだろうか。それにしても、阿武隈急行を満員にさせるとは、大した集客力だ。
花見山の地元・渡利近辺の交通インフラ整備などいろいろ課題を抱える花見山ではあるが、競馬場を除けば県外からお客さんを集めることができる福島市中心部のスポットは、ここしかない。しかも花見山が観光客で賑わうようになったのはここ10年ほどの傾向だ。やっぱりそれは福島市にとって貴重な財産だし、福島市の活性化のためにももっと「活かす道」が模索されてもいいのではないかと思う。
しかし、実は私自身、花見の時期に花見山を訪れた経験が皆無であった。活性化云々を語ったところで所詮絵に描いた餅。ならば次回の散歩は予定を変更して花見山へ行こうかと思った次第である。時間帯は早朝、しかも散歩予定日は4月22日で花見のピークからは多少遅れるが、一応の参考にはなるだろう。
散歩当日。
目が覚めたら、5時35分であった。桑折発5時41分発の登り電車に乗って福島駅へ行きそこから歩く予定だったのだが、もう間に合わない。
寝坊というのは1時間、2時間遅れてしまいもう逆立ちしたって間に合わないやという場合はキッパリあきらめもつくけれど、今日のようにあと15分早く起きれれば… という場合は、どうやったら遅れを取り戻せるか足掻いてしまうもの。私もまた、時刻表片手にいろいろと検討してしまう。すると、7時過ぎに桑折を通過する路線バスで、渡利を経由して福島市南部にある県立医科大学まで行く便があることを発見。これに乗れば、7時台後半には渡利に着けそうだ。散歩が可能となれば、居ても立ってもいられず早速自宅を出発。6時25分のことであった。もっとも、バスの通過時刻よりかなり早めに出発したのは、福島方面にある程度歩いてバス代を浮かそうという打算もあった訳なのだが。
30分ほど歩いて伊達市に入り、国道4号線に面した伏黒入口というバス停からバスに乗車。お客さんはほとんど乗っていない。この便は福島駅前を経由しないので、敬遠されているようだ。福島の旧市内に入ると左に折れて国道114号線に入り、阿武隈川を渡って渡利の町に入る。7時34分、川を渡ったすぐ先にある岩崎町というバス停で下車。
岩崎町からしばらく、県道山口渡利線を歩く。第一印象は「狭すぎる!」歩道どころか、センターラインすらないのである。この道路は花見山への観光バスは通ってはいけないことになっているが福島交通の路線バスが走っている。路線バスが走っているという時点で拡幅するのが当然だと思うのだが、既に周辺には住宅が建て込んでおり、遅きに失した感がある。
5分ほど歩くと、左手に体育館が登場。ここに、花見山を訪れる身障者を連れた人用のマイカー臨時駐車場が設けられている。先に目をやると、花見山はまだまだ遠く。ここで身障者を下ろして歩かせるのもどうかなと思う。もっとも、身障者連れでない一般のマイカー臨時駐車場は花見山から3キロほど離れた地点にあり花見客はそこからシャトルバスで花見山に向っているので、比較の問題で言えば近かったりするのだが。
駐車場から先は、くるみ川という川に沿って遊歩道が設けられており、徒歩の花見客はそちらに誘導される。くるみ川自体が親水空間になっており歩く分には支障はないのだが、路面がダート(一部丸太舗装)のため、身障者にはちょっと辛いかもしれない。
遊歩道をしばらく歩くと、今度は左手に、観光バス及びシャトルバス用の駐車場が登場。今は朝早いので広々としているが、バスが10台も来れば混乱しそうな気がする。それ以前に、駐車場に出入りする周辺の道路が致命的に狭いのが大きなマイナス。やはりきちんとした道路を整備し、観光バスそして身障者連れのマイカー用の駐車場だけでも公園の至近に整備すべきだと思う。
が、花見山に近づくにつれて、その考えにも自信を失いかけてしまう。花見山が注目されだした近時の傾向なのかどうかはわからないが、付近の民家で独自に花を植え、育てているケースが多いのだ。花見山は公園の中だけではなくてこれら周囲の景観をも含めて楽しむべきものだとも思うし、そこへ太い道路や駐車場をこしらえてしまうのは、明らかな環境破壊。ただ、こうした周囲の民家の方々のささやかな配慮が、結果的に一部の観光客による民有地への無断立ち寄りを助長している傾向はあるようだ。
岩崎町から18分ほど歩いて、花見山公園に到着。まだ8時前だが、どこからやってきたのか、年配の観光客がチラホラと見える。花見山に限らず花を愛でる人は、平均年齢がやや高めなのが特徴。特に花見山は園内での宴会・飲食が御法度なので、その傾向は更に強まるものと推察される。となれば、観光地としてまず頭に入れていかなければならないのが、バリアフリーという考え方。公園入口付近に駐車場を設置するのはその点から考えると必須だと思うし、園内の散策路に関しても、またしかり。
ところが花見山の場合、民有地を善意で無料開放しているという経緯からか、その点はまったく未整備といっていい。散策路は狭く、かつ急勾配も散見される状況。近くを歩いていた夫婦連れからは「私は入口で待っているから、お父さん歩いて行きなよ」という声が聞こえてきた。今の時間帯はまだいいけれど、一番混雑する時期は、悲惨だと思う。恐らく人の流れは一方通行。引き返したくても戻れない可能性が高いことだろう。そのせいだろうか。「30分コース」と書かれた散策路を歩いてきたのが、わずか8分で歩ききってしまった。でも、こんな短いコースでも、混雑していれば1時間近くかかってしまうかもしれない。
時計を見ると8時ジャスト。福島駅発9時00分の電車で帰る予定にしていたので、早足で花見山を後にする。行く時には気づかなかったのだが、帰途、体育館の近くに「渡利村道路元標」と書かれた小さい石碑を見つけた。石碑のそばには元標が設置された明治初年の渡利の絵図が描かれていたのだが、当時の渡利には人家が殆どなかったようだ。渡利そして花見山の現状を考えると、ものすごい皮肉に見えてしまう。