2007年5月3日 ~岩沼から荒浜経由で亘理まで~

本来ならば今日は休日ではなく急に決まった早朝散歩だったのだが、そのせいか、当日の目覚めはスッキリしたものだった。いつもの休日だと早く起きようかどうかという葛藤があるものなのだが、元来出勤日だったからいつものように5時半に起床。いつものように身支度をし、いつものように自宅を出発する。
そしていつものように、普段通勤で使っている桑折発6時29分の下り列車に乗車。車内ではいつものように寝入ってしまい、気がついたらもう槻木だった。今日は岩沼で降りる予定だから、危ないところ。ここで意識を散歩モードに切り替える。
7時17分、岩沼着。改札から一番遠いところにある島式ホームに到着したため、構内を歩くのに2分を費やしてしまい、7時19分に散歩をスタート。今日はこの岩沼から阿武隈川の河口を経由して、亘理まで行く予定にしている。
まずは、昨年9月30日に南から北へと歩いた岩沼の市街地を今度は逆に北から南へと歩き、竹駒神社の先で奥州街道と別れて左折。国道4号線を渡り、一路東へ。阿武隈川の河口を目指す。岩沼の街を東西に歩くと、奥州街道沿いの旧市街、国道4号線沿いのロードサイドショップ街、その東側に広がる新興住宅地に更にその東側の田園地帯と見事に色分けされていて、結構面白い。ちなみに、新興住宅地が尽きる頃には、右手に阿武隈川の堤防が近づいてくる。これから河口までの長い間、堤防とのつきあいが続く。
ところで、今日は晴天ということもあり、結構暑い。30分ほど歩くともう汗ダクダク。ジャージを着てきたことを後悔する。歩いていて思ったのだが、日差し以上に水が張られた田植え間近の田んぼからの照り返しが結構きついのだ。なお、今日は田植えに適した日なのか、各所で田植え機が活躍していた。
45分ほど歩くと、主要地方道塩釜亘理線に出る。仙台圏の海岸地域を南北に縦貫する道路で、国道の抜け道として使われているのか交通量が結構ある。ただ歩道が整備されていない箇所が多く、脇を通るクルマにヒヤヒヤし通し。田んぼの照り返しも相変わらず強く、歩くにはちょっと酷なシチュエーションだ。
しばらくすると歩道が登場し歩きやすくなるが、周囲の景観は相変わらず田んぼ。阿武隈川の堤防はつかず離れずの間隔で右手にあるという、同じような風景が延々と続く。阿武隈川が東西にまっすぐ流れていたならばとっくに橋を渡っているはずなのだが、この辺りの阿武隈川は海に注ぐのを嫌がるかのように南東あるいは真南の方向に進路をとっているのでなかなか眼前に姿を現してくれない。塩釜亘理線に出てから30分ぐらいでようやく阿武隈川をまたぐ亘理大橋が前方に姿を現すものの、そのたもとにたどり着くまで更に15分ほどの時間を要する次第。
しかしそれだけに、亘理大橋の様子は素晴らしいものだった。驚くほどに広い川幅、そして水鳥が集う中洲。前方に見える亘理町荒浜の町並み、そして左手にちらりと見える河口と太平洋。クルマでは通ったことがあるけれど、歩いてみると全然違う、新鮮で雄大な風景だった。ちなみに、橋を渡るのに要した時間は、約7分。阿武隈川がそれだけ大きい川なんだということを実感する。
亘理大橋から先の塩釜亘理線はまっすぐ亘理町の中心部を目指しているが、私は寄り道し、荒浜の町を歩くことにした。荒浜は江戸時代には阿武隈川の舟運そして東回り航路の寄港地として栄えた港町であり、現在は潮干狩りに海水浴、釣りにサーフィンと仙台近辺におけるマリンリゾートの拠点になっている所だ。また、海産物にも恵まれており、春はほっきめし、秋ははらこめし(鮭の親子丼)が名物のちょっとしたグルメスポットでもある。従って、ゴールデンウイーク中だと潮干狩りに訪れる人がそこそこいるのだろうが、今日の干潮はお昼過ぎらしく観光客らしいクルマは殆どなし。町の様子もひっそりとしたものであった。
魚市場の前に釣り具屋、そして旬を多少過ぎてしまった「ほっきめし」と書かれた幟を掲げる飲食店が何軒か連なる魚市場前を一瞥し、ここで進路を西へと向け亘理駅へと急ぐ。本来ならば太平洋に面した海水浴場や荒浜の町の南に位置し潮干狩りのスポットである汽水湖・鳥の海の様子も堪能したかったのだが、魚市場前で既に出発から2時間が経過。亘理発10時32分の常磐線の下り列車に乗らないと帰宅が大幅に遅れてしまうのだ。せめてバスの便があればいいのだが、亘理と荒浜とを結ぶ公共交通機関亘理町が運営している乗合自動車しかなく、なんと日祝は運休。名残惜しいのだが、早足で荒浜を後にし、亘理へと急がざるを得ない。
再び主要地方道に戻り、亘理へ。岩沼と同じく田んぼの多い沿道だが、建設中の常磐自動車道の下をくぐると、様相が一変。ロードサイドショップや新興住宅地が目立つようになる。亘理町の人口は約3万5千。市制施行してもおかしくない規模の町だから、商業施設も結構充実しているようだ。
しばらくすると、城郭をあしらった郷土資料館・悠里館が、前方に姿を現す。この施設は常磐線の線路を挟んで亘理駅の駅舎のすぐ裏にあり駅までの連絡通路も整備されているのだが、亘理の街の様子を見たい私は、ちょっと遠回り。跨線橋を渡って旧市街をチラッと眺めてから、駅へとたどり着いた次第。時計を見ると、出発から3時間が経過していた。我が早朝散歩における最長歩行時間を更新した。