2007年5月14日 ~湯沢市を歩いてきた~

ゴールデンウイークに入るまでは順調に日程を消化していた早朝散歩だったが、5月に入ると一転して停滞。月末に株主総会を控えて仕事が忙しかったのに加えプライベートの方も友人の結婚式に子供の運動会、更には近所の清掃活動に昨年9月以来の野球観戦とてんてこ舞い状態。結局、6月9日まで出掛けることができなかった。
でも、そんな状況の中でも、「歩く」ことに関しては、時間を見つけて実行してはいた。今回から3回分の日記で、5月に歩いたルートとその内容について書いていきたいと思う。

5月13日。大学時代の友人の結婚披露宴が、秋田県湯沢市で行なわれた。
久しぶりに再会した旧友と、深夜まで痛飲。翌日も、宴の直後で疲労困憊のはずの友人の案内で、秋田県内をいろいろと見て回った。2日間とても楽しい時を過ごし、帰りの列車に乗るために湯沢駅に戻ったのは、午後3時を少し過ぎた頃であった。
送迎してくれた友人と駅前広場で別れ、一人ぼっちになった私。あとは、非日常の空間から日常へと戻るだけである。
でも、湯沢発の上り電車の時刻が16時07分と、多少間がある。待合室でボーッとしているのも辛いものがあるので、引出物やらお土産やら着替えやらでバッグ3つ分に膨れ上がった荷物をコインロッカーに放り込み、湯沢市内を散策することにした。
まずは、駅前から東にまっすぐ延びる道を歩く。この道路は、駅のすぐそばを南北に縦貫している国道13号線の交差点から先がサンロードと呼ばれるアーケード街になっており、湯沢の目抜き通りのひとつ。でも、多くの地方都市の例に漏れず、湯沢もまた、人通りが殆どない。お年寄りと、学校帰りとおぼしき小学生がチラホラといった具合。沿道の店もやや古ぼけた印象で、廃業して久しいスーパーが未だに廃墟のまま残っていたのが印象的だった。ただし、平成の大合併前の人口規模が湯沢と同規模(3万人台半ば)の二本松市角田市と比べると、市街地自体はしっかりしていると思う。
アーケードが尽きた所の交差点を左に折れて、これまたアーケードが設けられている旧国道13号線柳町通りを北上する。200メートルほど歩くとアーケードはなくなるが、商店街はその北にも続いている。国道398号線との交差点を渡り、湯沢を代表する酒蔵・両関酒造の純和風で風情ある社屋の前まで歩いてみる。駅前から1キロちょっとは歩いただろうか。この辺りまで来るとさすがに商店の数も減ってくる。ただし、酒蔵の周辺というロケーションだからか、酒の小売店が目立つ。この傾向は、二本松の大七酒造周辺でも見られた。
両関の少し先にある小路を右に入り、国道13号線へと出る。都市の国道といえば湯沢のような小規模な地方都市でも市街地を大きく避けてバイパスが設けられるケースが多いが、湯沢の場合は旧来の市街地と駅との間にバイパスが通っている。高速道路が整備されつつある秋田県南部であるが、現時点では、隣の山形県との境を超えるにはこの国道13号線を使わなければならない。そのせいか、クルマが頻繁に行き交い、にぎやかな印象がある。このインフラ事情が、湯沢の実勢を人口以上に大きく見せているような気がする。
ロードサイドショップもそれなりに充実しているが、面白いのは、13号線沿いに飲み屋街が展開していること。スナックのネオンが、飲めない、いや飲んではいけない運転手を誘っている様子はちょっと笑える。
そんな13号線から柳町のアーケードに向かって、ちょっと気になる通りが延びている。その名も「ジークブルガー通り」。湯沢と姉妹都市になっているドイツのジークブルク市の街並みを模したのか、沿道の商店がドイツ風の外観になっているのだ。湯沢程度の、と言っては失礼だが小都市で、このような街並みを見られるとは思わなかった。
ジークブルガー通りは柳町のアーケードとの交差点で終わるが道路自体はそのまままっすぐ東へと延びているのでとりあえず直進し、湯沢の裏町を歩くことにする。商店街とは勝手が異なり平凡な住宅地ではあったが、そんな中にも明治時代中期に建てられたという旧雄勝郡会議事堂のような趣ある洋館があったりして、湯沢の懐の深さを感じる。
再びサンロードを歩き、電車が出る10分前に湯沢駅着。1時間弱と普段の早朝散歩よりもかなり短めだったがなかなか充実した沿道の内容であった。