2008年6月14日 ~松川から飯野町、そして…~

5月中は仕事が忙しく、なかなか散歩に出かけることができなかった。
ようやく今日、散歩の時間を取ることができたのだが、実に一月半ぶりの散歩。冬季を除けばこれだけブランクが開いたのは初めてのことである。
今日のルートは、今年の目標としている阿武隈川の橋を渡るシリーズの続き。久々の復帰戦だし自宅近くに残る鎌田大橋か月の輪大橋を渡ろうかとも思ったが、思い切って信達地方最南端に残っている新飯野橋を制覇することにする。この橋が架かる伊達郡飯野町は来月1日をもって福島市編入されることが決まっており、「飯野町最後の姿」を目に焼き付けたかったのだ。
5時過ぎに起床。麦茶を一杯だけ戴き、身支度をして自宅を出発。桑折駅5時41分発の始発列車に乗って6時20分に松川駅に到着。駅構内を出たのは6時23分で、まずは駅前から南西方向に延びる県道松川停車場戸ノ内線を歩く。駅付近を除けば歩道も整備されており、比較的歩きやすい道だ。
2キロほど歩くと、主要地方道川俣安達線とのT字路に突き当たるので、左折。一般県道から主要地方道へと移り変わったので路面状況も良くなったのかと思いきや、まるで逆。歩道もセンターラインもない隘路が続く。時間帯のせいもあるが行き交うクルマも殆どなく、ぜんぜん主要地方道らしくない。それまで田畑が広がっていた道の両側は丘陵となり、右側には水原川が寄り添う。松川の中心部付近では小川のような水原川であるが、ここではいっぱしの川らしい表情を見せている。ちょっとした渓谷のようにも見える。
その水原川に架かる松川橋を渡ると、今度は左側に大きな川が。阿武隈川だ。水原川は私が歩くのと同じ方向に流れていたが、阿武隈川は逆方向に流れている。この辺りの地形はやや複雑だ。また、阿武隈川も川沿いにゴツゴツした岩が展開し、渓谷状をなしている。
隘路だった主要地方道だが、新飯野橋付近だけは別。センターラインも歩道もきちんとついている。なんでも2000年に架け替えられたとのこと。なお、従前の橋は現在の橋のやや下流にあり、土台の跡が残っている。橋からの見所は、何と言っても右手に展開する飯野ダム。堰堤からは勢い良く水が放出されている。なかなか勇壮な光景だ。ちなみに、ダムの湖畔にある公園は、花見の名所。4月上旬にまた訪れてみたいと思う。
さて、橋を渡って飯野町。橋から1キロほど歩くともう中心街である。昨年7月1日以来の来訪だが、その時と変わった様子はない。福島市との合併を歓迎するムードは、中心街の外れにある町役場の玄関に掲げられたプレートに示されていただけであった。
飯野の中心街からは、主要地方道飯野三春石川線を北上。この道路は全長76キロと福島県道では最長の長さを誇る。我が早朝散歩では昨年6月17日に二本松市の旧岩代町域を歩いて以来のご無沙汰。こちらの主要地方道は、飯野の中心街近辺こそ隘路であったが、そこを過ぎるとセンターラインもありそれなりに整備されていた。この道路は運行本数こそ少ないものの福島交通、JRバス東北両社のバス路線のルートともなっており、それなりに需要があるようだ。
ただし、起伏が結構ある。飯野町の北端に位置する円錐形の山で地元ではUFOの基地(?)として知られる千貫森も、なかなか姿を現せてくれない。飯野の中心街から2キロほど北にある青木広表のバス停付近と主要地方道の終端・国道114号線との合流地点付近でようやく姿を現すがその時間は意外なほど短く、若干興ざめである。ちなみに、国道114号線との合流地点付近は飯野町福島市との境界であるが、まもなく合併するので撤去されてしまったのか、自治体名を示した看板を見つけることはできなかった。
福島市に入って最初の地域は、地元では凍み豆腐(高野豆腐)の産地として知られる立子山。一昨年の12月3日にも歩いたことがあるが、前回歩いたのは西部で今回は東部。この地域には国道114号線の旧道が多く残されているので、そこを歩いてみる。国道を通る限りでは人家の少ない丘陵地帯というイメージしかない立子山であるが、旧道沿いは由緒ありげな寺院に駐在所、凍み豆腐の製造工場(小規模だが)に個人商店、美容室と、意外に変化に富んだ風景が見られてなかなか面白かった。
旧道を歩き終えて国道に戻る。ここから先は一昨年に歩いたルートを行かざるを得ない。一応の予定としては国道沿道にある新興住宅地・南向台で散歩を切り上げそこからバスで福島駅まで行く算段を立てていたのだが、ここで掛かってきた妻からの電話が、私の運命を変えることになってしまう。
妻「おはようございます。生きてましたか?」
私「ああ、生きてたけど?」生きてたって、どういう意味だ?
妻「さっき、強い地震があったんだけど、気付かなかった?」
まったく気がつかなかった。普通地震は屋外にいても電線の揺れなどでわかるものなのだが。その旨を妻に伝えると、とんでもない答えが。
妻「岩手南部と宮城北部で震度6なんだって! 電車も止まってるから、今帰れないよ。」
何ですと! じゃあどうすればいい!? 思案していた時に妻から助け舟が。
妻「私と子供たちは今から岡部(今電話している地点から7キロほど北)にあるヘルシーランド福島の屋内プールまで泳ぎに行くんだけど、お父さんも合流するかい?」
私「ああ」と答えたけど、電車運行の再開の目処が立たなければ、選択の余地はないじゃないか。もう一目散に歩くしかない。
結局、ヘルシーランド福島に到着したのは、10時10分のこと。松川駅を出てからなんと3時間47分が経過。とんだトラブルで、昨年7月13日に達成した最長歩行記録(3時間18分)を大幅に更新することになってしまった。