2008年6月28日 ~あぶくま駅から白石まで~

前回の散歩までで、福島県信達地方における橋はとりあえず渡り終えた。
渡橋の状況は以下の通り。

兜橋(伊達市梁川町)…○(2007.3.4)
梁川橋(伊達市梁川町)…○(2008.3.23)
徳江大橋(国見町伊達市梁川町)…○(2008.3.23)
伊達崎(だんざき)橋(桑折町伊達市梁川町)…○(2006.10.29)
昭和大橋(桑折町伊達市伊達町)…○(2008.3.30)
大正橋(伊達市伊達町)…○(2007.2.17)
伊達橋(伊達市伊達町)…○(2008.4.13)
月の輪大橋(福島市瀬上町~鎌田)…○(2008.6.21)
鎌田大橋(福島市鎌田~本内)…○(2008.6.21)
文知摺橋(福島市堀河町~岡部)…○(2007.3.11)
三本木橋(福島市東浜町~渡利)…○(2008.4.12)
渡利大橋(福島市腰浜町~渡利)…○(2006.12.3)
松齢橋(福島市舟場町~渡利)…○(2007.4.22)
大仏橋(福島市舟場町~渡利)…○(2007.7.13)
天神橋(福島市杉妻町~渡利)…○(2007.3.11)
弁天橋(福島市鳥屋野~渡利)…○(2008.4.12)
蓬莱橋(福島市黒岩~小倉寺)…○(2008.4.12)
蓬莱橋(福島市松川町金沢~立子山)…○(2006.12.3)
逢隈橋(福島市松川町沼袋~飯野町)…○(2007.7.1)
新飯野橋(二本松市飯野町)…○(2008.6.14)

さて、次はどうしようか。いろいろ思案したが、とりあえず、信達地方の南北に未渡橋のままのこっている橋を南北交互に訪れることにした。
今回の散歩はその第一弾。宮城県最南端の羽出庭大橋を渡ることにする。でも、ただ渡るだけではつまらないので、阿武隈急行あぶくま駅を起点とし、丸森町耕野、白石市大鷹沢を経由して一気に白石駅まで歩く予定だ。阿武隈高地の只中。散歩というよりはトレッキングに近いコースだが、天候も悪くないし、何とかなるだろう。
就寝が午前2時と遅かった割には午前5時きっかりに起床。身支度をして、桑折駅5時41分発の始発電車に乗り込む。東福島駅で下車し、徒歩7分ほどで阿武隈急行卸町駅へ。駅前のコンビニで買ったミネラルウォーターを飲んでいたら、福島発槻木行の電車がやってきた。
電車に揺られること約30分、6時47分にあぶくま駅に到着。右手は阿武隈高地の山々、左手は阿武隈川というロケーションの駅で、駅前には東南アジアの伝統建築を髣髴とさせる外観の産業伝承館そして阿武隈ライン舟下りの乗り場ぐらいしか人工物が見当たらない。あと、少し歩いた所に地元産品の販売コーナー。ここの前にラーメンと書かれた幟が何本か見られたが、ラーメン屋らしい建物は見当たらなかった。
阿武隈川に沿って県境方面に1キロほど歩くと、右手に羽出庭大橋が見えてくる。赤い欄干が特徴的だが、「大橋」と名がつく割には歩道もセンターラインもない。もっとも、この辺りの道路はどこもかしこも狭いから、この程度の道幅でも広い部類ではある。
その狭い道路の代表例が、橋を渡った先の阿武隈川沿岸を通っている国道349号線。平均道幅は4、5メートルぐらいだろうか。大型車同士のすれ違いは不可能で、県境連絡道路としての役割を果たしえていない。
国道をしばらく歩くと、県道川前白石線が右に分岐する。昨年3月24日に伊達市梁川町から越河駅まで歩いたときに通った道だ。今回の散歩先は私にとってほぼ未知の土地なだけに、見知った道路がここにあるのは心強い。この道路を1キロほど歩くと、県道越河角田線に合流。去年はこの道路を北進したが、今日は東進する。この県道は、三叉路から400メートルほどの短距離ではあるが、この地域の道路には珍しくセンターラインと歩道が設けられている。
そのセンターラインが尽きかけた時、後方から「おはようございます」との声。振り返ると、自転車に乗った小学生がいた。いつも思うことだが、都会の子供に比べて田舎の子供は格段に礼儀正しい。ちょっとした町場だったら私のようなよそ者はともすれば不審者扱いされかねないというのに。
小学生が向かった先であるらしい小学校の前を通り過ぎると、登り勾配に差し掛かる。県道越河角田線はこの登り勾配を含めて3回分水嶺を越えるが、最初の登りが結構急なので、ちょっと面食らう。息を切らせながら分水嶺を越えると、今度は急な下り坂。下り切った所が坂下という集落で、ここでちょうど散歩スタートから1時間が経過した。
最初の分水嶺の洗礼を受けたせいか意外に楽に感じられた2度目の分水嶺を越えると、T字路に突き当たる。山峡にしてはセンターラインと広い幅の歩道が設けられた道で、かなり驚いた。T字路を左折すると白石方面。沿道には白石市民バスのバス停も見える。ここは行政的には伊具郡丸森町だが生活圏は白石市に包括されるらしい。もっとも、バスは平日のみの運行で、今日は運休。貴重なバスの姿を拝むことはできない。
広い道路は緩やかな登り勾配をたどり、分水嶺白石市へ。白石市に入っても相変わらず広い道路だ。市町境付近こそ雑木林が目立つ沿道だが、白石市に入ってしばらくすると田園風景に。丸森のような山峡を想定して来たのだが、まるで逆。
ところが、中の内という集落を過ぎると、風景は一変。道路の幅員は丸森町内のように狭くなり、沿道も田畑が消え再び雑木林となる。人家は全くなく、人工物といえば山砂の採取場がいくつか見えるだけ。白石の町に近づいているはずなのに… 地理感覚が狂い掛ける。
それだけに、前方に集落が見えてきた時には、心からホッとした。宿という名の街道ファンにとっては心がちょっと動かされる集落を過ぎると、沿道は再び田園風景。前方にはNECトーキンの工場や東北新幹線白石蔵王駅など、白石市を代表する建物の姿も見えている。さあ、もう一息だ。白石市の東南部を学区とする大鷹沢小学校の少し先で主要地方道白石丸森線に合流し、白石蔵王駅近くになると、沿道には新興住宅地が展開。白石市は人口減少が進んでいると聞くがこの界隈だけは別のようで、短い距離の間にコンビニが2軒あったりしてそれなりに発展中のようだ。
そう言えば我が早朝散歩では利用したためしがない新幹線専用駅・白石蔵王の脇を過ぎると、いよいよ白石の中心街。白石蔵王駅近辺とは対照的にやや古びた街並みを通り抜け、9時36分、白石駅に到着。次の福島方面への列車はわずか6分後の9時42分発。狙った訳ではないだけに、良すぎる接続に驚いてしまった。