2008年7月13日 ~富野から丸森まで~

今週は珍しく11日から13日までの3連休だったのだが、11、12と早朝が雨天だったため散歩は中止。結局3連休中に散歩に出かけられたのは、今日13日だけだった。
今日の行程は、伊達市梁川町富野から県道丸森梁川線を経由して丸森町の中心部、そして丸森駅までというもの。丸森町は早朝散歩で2度訪れているがいずれも町の西端に位置する耕野地区しか歩いておらず、中心部は初めての来訪。クルマでの来訪、通過を含めても約10年ぶりとなる「近くて遠い町」である。
前日早く寝すぎたせいか、午前4時45分に起床。どういう訳か妻も起きていたのでトースト2枚の朝食を戴き、5時半に自宅を出発。5時41分桑折駅発の始発電車に乗り、5時48分東福島駅着、少し歩いて阿武隈急行卸町駅まで行き、6時09分発の電車に乗車。6時40分に今回の散歩の起点となる富野駅に到着した。自宅から富野駅までは直線距離で10キロほどだが、電車だと1時間もかかってしまうのがもどかしい。
さて、散歩スタート。しばらくは昨年3月24日に歩いたルートを行くが、富野駅から500メートルほど歩くとY字路に差し掛かる。昨年はY字路を左へ行ったが、今回は右へ。歩く道路は県道丸森梁川線。福島県でも宮城県でも101号線で、主要地方道に指定されていない県道の中では番号がいちばん若い。
福島県側の県道は、沿道の集落の名がついた山舟生(やまふにゅう)川に沿って進む。阿武隈川に注ぐ短くまた川幅も狭い川だが、河畔にはゴミ一つ落ちておらず清流が維持されているのが嬉しい。また、河畔にも沿道の民家の庭先にも、アジサイの花が目立つ。今がちょうど盛りだから、どこでも競うように咲いている。山舟生の集落では、先週の日曜日、そして昨日と今日にかけて、アジサイ&ホタル祭りが開催されているとのこと。特徴のない山村だとばかり思っていた山舟生だが、そんなイベントが開催されているとは知らなかった。
山舟生の集落内はセンターラインがありそれなりに歩きやすい県道であるが、行きかうクルマは殆どない。特に大型車については、梁川の街と山舟生とを結ぶ路線バスしか通らなかった。バスが通過した時乗客を確認したが、乗っていたのはわずか一人。現状でも平日6往復、土日4往復の過疎路線だが、そう遠くない将来廃止問題が俎上にあがるかもしれない。
やがて集落が尽き、山の中へ分け入る。道幅もずいぶん狭くなるが、山舟生川が沿うことだけが変わらない。そんな風景がしばらく続くと、いつの間にやら宮城県入り。県境は分水嶺かなと漠然と想像していたのだが、山舟生川の流れは相変わらずで、ちょっと面食らう。用水路のようになってしまった山舟生川を更に遡ること約2キロで、ようやく分水嶺。この先も山また山の風景が続くのかなと思いきや、眼前の展望がいきなり開け、集落や田畑が展開するので、またも驚き。ここは峠の集落。家屋や農地の様子を見ると半農反酪の集落のようで、北海道辺りにワープしたような錯覚に陥る。
周囲の風景に見とれながら歩いていると、突然、道端の藪から二匹の犬が出てきて私に吠えかける。見ると、首輪も綱もついていない! 飼い犬か野犬かわからないが、放し飼いの犬と関わるのは嫌なので、慌てて逃げ出した。私の様子を察知し追いかけてくる犬。200メートルほどお互い全速力の追いかけっことなってしまった。追いつかれるな、ヤバいなと覚悟したところで犬が諦めたように走るのを止めたので事なきを得たが、本当に肝を冷やした。
からしばらくの間は、再びセンターラインが復活する。歩きやすいが、相変わらずクルマの通行量は少ない。しかもこちらを走るバスは、日曜運休だ。時折廃屋も見られる集落、そして明日の朝までバスが来ないバス停を、いくつか通過する。
峠から3キロほど先の川田島集落の先で、道幅が再び狭くなる。沿道にも農地が消え山が迫ってくる。こころなしか勾配も急になったようだ。街場に近づいているはずなのに山間に分け入るような錯覚を抱くのは、先々週歩いた白石市大鷹沢の県道川前白石線に似ている。
沿道を行くクルマは相変わらず少ないが、どういう訳かジープの割合が高い。沿道近くにクレー射撃場があるので、そこへの来訪者だろうか。ジープはクレー射撃とは何の関連性もないが、射撃に似合うクルマのような気はする。
下り勾配の山道をしばらく歩くと、前方に住宅街が登場。ようやく、丸森町の中心街に到着だ。20年ほど前までは人口2万を超えていた丸森町だが、現在の人口は1万6千。そのせいか、中心街全体がなんとなく元気なく感じる。唯一の救いは、中心街の真ん真ん中に鎮座している齋理屋敷。阿武隈川の舟運で財を成したという地元の豪商の邸宅を整備、公開したというこの屋敷は、今や街のシンボル。蔵屋敷風のこの建物を模した建物も周囲に何件か見られ、同じく宮城県南にある村田町の中心街と同様将来的に「擬似歴史的街並み」が形成される可能性を秘めている。
中心街を過ぎると、前方に阿武隈川が現れる。ようやく今日のメインイベントだ。渡る橋は丸森橋。国道113号線に架かり丸森町にとっては仙台方面と町の中心街とを結ぶ最重要となる橋ではあるものの、老朽化が進んでいるのが難点。1キロほど下流に新橋の架橋が計画されており丸森橋から眺めたところ橋脚はできているようだが、完成は早くて2、3年先といったところだろうか。
散歩の終点となる丸森駅は、丸森橋から1キロちょっと北にある。阿武隈急行の前身となる国鉄丸森線の開通から今年でちょうど40年経つが、駅前は開発が進まず住宅地と田畑が入り混じった風景でちょっと残念。ただし、駅自体はいかにも国鉄が作りましたという雰囲気の無骨なものであり、コテコテとシンボリックな駅舎を建てたがる阿武隈急行の中では異彩を放っていて逆に好感が持てた。