2008年7月20日 ~二本松金屋線を歩く~

ここ数回の散歩では阿武隈川の橋を渡るついでに川沿い、あるいは川から多少離れた地域を訪れるというパターンが定着していたが、今回訪れる安達地方南部については、そうはいかない面がある。と言うのも、針道、小浜といった川の東側に位置する主要な町・集落は昨年既に来訪済なのだ。過去に一度も訪れたことがない地域をチョイスしようとすれば、どうしても川沿いに歩くルートを選択せざるを得ない。従って今回は、二本松を起点とし阿武隈川の橋を渡れるだけ渡って本宮へ、というルートになってしまった。
前々回の散歩と同様に、5時41分桑折駅発の始発電車で出発し、定刻6時28分に二本松駅着。同じく前々回の散歩で歩いてちょっと気に入ったまゆみ(真弓)通りを歩き、歩道橋で東北本線の線路を越えて、国道459号線へ。しばらく歩くと市街地が尽き田畑が増え始め、本日一本目の橋となる高田橋が現れる。国道に架かるだけあって立派な橋だ。
橋を渡った直後の交差点を右折し、主要地方道二本松金屋線に入る。この道路は二本松から郡山まで一貫して阿武隈川の東岸に沿っており、今回の散歩のルート選定にあたっては重要な役割を果たしてもいる。もしこの道路がなければ、安達地方に多く展開する丘陵地をいくつか越えねばならないところだった。
主要地方道の沿道は、一部に工業団地が見られるものの、大半が田畑、竹林、雑木林で、通過交通も殆どなく静寂そのもの。ただ、竹林にさえぎられてよく見えないものの右手に阿武隈川が流れており、水流がかすかに聞こえている。散歩しがいのあるロケーションではある。
二本松市北トロミという由来を探りたくなりがちな地名の場所に差し掛かると右手に橋が登場。本日二本目の橋となる舟形橋だ。通過交通は相変わらず少ないが農免道路に架かる橋だけあって車道にはセンターラインがきっちり引かれているし、歩道も設置されている。
橋を渡った先が、橋名の由来となった舟形地区。国道や鉄道といった喧騒とも離れており、典型的な農村地帯だ。東北本線杉田駅への案内表示が見えるが、駅も線路も全然見えやしない。改めて、この地域を歩いて良かったなと思う。
杉田川に架かる落合橋を渡り、しばらく歩くと本日三本目の橋となる菅田橋が登場。実はこの菅田橋、個人的には気になっていた橋の一つであった。
と言うのも、二本松市より下流に架かる阿武隈川の橋は県道ないしはそれに順ずる規格の道路が殆どで道路の幅も最低でも片側1車線が確保されている(ただし、福島市中心部に架かる松齢橋を除く)のに、菅田橋は地図で見る限りは道幅も細く、まったくの「生活道路の橋」だったからだ。事実、菅田橋を眼前にすると、大型車のすれ違いが難しそうな道幅、子供が簡単に乗り越えられそうな欄干が、どうしても気になる。これまで渡ってきた橋とは比べ物にならないほど貧相だ。橋を渡ると同時に二本松市から本宮市に入ったはずだが、境界を示す標識すらない。
ただし、交通量に関しては、意外に多かった。県道には指定されていないまでも、二本松市本宮市の東部と国道4号線とを結ぶ重要路線なのであろうか。それなりの需要があるのであればできるだけ早期に改修して欲しいものだと思う。
菅田橋を渡った先は、再び主要地方道二本松金屋線。二本松近辺に比べて田畑が減り丘陵が川岸に迫る感があるがさすがは主要地方道で車線はセンターラインを確保し歩きやすいな… と思ったのも束の間。菅田橋から1キロほど南から、幅3メートルあるかどうかという隘路になってしまう。こうなると、普通車同士のすれ違いも難しく、事実対抗車両と鉢合わせした車両同士がすれ違いのできるスペースまでかなりの距離をバックしている場面にも出くわした。
そんな感じで寂寥感のある沿道を堪能していたのだが、しばらく歩くと、頭上高くで阿武隈川と我が主要地方道とを一跨ぎにしている安達太良大橋の存在に、頭を抱えてしまうことになる。この橋までどうやってたどり着けばいいんだろう? と。安達太良大橋は2003年に架けられた新しい橋。橋がを経由する安達太良ドリームライン本宮市東部(旧白沢村)と国道4号線とをまっすぐ結ぶ目的の道路であるから、阿武隈川に沿ってクネクネ進むオンボロ主要地方道への配慮はないのだろう。結局、取付道路は見つからず、安達太良大橋の渡橋は次回以降に持ち越さざるを得なかった。
「安達太良大橋ショック」を引きずったままトボトボと主要地方道を歩くこと20分ほど、丘陵に挟まれた風景が急速に開ける。遠方には、本宮の街。今日は人家の少ない所ばかりを歩いていたから、何となくホッとする。道幅も広くなり、センターラインや歩道まで登場する。交通量は相変わらず少ないので、やや過分な扱いのように思える。
本宮の市街地に入り、本日四本目の橋となる安達橋を渡る。本宮と三春とを結ぶ街道に架かる橋だが2004年に架け替えられており、古の面影は残念ながらしのぶべくもなかった。