2009年1月16日 ~免許センターまで歩く~

私の誕生日は2月13日であり、また、今年は運転免許更新の年にあたる。
年明け早々に更新依頼のハガキが公安委員会から来たので、今日休日を取って福島市町庭坂にある運転免許センターまで行くことにした。もちろん徒歩で。ただし、今は厳寒の時期だし適性検査や講習を受ける手前、いつものように2時間も3時間も歩いていられない。
従って、私の脚なら1時間半で歩けそうな距離ということで免許センターから8キロほど離れた福島駅を起点にすることを事前に決めてはいたものの、どのルートを歩くかは散歩直前まで迷っていた。候補としては、福島駅西口からまっすぐ延びる高湯街道(主要地方道福島吾妻裏磐梯線)、八島田街道(県道庭坂福島線)があるが、少々マニアックな私は、その北側を通る道を歩くことにした。まず福島駅から岩代清水駅付近まで飯坂街道(主要地方道福島飯坂線)を歩き、ここで左折して福島市道泉萱場線に入り、福島刑務所付近や梨の産地として知られる萱場を通過するというものだ。
夜が明けたばかりの6時40分に起床。「今日更新じゃないの?」と急かす妻に押し出される形で、食事もそこそこに家を出る。桑折駅7時12分発の電車に乗り、高校生でごった返す電車に揺られて7時27分に福島駅に着いた。
さて、ここから、約一ヶ月ぶりとなる2009年初散歩である。通勤通学者でそれなりに人通りがある福島の中心部を抜け、飯坂街道へ。以前も歩いたことがある道ではあるが、数日前に降った雪が歩道に残っており、ちょっと歩きにくい。沿道の商店や住宅がなまじ雪かきをするものだから、特に日陰になる歩道の一部分にはどうしても雪が残ってしまう。岩代清水駅近くにあるヨークベニマルの駐車場には、高さが1メートルを軽く超える雪と泥の混じった山ができていた。
JAの建物が角にあるT字路を左折。泉萱場線に入る。意外に歩道が広く歩きやすい印象だが、あいにく東西方向に伸びているため特に建物の陰になる南側の歩道に残雪が多い。もっと天候の良い日に再訪したいと思う。時計を見ると午前8時。通勤、通学の波はピークを過ぎクルマの通行量はさほど多くはないが、その代わりに付近にある福島工業高校の運動部員が勢い良く走っているのが目立つ。
福島西道路を小じゃれたデザインの地下歩道でアンダークロスすると、市道の幅は若干狭くなる。が、歩道は引き続き整備されているので、歩きにくいということはない。沿道には「松南」と書かれた看板が目立つ。このあたりの住宅地の通称らしい。ちなみに「松」とは市道の北側を流れる松川のこと。川沿いに飯坂温泉や摺上渓谷を擁する摺上川、同じく土湯温泉あづま総合運動公園を擁する荒川に比べて松川は福島市南端の松川町とも紛らわしいし福島市内を流れる川の中でもやや影が薄い印象があったが、住民にはそれなりの愛着を持たれているようだ。
そんな住宅街を2キロほど歩く。徐々に住宅の密度が少なくなり、果樹園なども登場する。そんなところに不意に、左折すると免許センターに行く矢印が掲げられた看板がある交差点が登場。あれ? こっちが近道だったっけと疑問に思いつつも看板に従って左折。そう言えば、刑務所の前を通っていなかったなと気がついたのは、左折して5分ほど歩いた後のことだった。予定が若干狂ってしまったが、仕方がない、気を取り直して免許センターを目指すことにしよう。
左折してから1キロほど歩くと、交差点に差し掛かる。珍しい五叉路だ。沿道の表示で、どうやらここが八島田街道の交差点らしいことを知る。福島市内でも比較的早い時期に市街化が進んだせいか、泉萱場線沿道に比べて古い住宅が多い。
この五叉路で右折し、免許センター方向に進路を取る。よりによって右折方向の道が二股に分かれていたが、とりあえず泉萱場線に近づきたいので、右の道路を選択。なお、左の道は八島田街道のようだ。歩いてみるとセンターラインすらない隘路で若干不安になったが、ほどなくしてバス停を発見。見ると、このバス停は福島駅方面と免許センター方面とを結ぶバス路線上に位置し、日中は1時間に1~2往復のバスが走っているようだ。免許センターという大口得意先があるとはいえ、この本数は福島市近郊部においては異例の多さ。多分少し南に歩くと奥羽本線笹木野駅があるはずだが、こちらは1日11往復で午前中からお昼にかけて4時間程度普通列車が走らない時間帯があるから、相手にならない。それはともかく、この道路がバス通りであることに一安心し、歩を先に進める。
沿道はしばらくの間住宅街であったが、東北自動車道をアンダークロスするととたんに農村地帯になる。このあたりは梨の産地であるはずだが、思ったより水田も多い。1キロほど歩くと、交差点。交叉する道はセンターラインもあるしっかりした道路、一方私の歩いている道は交差点から先はますます幅が狭くなっておりとてもじゃないがバスなど通れそうもない状況だ。ならば右折か左折でもしておくべきかなと思いかけたが、私の選択はなんと直進。しかしこれが、大失敗であった。
交差点から先を歩くと、周囲の景観がほぼ梨畑一色となる。左手前方には、ようやく免許センターらしい建物が見えてきた。
ところが、この梨畑というもの、なかなか厄介である。田んぼとの相違点は、畑の区画が田んぼに比べてかなり広いこと、また区画の周囲の道路が必ずしも直線ではないこと、そして枝がちょうど大人の目の高さのところで広がっており視界が遮られてしまうことの3点。だから、近くに免許センターが見えているのにそこへとたどり着けそうな道路がなかなか見つからないし、仮に見つかったとしても見通しがきかないので果たして本当に免許センター方向へ続いているのかわからない。意外なダンジョンである。
しばらく歩くと、広い道路に差し掛かる。右手に見えるJU福島の建物に、見覚えがあった。ここ、フルーツラインじゃん! 近道が見つからぬまま、大回りを強いられてしまった次第。それもこれも、曲がり角を間違えてしまったせいだ。渡辺真知子の曲を地でいくマヌケぶりである。
結局、フルーツラインをひたすら歩いて、ようやく免許センターへとたどり着いた次第。到着時刻は9時05分。迷い道の結果、予定していた時刻より若干遅れてしまった。梨畑に囲まれた免許センターではあるが、正門付近には免許取得試験受験者御用達の旅館が何軒か並んでおり、ちょっとした観光地のような雰囲気であった。