2010年2月22日 ~東邦銀行支店巡礼⑥ 二本松支店(後半)~

このまま奥州街道を歩いて二本松の旧市街に入り、根崎、竹田の商店街を歩く。10年ほど前から道路の拡張と沿道の建物の城下町風外観へのリニューアルが進められている。ロードサイドショップ全盛の時代で苦戦を強いられている商店街なだけに、観光に活路を見出そうということなのだろう。
そう言えば、根崎、竹田は、毎年秋に二本松の菊人形が開催されることで知られる霞ヶ城公園の入口にあたる。奥州街道は竹田町内の交差点で左折し家具屋が建ち並ぶ竹田坂で市街の南北を別っている観音丘陵を越えた後二本松駅方面へと進んでいるが、私は奥州街道を行かず、そのまま直進して霞ヶ城公園がある郭内へと進んだ。時計を見ると8時を過ぎたばかり。二本松支店のATMが開く時刻は8時45分だから、まだ余裕がある。郭内は、城下町時代は武家屋敷地だったとのことで、商店は少なく住宅地となっている。せめて屋敷の一軒か二軒残っていれば面白かったのだが、期待するのが酷というものかもしれない。
その代わりと言ってはかなり違和感があるのだが、「女と男の未来館」と名付けられた福島県男女共生センターの新しくて大きな建物が建っている。男女共生は確かに重要な課題なのかもしれないが、テーマに比して建物の規模が大きすぎる気がしないでもない。しかもどうして、県庁所在地の福島市ではなく二本松に建てられたのだろう。謎が謎を呼ぶ建物だ。
霞ヶ城公園は、未来館の先にある交差点を右折した先にある。時計を確認し、とりあえず、二本松少年隊銅像が建てられている箕輪門の前まで歩く。門前は広場となっているが、周囲を見ると、ここ数年二本松市の新名物として盛んにPRが図られている安達太良カレーの幟を掲げたレストランや土産物屋が目立つ。二本松名産の玉羊羹の老舗・玉嶋屋の店舗が見られるのがいかにも二本松らしいが、どういう訳かその隣が郡山名産の薄皮饅頭で知られる柏屋の店舗であった。
霞ヶ城公園の西側で、観音丘陵を越える。サミットの頭上で、遊歩道が跨いでいる。この遊歩道を歩いて二本松支店へ行くのも一興かなと考えかけたが、前方に城下町西端に位置する若宮の街並みが見えてきたので、やめにする。坂を降り切った所の交差点で、再び奥州街道と合流。直進すれば本宮、郡山方面へと出られるが、そちらには行かず左折して若宮、松岡の街を歩く。若宮、松岡もまた、根崎、竹田と同様に、歩道がカラー舗装され灯篭をイメージした街灯が整備されるなど、城下町的なムードづくりに力を注いでいる。
二本松駅が所在する本町(もとまち)に出たところで時計を見ると、8時38分。霞ヶ城公園まで遠回りして時間稼ぎをしたつもりではあったが、まだ若干時間が余っていたようだ。駅近くにあり菊人形と並ぶ二本松の秋の風物詩・ちょうちん祭りが例大祭として行われることで知られる二本松神社に、トイレ休憩を兼ねて立ち寄る。
すると、入口の標柱が妙なことになっていることに気づく。「縣社 二本松神社」と書かれていたはずなのだが、「縣社」の部分がセメントか何かで塗りつぶされているのだ。社格制度は第二次世界大戦後に廃止されたとはいえ、あまりにも生々しすぎる痕跡だ。これを復元すべきかこのまま残すべきか、あるいはまったく新しい標柱を再建するかは、意見が分かれるところであろう。
そんなこんなで時間をつぶし、本町のほぼ中ほどにある二本松支店に到着。例によってATMで1,000円を入金。通帳に記載された端末記号・店番欄を見ると「1113」であった。端末機号欄が「1」。これが川俣支店(111)で出ていれば良かったのに。
さて、本日の目的は終了した。が、散歩の終点は、二本松駅ではなく、国道4号線を戻った先にある安達駅と決めている。今歩いている道をそのまま東へと歩けば国道に出られるが、二本松市内でもう一つ見たい場所があった私は、逆に西へと向かった。その場所は、二本松駅の南側に位置する金色(かないろ)。二本松市役所の所在地である。これだけ二本松の街を歩いた訳だから、一応市役所ぐらいは表敬訪問しようと思ったのだ。
駅前を再び通過し、二本松郵便局の先にある交差点で左折。陸橋で東北本線をオーバークロスした先が金色だ。新興住宅が建ち並ぶ丘の上に、市役所はある。6階建ての立派な庁舎だ。駅近辺からの比高もかなり高いから、「新・二本松城」の雰囲気さえ漂っている。
市役所の他に、金色にはもう一つ、妙に立派な建物がある。何だろうと思って近づいてみると、二本松信用金庫の本部・しんきん館であった。二本松信用金庫は本町に本店を有しているが、実質的な本店機能はどうやらこちらになるらしい。それにしても、旧来の街から離れた地に本部を建てておいて「しんきんかん」とはいったいどういう了見なのだろう。軽い不満が残るネーミングではある。
少し歩くと、国道4号線に出る。4車線の立派な道路で、クルマが高速でひっきりなしに通っている。歩道も整備されてはいるものの、騒音があまりにもひどいので肝を冷やす。安達駅付近まで50分ほど我慢して歩いたが、駅へと向かう脇道に入った時には心の底からホッとした。次回の散歩は安達駅付近から南福島支店(114)の近くまで再び国道を歩くことになるのだが、耐えられるだろうか…