2010年3月1日 ~東邦銀行支店巡礼⑨ 福島駅前支店・蓬莱支店~

昨日は勤務先の棚卸で、帰宅も遅かった。
今日は休みがもらえたので、本来ならば自宅でゴロゴロしているべきなのかもしれない。
が、妻が所用で午前中外出するという。子供は学校と幼稚園だし、家族皆が家を空ける中私だけが自宅に居座るのも逆に落ち着かないので、結局散歩に行くことにした。
桑折駅発7時45分の上り電車に乗車し、前回の散歩の終着地点である東福島駅に7時52分到着。時間帯が時間帯だけあってか車内は高校生が多く、どういう訳か東福島駅で下車したお客さんにも高校生が多かった。あれ、この辺には高校はなかったはずだけどと思うが、下車した高校生が自転車置場に向かうのを見て、疑問はすぐに氷解した。サドルにまたがり颯爽と去って行った彼女たちが向かう方角から推察するに、前回の散歩で近くを歩いた福島商業高校へと向かうらしい。電車に乗った後で自転車に乗り継ぐという通学手段には少し驚いたが、確かに福島商業高校は直線距離だと東福島駅から南に2キロほどしか離れていない。
とは言うものの、両者をまっすぐに結ぶ道路は存在しないのが実情だ。県道飯坂保原線(北幹線)、阿武隈急行の線路、八反田川など障壁がいくつもあって、高校生もあっちへ曲がりこっちへ曲がりしながらの運転を余儀なくされる。
私だってそうだ。次の訪問先である福島駅前支店(118)へと向かうのに、どのルートを歩こうか頭を悩ませる。東福島駅から福島駅方面へと向かうルートは国道4号線国道13号線の二つあるが、直線距離で言えば後者の方が断然短い。が、国道13号線に出るまでの道が、細いうえにゴチャゴチャとしている。歩いたルートだけ端的に言うと、駅から線路沿いに南下して300メートルほど先にある大原医療センターの辺りから延びているガードで東北本線をくぐった後東北本線阿武隈急行との分岐点の西側にあるゴルフ練習場の脇を通って福島市道鎌田笹谷線に出て300メートルほど西進し、交差点を左折し再び南下し矢野目小学校の脇を通った後今度は踏切で再び東北本線を横断、更に歩くと前回の散歩で歩いた福商通り(福島市道北沢又丸子線)につきあたり、これを200メートルほど西進し壁谷沢の交差点でようやく国道13号線に出た次第。特にインパクトある風景には出会わなかったが、矢野目小学校の北側を流れている耳取川の河畔が親水公園になっていたのは好ましく映った。
国道13号線を南下し、松川を渡る。この辺りでも、福島商業高校への通学中と思しき自転車姿の高校生と何度もすれ違う。時計を見ると8時半に近づいている。学校間に合うのか、遅刻しないのかと、赤の他人の高校生に向かって心の中で呼びかける。
前方にそびえる信夫山がだんだん大きくなってくる。国道はこの山を大胆にトンネルで通り抜けている。トンネルの中はクルマの騒音が反響するので歩いていると恐怖感が増幅されるものだが、信夫山のトンネルは車道と歩道が完全に分離しているので、その心配はない。ただ、幅員が狭い歩道トンネルには多少の圧迫感を感じなくもない。トンネルの中を歩いている際前と後から同時に敵襲を受ければひとたまりもないだろうな、と悪い想像を巡らせてしまったりもする。
そんな訳で、トンネルを出た時には正直ホッとした。目の前に福島の中心市街地が広がっているのもまた、心強さを倍加させる。しかも、国道を南下するごとにビルや商店が徐々に増えていく。その中核に位置するのが福島駅前一帯であり、福島駅前支店はその名の通り駅前広場に面したエスタビルの1階に所在する。
店内へ。扉に書かれたATMの営業時間を見て驚く。なんと午前7時から開いているではないか。東邦銀行のATMは午前8時45分からの営業という頭があったのでそこから逆算して桑折駅発7時45分の電車に乗ったのだが、このことを知っていたならばもっと早い電車で出発できたのにと後悔しかける。でもまあ、過ぎたことは仕方がない。なお、福島駅前支店における通帳末尾の端末記号・店番欄の記載は「A118」であった。
福島駅前支店の次に目指すのは、福島市南部の丘陵に位置する蓬莱支店(119)である。まずは、惣菜のおいしそうな匂いが漂う中合福島店のツイン広場を通り抜け、平和通りを横断して旧城下町の街並みへと進む。小路を適当にチョイスして歩いたが、西裡通り、密語橋(ささやきばし)通りなど、城下町時代の雰囲気を現した(旧町名ではない)通り名が見られるのが面白い。また、時代背景がバラバラではあるものの、この界隈は、1927年に建てられた純和風建築でかつては日銀福島支店長邸宅だった御倉亭が保存されたり、付近の阿武隈川の河畔も明治時代初期まで続いた舟運の船着場跡が再現されたりと、景観づくりにも余念がない。阿武隈川に架かる天神橋のたもとには、福島市が生んだ作曲家・古関裕而が昨年生誕100年を迎えたのを記念して、1931年に作詞野村俊夫、作曲古関のコンビでつくられた「福島行進曲」の歌碑が建っていた。古関をまちづくりの軸に据えた動きもまた、福島市では盛んになりつつある。
その天神橋を渡って渡利の住宅地へと出、南下して国道4号線に合流した後、弁天橋で阿武隈川を再渡河する。東邦銀行巡礼散歩で阿武隈川の橋を渡るのは1月13日に渡った文知摺橋及び月の輪大橋、1月30日に渡った伊達橋、2月12日に渡った逢隈橋に次いで、通算六つ目。阿武隈川でも同じ橋を二度渡りたくないと考えているのだが、川の東岸でまだ訪れていない店舗は渡利支店(124)のみだから、ダブリ渡橋はたぶん回避できるだろう。なお、渡利支店は次々回に訪問予定である。
国道4号線を更に南下し、鳥谷野、黒岩と進む。この辺りの国道は、ロードサイドショップの進出が著しい。恐らく福島市内でも一、二を争う規模ではなかろうか。だからであろうか、近年では国道と直行する市道小倉寺大森線沿いにもロードサイドショップが展開しつつある。一つ一つの店舗を見ると、飲食店やアミューズメント施設、電気、家具、紳士服などの専門量販店が多いが、カーディーラーは旧国道沿いに多く展開していることもあってか、この界隈には殆ど見られない。
そんな景色が2キロ近く続いた後、登り坂にかかる。さすがにロードサイドショップは見られない。いや、人家すらなくなり山間の風景となる。確かこの登り坂は、福島駅の新幹線ホームからも見えたはずだ。そう思って後を振り返る。駅は「一応見ることができる」という程度だろうか。
坂道もまた2キロ近く歩くと、前々回の散歩でも訪れた伏拝交差点に着く。前々回は国道を南側から歩きこの交差点で旧国道を南福島支店(114)方面へと入ったが、今回は国道を北側から歩き同じくこの交差点で旧国道を蓬莱支店方面へと向かう。福島県内でも有数の大型ニュータウンである蓬莱へ向かう道路だけあって、旧国道は4車線と太く、交通量もそれに見合ったものである。が、アップダウンがきつい。ニュータウンに入る前に一つアップダウンがあり、旧国道が清水町宿方面へと別れニュータウン内に入ると更に登り坂がある。この時点で、歩き始めてから2時間半が経過。ある程度歩いた後に訪れるアップダウンには、さすがに疲れた。
坂を登り切ったところでようやく、蓬莱支店に到着。ニュータウンのほぼ中央に位置し、福島市役所蓬莱支所や蓬莱学習センター、福島蓬莱郵便局などと同じ敷地の中にひしめき合うように建っている。建物も個性的で、2階に設けられた人工地盤に面して窓口があり、ATMコーナーは駐車場に面した1階にあった。ATMで現金を入金。通帳末尾の端末記号・店番欄の記載は「6119」であった。なお、店番欄が「6」だったのは初めてであった。
蓬莱支店からは、ニュータウン北西端の雑木林内に設けられた石段を下りて清水町宿に出、そこから奥州街道を通って南福島駅まで歩いた。駅に着いたのは11時24分のこと。散歩開始から3時間29分が経過していた。