2010年4月14日 ~東邦銀行支店巡礼⑬ 平野支店~

10日に散歩に出掛けた時は初夏を思わせる好天だったのに、その後の空模様は乱高下を繰り返している。
12日にみぞれ交じりの雨が降ったかと思えば、13日は一転して曇天ながらも最高気温が20度を突破した。
そして今日14日。予報によると天気は曇で、最高気温は10度を切る見込みだという。それでも雨は降らないようなので、散歩に出掛けることにする。
午前5時に起床し、桑折駅発5時41分の上り始発列車に乗り込む。途中福島駅で10分ほど停車するものの、6時09分には前回の終点である南福島駅に到着した。前回の日記にも書いたように、今日はここから、この3月27日に開通した都市計画道路小倉寺大森線や福島西道路を経由して、平野支店(129)を目指す。
なお、4年前の11月19日にも南福島駅から東福島駅まで福島西道路経由で歩いたことがあり、その時は2時間16分を費やしている。だから今日も、ATMが開く8時45分よりも前に平野支店に着いてしまう可能性が高い。平野のどこで時間をつぶすかは、後述するが、一応事前に検討してはいる。
キリ良く6時10分になるのを待って、散歩スタート。駅前から奥州街道に出て500メートルほど北上しヤクルト本社の工場前を通過すると、小倉寺大森線との交差点に突き当たる。ついこないだ、2月25日に南福島支店(114)を訪れた後でここを通過したばかりだが、あの時と違った光景に、少し戸惑う。
交差点を左折し、東北本線東北新幹線とをまとめてアンダーパス。線路をくぐった先は、既にロードサイドショップがいくつか展開している。もっともこの区間も、昨年11月13日に歩いたばかりではあるが。
今は早朝ということもあり、小倉寺大森線の通行量はさほど多くない。が、立派な4車線道路だし、今後沿道の商業集積が進む可能性は高いだろう。そのうちこの道路にも、福商通り(市道北沢又丸子線)やサティ通り(市道笹谷南矢野目線)、あるいは北幹線(県道飯坂保原線)のように愛称がつくような予感はある。
しばらく歩くと、前方左手に、大森城山公園の小高い丘が見えてくる。花見の名所であり、頂上付近が桜色に染まっている。今は寒いが、一度開いた桜の花は引っ込んだりしないのが嬉しい。せっかくだから花見がてら訪れるかという気分になりかけるが、福島西道路との交差点に差し掛かったため、後ろ髪を引かれる思いで右折する。
小倉寺大森線と同じく福島西道路もまた4車線の立派な道路であるが、4年前に訪れた時はは起点であった国道115号線との交点までの区間は、沿道に商業施設はおろか住宅も殆ど見当たらない。辺り一面田植え前の田んぼであり、西にそびえる吾妻連峰からの冷たい風が容赦なくダイレクトに吹き付ける。わずかではあるが、雨もパラついてきた。こんな時は一心不乱に歩いて身体の中から温めていくしか術がない。
国道115号線を渡り従前からの開通区間に出るが、この辺りもまた、直交する旧国道115号線や微温湯街道(県道福島微温湯線)との交差点付近を別とすれば、市街化はさほど進んでいない。郊外道路としての福島西道路の本領は、荒川に架かる西大橋を渡った先にある。
その荒川であるが、西大橋付近から下流上八木田橋までの区間の南側河川敷が荒川桜づつみ河川公園となっており、今の時期はちょうど桜が見頃になっている。周囲から一段高い西大橋からは、桜が咲き誇っている様子が良く見渡せる。
見渡せるといえば、西大橋からは桜の他にもいろんなものが良く見える。右を向けば福島の中心街のビル群、左を向けば、今日は曇っていたので頂上付近がよく見えなかったのだが、吾妻連峰が展開している。そしてこれらを結んでいるのが荒川ということになるのだが、考えてみれば、源流付近から河口(阿武隈川との合流地点)付近までを一望のもとにできる河川は、それほど多くないと思う。国土交通省の水質調査で日本一の栄誉に輝く荒川であるが、この、源流から下流までが目の届く範囲にあるロケーションも、水質保全の一翼を担っているのではなかろうかと推察する。
西大橋を渡り、市街地に入る。新興住宅地と呼ぶには多少古びた感がある住宅街に、ロードサイドショップが展開する一角だ。その中で、福島西道路と高湯街道(主要地方道福島吾妻裏磐梯線)との交差点に位置するテレビユー福島の建物が、異彩を放っている。
ちなみに、この辺りの町名は、南中央、西中央、東中央、北中央と、福島の中心街から西に2キロほど離れている割にはかなり大胆な名前である。それが人口30万人弱の福島市に必要なものかどうかはわかりかねるが、副都心として整備する構想でもあったのだろうか。でもその割には行政施設も大規模商業施設もオフィスビルも存在しないし、謎が謎を呼ぶところだ。
しばらく歩くと奥羽本線の線路と交差するが、車道は高架橋で跨ぎ、歩道は地下でアンダーパスする。両道が地平で再び合流し、八島田街道(県道庭坂福島線)を渡ると、沿道はロードサイドショップ地帯となる。商業集積に関して言えば、先ほど通過した「中央」よりも恐らく上回っているのではないだろうか。業種的には、量販店よりも飲食店の割合が高いようだ。私自身、沿道の店のいくつかで食事したことがある。
時計を見ると7時半に迫ろうとしている。歩道には登校中の小中学生の姿が目立ってきた。小中学校の学区は福島西道路で区切られている訳ではないので、横断歩道や地下歩道でこちらも通勤のクルマが目立ちつつある車道を横断している。クルマが行き交う中をよく歩けるなと思うが、考えてみるとこの辺りの道路は歩道が整備されていない隘路が殆どなので、福島西道路の歩道を歩いた方が却って安全なのかもしれない。
飯坂街道(主要地方道福島飯坂線)と福島交通飯坂線をまとめて陸橋で跨ぎ、一旦地上に降りた後、再び高架を上って清水大橋で松川を渡る。確か清水大橋は、4年前に歩いた時は暫定2車線だったはずだ。松川は荒川と比べると地味な感はぬぐえないが、河川敷では荒川に勝るとも劣らない桜並木がきれいに咲き誇っている。
松川を渡ると、左手前方に福島サティの建物が見えてくる。福島西道路沿道を代表する商業施設だが、この辺りの商業機能は福島サティの敷地の南端から西へと延びているサティ通りに集積しており、福島西道路沿いはさほどでもない。ただし、店舗の構成をよく見ると、洋服の青山にAOKI、かっぱ寿司に平録寿司、幸楽苑にラーメン山岡家と、同業者がペアで近接しているのが目を引く。
福島サティを過ぎて少し歩くと、福島西道路は国道13号線に合流する。平野支店は国道の沿道、合流点から2キロほど北に位置している。
国道に入って程なく、福島と仙台とを結ぶ高速バスの停留所である原田東のバス停前を通過する。バスを待つお客さんが10人近く並んでおり相変わらずの盛況ぶりだが、バス停の周囲を見ると、自転車が何台か放置されているのが気になった。駅の自転車置場は福島近辺でもかなり整備されているが、バス停の自転車置場となると、正直整備する必要があるという認識すら抱いていなかった。高速バス網が急速に整備された2000年代に入って新しく持ち上がった都市問題と言えるだろう。
JAビルが建つ北幹線との交差点を通過し、東北自動車道福島飯坂ICの前に差し掛かる。時計を見ると、8時10分。散歩開始からちょうど2時間が経過した訳だが、平野支店が目前に迫っている。早着覚悟の散歩ではあったが、ここまで時間が余るとは思ってもいなかった。とりあえず今から寄り道するが、果たして時間をつぶしきれるかどうか。
ちなみに、寄り道先は、福島飯坂ICの至近にある東邦銀行事務センターである。JAビルと並んでこの辺りではかなり高いビルではあるのだが、これまで立ち寄った経験はなかった。せっかく近くまで来たことだし、表敬訪問しようと思ったのである。
事務センターへと至る道は、住宅地の中の隘路であった。どうしてこんな所に建っているのか不思議に思うほどだが、大事なデータが満載された施設なだけに、わかりづらいロケーションは逆に必須要件なのかもしれない。玄関もまた、警備員が常駐する門をくぐらないと入れない徹底した管理ぶりであった。私がその前を通過した際はちょうど行員の出勤時間帯と重なっており、彼らがその狭き門を通過する場面を目の当たりにした。
その行員であるが、殆どが徒歩で事務センターへと入っていく。福島交通飯坂線の平野駅が至近にあるので、電車で通勤しているのかもしれない。また、自転車通勤の行員とも、何人かすれ違った。そう言えば、現時点で東邦銀行の店舗を25ヶ所回っているが、駐車場に行員のクルマが停まっているという光景には、あまり出会った試しがない。ひょっとしたら、クルマ以外での通勤を勧奨されているのかもしれない。
事務センターを通過した後は平野駅まで出、線路に沿う飯坂街道を国道13号線との交差点まで北上した後、13号線を福島飯坂IC方面へと南下した。途中自販機でジュースを買って飲むなど時間つぶしをしたにもかかわらず、平野支店への到着時刻は8時40分。結局、自動ドアの前で5分待つことになってしまった。
8時45分になり、ようやく店内に入れるようになる。ATMで1,000円を入金。通帳末尾の端末記号・店番欄の表記は「5129」。端末記号欄が「5」なのは、方木田支店(127)以来になる。
用を済ませて平野支店を出る。目の前が交差点になっており、国道と直行する道路を東に進めば、東福島駅方面に出られる。次回の散歩は、東福島駅から福島医大病院支店(130)へと今回に引き続き福島市内を南北に縦断する予定だ。
しばらく住宅地を歩くと、やがて果樹園のただ中となる。1月20日東福島駅から飯坂支店(107)へと行く時に通った道だ。桃やリンゴは桜に比べて開花が遅いようで、まだ蕾の状態。満開まではあと一週間ほどかかりそうな雰囲気であった。