2010年5月26日 ~東邦銀行支店巡礼⑲ 降雨コールドゲーム~

給料日が25日なので、直後の休日となる26日は、散歩に行こうと前々から決めていた。
が、どうも雲行きが思わしくない。25日の午前中は日差しがあったものの、夕方から雷を伴う雨。予報によると、26日もまた雨模様とのこと。
それでも諦めきれずに、26日は午前4時半に起床。夜明けを迎えた外を見渡すと、雨はまだ降っていたものの、昨晩よりはだいぶ落ち着いており、歩けなくはなさそうな雰囲気だ。
行こう。そう思った。
桑折駅発5時41分の始発電車に乗車し、鉛色の空のもとを南下。今回の散歩の始発駅となる日和田駅には6時47分に到着。下りる客は私一人かと思っていたが、制服姿の高校生も数人下車した。彼らはどうやら八山田にある郡山北工業高校の生徒の模様で、駅前の自転車置場で自転車に乗り換え、颯爽と走り去って行った。
日和田駅に着いた段階で、雨は完全に止んでいた。これは予想外であった。
ただし、いつまでもこんな僥倖が続くとは思えない。今日の目的地は須賀川支店(206)であるが、途中で雨に降られ散歩断念に追い込まれる可能性もある。幸いというべきかどうかはわからないが、今日のルートは、郡山の市街地西部を南北に縦貫する国道4号線あさか野バイパスを経由する。途中で交差する国道49号線、うねめ通り、新さくら通り、安高通り(主要地方道郡山湖南線)いった道路にはいずれもバス路線が通じているので、イザという時にはそちらに避難し、バスで帰ることにしよう。
日和田駅のすぐ南にある陸橋を渡り、東北本線の西側へと出る。道なりに進めば新興住宅地の中に松林が点在している奥州街道へと出られるが、今日は陸橋のすぐ先の交差点を右折し、あさか野バイパスへと歩を進める。歩く道は車道こそ2車線にとどまっているものの両側の歩道のスペースがかなり広くとられており、しかも街路樹として松の木が植えられている。日和田近辺の奥州街道に倣ったものであろうか。郷土の歴史を活かしておけば、こんな具合に模倣されるという好例だ。本家の奥州街道の方も、末永い整備と保存が望まれるところである。
国道4号線を横断し、あさか野バイパスへ。合流地点には、郡山市北部を代表する代表するショッピングモール・フェスタがデンと構えている。しばらくの間、バイパス沿いは、その敷地内の店舗群である。
フェスタの敷地が尽きると、今度は田園風景。この辺りもまた細かな起伏が連続するが、1990年代に開通したバイパスは、比高が低い個所は築堤で、高い個所は切り通しで、難なく抜けている。基本的には自動車のための道路であり交差する道路とはことごとく立体交差しているのだが、歩道もきちんと整備されており、歩きやすさも申し分ない。
過去の散歩を振り返ると、あさか野バイパスは、2007年7月29日に歩いたことがあった。あの時は安積永盛駅を起点とし郡山市須賀川市の境界にある十貫内(じっこうち)交差点から北上したのだが、今日は逆に南下する。わずか3年のスパンとはいえ、沿道がどのように変化しているのか、訪問を楽しみにしていた面はあった。
ところが、そんな思いをあざ笑うかのように、出発から30分が過ぎ、左側に八山田の新興住宅地が迫るようになると、雨が降り出してきた。最初のうちは「じきに止むさ」と楽観視していたものの、雨脚は強まるばかり。安積街道(県道荒井郡山線)と磐越西線を陸橋でまとめて超える辺りでは、Tシャツはずぶ濡れ、靴にも雨水が染み始め、散歩続行が厳しい状況に追い込まれてしまう。
ちなみにこの陸橋から郡山市中心街の方向を見ると、林立しているはずの10階建て前後のビルが逢瀬川緑地公園の緑にことごとく遮られており、木々の上方はビッグアイ他二、三の高層ビルやマンションしか望めない。さながら「森にしずむ都市」が具現化されたようでもであり良い風景だなと思うが、雨粒が眼鏡のレンズに容赦なく降り注ぐので、堪能することも不可能だ。
歩きながらどうしようかとしばし逡巡した揚句、国道49号線と交差する下亀田の交差点(と書いたが、自動車に関してはここも立体交差である)で散歩を中断し、バスで帰途につくことにした。散歩開始からちょうど1時間でのリタイアであった。
交差点からは、高速バスが停車する第六中学校バス停が近い。ひょっとしたら福島行のバスがいい塩梅に着くのではないかと期待して訪れてみたのだが、あいにく8時51分発までないとのこと。仕方なく、郡山駅前へのバスに乗ることにする。
が、こちらもまた8時05分発まで待たなければならない。20分近く雨の下で待つのも嫌だったので、国道を郡山駅方面に向かって歩く。途中でコンビニでもあれば雨宿りができたのだが、私の歩いている側の歩道にはそんなものは見つからずじまい。反対側の歩道沿いには何軒かコンビニがあったがわざわざ信号を渡って訪れるのも面倒臭く、結局、1キロ以上歩いて二つ先の桑野三丁目バス停(ちなみにここも、高速バスが停車する)まで行ってしまった。
高校生の通学ラッシュは過ぎていたものの、まだまだ通勤時間帯。国道は渋滞していたし、バスも若干遅れていたようだ。ただし、バスの中は、座席が半分埋まっていたかどうかで意外に空いている。一応散歩の直後だしそれなりに疲れてはいたものの、濡れ鼠同然の見てくれでは、座る訳にもいくまい。郡山駅前に着くまでの20分強の間、吊革につかまりながら、すっかり曇った窓ガラス越しに展開する街並みを眺める他はなかった。