2010年6月11日 ~東邦銀行支店巡礼(21) 三春支店(前半)~

6月に入って早10日が過ぎた。
そろそろ梅雨入りして良さそうなものだが、未だにその気配がない。
ここ数年、梅雨入りが遅いイメージがある。散歩好きにとっては嬉しいが、梅雨明けもまた遅くなる傾向があるので、喜んでばかりもいられない。今後の雨天順延、中止をにらみながら、今のうちに距離を稼いでおくのが得策だ。
なお、今日の訪問先は、三春支店(207)。前回の終点・磐城守山駅からだと3時間あれば着きそうだが、もう少し先、次の船引支店(208)までは難しいとしても、三春と船引の中間にある磐越東線要田駅までは、最低限のノルマとしたい。
いつものように桑折駅発5時41分の上り始発電車に乗る。前回の磐城守山駅での体験を踏まえ、切符は郡山駅まで買った。従って、6時53分着の郡山で一旦改札を出る。改札外で、トイレに行き、ジュースを買う。運賃を節約するためではなくあくまで郡山の改札外に用があるから切符を二枚に分けるのだとの素振りを見せなければ後ろめたさが残ってしょうがない。ちなみに、トイレ、ジュースの購入とも、改札を出ずとも可能である。
磐城守山駅への切符を買い直し、水郡線が発着する3番線ホームへ。上り列車は7時11分発の常陸大子行ワンマン列車で、2両編成。運転席の後には、運賃表を兼ねた駅名一覧が掲げられている。石川(303)、浅川(309)、棚倉(305)、塙(306)と、東邦銀行の支店を擁する主要駅が揃いも揃って旧国名の「磐城」を冠しているのが面白い。通勤通学の時間帯ではあるが、彼らが降りそうな駅は37.1キロも先の磐城石川までないから、車内は閑散としている。
列車は定刻通りに発車し、磐城守山駅には7時22分着。件の駅前商店の主に切符回収をされたらどうしようという気恥ずかしさがあったが、幸いワンマン列車なので運転手に切符を渡せばことが済む。
まずは、守山の町を歩く。街村状に家々が連なっており、城下町と言うよりは宿場町に近い。後で知ったが、前回、今回と歩いている主要地方道須賀川三春線にほぼ近いルートを、三春藩主が参勤交代していたらしい。守山は、郡山市中田町赤沼と並んで、須賀川と三春とを結ぶ街道の宿場町としての機能を有していたとのこと。
家並みを抜け、国道49号線を渡る。国道の方は、三春、船引、小野(209)と田村地方の支店を一巡してから、一気に歩き通す予定。歩けるのは、来月上旬か。その頃には、梅雨入りしていることであろう。
国道を渡った先は、丘陵へと分け入る。雑木林と田畑と少々の宅地。そんな単調な風景が延々と続く。須賀川から守山に至る風景もこんな感じだったか。郡山市田村町の特徴なのかもしれない。だからであろうか、郡山市が運営する東山霊園へ至る案内表示が、妙に目を引く。そう言えば、郡山市内では寺院や墓地を見る機会が極端に少ないような気がする。この辺り、北海道に似ていると言えなくもない。
守山から5キロほど歩くと、主要地方道小野郡山線と合流する。道路番号は須賀川三春線が54号、小野郡山線が65号で須賀川三春線の方が若いが、付近の様子を見ると小野郡山線の方が格上のように感じられる。合流した主要地方道は、田村町と共に郡山市東部を占めている中田町を経由する。訪れたことがない地域なので惹かれる所はあるのだが、私は中田町に背を向け小野郡山線を郡山市街方向へと進んた。ここからは須賀川三春線から離れ、郡山を代表する新興住宅地の一つである緑ヶ丘へと入ることにする。たまには都会的な風景も目に入れておかないと、バランスが悪くなる。
須賀川三春線から離れて2、3分で、緑ヶ丘へと至る道路が分岐する交差点に到着。通りの名前を見てちょっと驚く。
「美術館通り」?
美術館通りといえば、確か郡山駅の少し北から東西に延びている通りの名前のはず。東進すれば阿武隈川を渡り名前の由来となった郡山市美術館の前を通過した後確かに緑ヶ丘へと至るのだが、緑ヶ丘の区域内を通じてこの名前になっていることは初めて知った。
郡山市の通り名についてはこの日記でもいくつか書いてはいるものの、どこからどこまでが何通りなのかわからない部分も結構ある。例えば、国道4号線の通称「昭和通り」はどこからどこまでの区間を指すのか、「文化通り」や「うねめ通り」は国道49号線が境界でいいのか、等など。一度、きちんと整理する必要はあると考える。
交差点を渡り、その美術館通りの坂を登り切った所が、緑ヶ丘の住宅街。名前が名前だけあって緑が多い。街の中心を南北に縦貫している美術館通りは歩道に植え込みと街路樹、中央分離帯にも街路樹が整備されているし、家々もまた、義務化されているのか殆どの家で生垣が設けられている。
緑だけではなく、生活インフラもまた、きちんと揃っている。郡山駅前とを結ぶバス路線は郡山市美術館経由と方八町(小野郡山線)経由の2系統がそれぞれ1時間に1本以上の本数走っているし、スーパー、コンビニ、病院、公園、郵便局もちゃんとある。こういうのが揃って初めて「街」と呼べると思うが、残念ながら銀行に関しては、東邦、大東両銀行のATMがあるのみで、支店は設けられていない。
丘陵を下りると、県道斎藤下行合線へと出る。「斎藤」は人名ではなく、三春町南端の地名。「苗字は地名から採られたものが多い」とはよく耳にするが、メジャーな苗字に関して言えば、それは当てはまらないように思う。福島県の例で言うと、苗字のトップ10は佐藤、鈴木、渡辺、斎藤、遠藤、菅野、高橋、吉田、渡部、橋本となるらしいが、同名の地名はなかなか見当たらない。渡辺はいわき市にあったと思うが、佐藤、鈴木は少なくとも大字レベルでは皆無なのではないか。その意味では、斎藤という大字は、貴重な存在と言えるのかもしれない。
その斎藤は、緑ヶ丘から約2キロ、丘陵を一つ越えた先にある。ここからいよいよ三春町。もちろん散歩では初めての来訪になるが、新規訪問の自治体は、2008年9月13日に少しだけ町域を歩いた宮城県山元町以来のこととなる。なお、この時点における散歩を通じて訪れたことのある自治体数は、福島県15、宮城県18で合計33ヶ所。仙台圏以南の宮城県内では市町村合併が全然進まなかったので、どうしても宮城県の方が数が多くなる。