2010年7月21日 ~東邦銀行支店巡礼(25) 安積支店・郡山卸町支店(前半)~

今年も梅雨入りが遅かったので梅雨明けも8月上旬か、あるいは梅雨明けしないまま秋になってしまうのかと思っていたのだが、予想に反して18日に梅雨明けし、以降は連日の猛暑日となっている。
夜も蒸し暑く、なかなか寝付けない。我が家では親子で枕を並べているので、タオルケットを剥いだ子供が転がってきて私にまとわりついてきたり、ひどい場合蹴っ飛ばしたりする。その度に目が覚める。
20日の夜もそのパターン。何度目かの目覚めを迎えた時、時計は午前3時を指していた。ここでまた眠ってしまうと寝過す可能性があったので、無理して起きる。妻子が気持ちよく眠っている真っ暗なリビングで、ネットサーフィンをして暇を潰していた。
 
夜が明け、5時半前に自宅を出発。いつものように、桑折駅発5時41分の始発列車に乗り込む。車内で少しでも寝ようと思っていたが、出発間際にコーヒーを飲んだせいもあり、なかなか眠れない。流れに任せるしかないか…と思っていたら、よりによって五百川を渡り郡山市域に入ってから、強烈な眠気が襲ってきた。今日の散歩のスタートは水郡線磐城守山駅だから、乗換駅の郡山で寝過すとスケジュールが大幅に狂う。だからなんとか我慢する。
郡山駅に到着後、プラットホームで眠気覚ましのコーヒーを再度補充し、水郡線の発着する3番線へ。通勤通学客の殆どいない閑散とした列車に揺られ、磐城守山駅に着いたのは、7時22分のことであった。
都合4度目の来訪となる守山の町を通り抜け、北外れにある交差点で左折。県道田村安積線へと入る。県道の名にある田村は守山が属する田村地区(旧田村郡田村町)、安積は田村地区と阿武隈川を挟んで対峙している安積地区(旧安積郡安積町)のことであろうが、クルマの通行量は意外に多いようだ。どうやら、2車線しかなく慢性的な交通渋滞に悩まされている国道49号線の裏道として、田村、安積両地区の枠を超えて利用されているらしい。
守山の町を抜けると、田園地帯に入る。右手遠方には、日大工学部やビッグアイなど、郡山を代表する建築物が見渡せる。そしてその更に先には、安達太良山の姿。守山近辺から安達太良山が見えるとは、思いもよらなかった。なお、今日の散歩は、安積(211)、郡山卸町(212)の両支店を経由して、磐越西線喜久田駅へと至る予定。郡山市街の北西に位置する喜久田からだと、安達太良山の姿はよりハッキリと見えるはずだ。
ところで、守山から安達太良山の姿が見えるということは、今日の天気が快晴であることを意味している。今日も真夏日、あるいは猛暑日という展開であろうか。夏の日の散歩は何度も経験があるから大丈夫だろうと高をくくってはみるが、前夜の寝不足もあり、一応不安材料ではある。
不安材料はもう一つある。田村安積線の歩道が、所々にしか整備されていないのだ。先述したようにクルマの通行量はそれなりにあるし、沿道には中学校もありヘルメットを被った中学生と何度もすれ違っている。少なくとも、中学生が安全に通行できるよう、歩道は完全整備するべきではなかろうか。
阿武隈川に架かる御代田橋もまた、歩道が全く整備されていなかった。眼下の阿武隈川が幅広く堂々たる流れを見せていただけに、大河に似つかわしくない橋だと思う。
橋を渡って県道を直進すると奥州街道(県道須賀川二本松線)とのT字路に突き当たるが、今回は、橋の袂から延びているサイクリングロードを北上し、安積地区の中心に位置する安積永盛駅方面へと向かう。奥州街道は、郡山東支店(222)から須賀川東支店(223)へと向かう途中で、歩く予定を立てている。
代田橋からしばらくの間は雑木林の只中ですぐ右手に流れているはずの阿武隈川の姿さえなかなか見えなかったサイクリングロードであるが、安積永盛駅が近づくと様相が一変し、右手には阿武隈川、左手には奥州街道の笹川宿という風景になる。福島県中通りの基軸となる阿武隈川であるが、川と宿場町のコラボレーションとなると、福島、本宮、白河の各市の中心市街地とこの笹川しかない。往時は笹川と沿岸各所とを結ぶ小規模な渡し船も通っていたのかなと想像してしまう。例えば中通り北部のように阿武隈川を下り河口の宮城県亘理町荒浜に至るものではなく、逆に白河まで遡った後栃木県大田原市黒羽辺りまで陸送し、那珂川の舟運で江戸を目指したというルートはありかな、と。もっともこれは、阿武隈川那珂川の上流の状況を知らない好事家の戯言であるけれど。
ここでサイクリングロードを離れ、笹川の町を通り、安積永盛駅駅へと向かう。日大工学部や日大東北高校への通学利用が多く郡山市内では数少ない駅員配置駅のひとつであるが、郡山ブロックの支店を巡るこの散歩では日和田、磐城守山、要田、菅谷とJRの職員が詰めていない駅ばかり利用しており、乗降する縁がない。せめて利用した気分にだけでも浸ろうと、木造の駅舎をじっくり眺める。
駅前広場からは、線路の反対側へと渡る歩道橋が延びている。国道4号線や安積支店はそちら側にあるので、渡らざるを得ない。渡り終えたところで、散歩開始から1時間が経過した。
駅前から西に歩き、国道へと出る。ロードサイドショップが連なり、笹川とは違った顔を見せている。この辺りの住所もまた「郡山市安積」。周辺地域が「郡山市安積町○○」と名乗っているのとは対照的で、「ここが安積地区の中心であるぞ」との自己主張を感じてしまう。
安積支店は、国道を北上して5分ほど、郡山南インター線との交差点近くにあった。時計を見ると、8時28分。ATMが開くまで17分も待たねばならない。
この事態は、一応想定していた。だから支店周辺で暇を潰せるスポットがないかどうか事前にリサーチしてもいたのだが、どうやらそんなものはなさそうだ。仕方なく、すぐ近くにある公園で待機。自販機で買ったジュースを飲み干し、トイレで小用を済ませ、既に汗でびっしょりとなっていたタオルを水飲み場でゆすぐ。
8時45分。自動ドアが開く。冷房が効いて非常に涼しいATMコーナーで、1,000円を入金。これで、通帳の残高は、40,000円となった。
さて、次は郡山卸町支店だ。国道を更に北上する。が、気温が上昇し始めてきたのか、この辺りから暑さが気になってきた。できる限り建物の影を通れるように東側の歩道を歩いていたのだが、幅広い国道のこと。アスファルトの照り返しもあって日陰程度では暑さを防ぎきれない。加えて、ビッグパレットふくしま周辺に展開する郡山南拠点地区土地区画整理事業の施行区域に入ると、沿道の店が広々とした駐車場を設けたものばかりになってしまうため、道路沿いに建物がないばかりか駐車場からの照り返しをも受ける羽目になった。
これはたまらない。国道49号線を渡る辺りまでは我慢できたが、郡山を代表する結婚式場のひとつであるベルヴィ郡山館を過ぎたところで、裏道へと避難した。もっとも、これは窮余の策ではなく、予定していた行動。郡山市中心部を裏道で通り抜け、喜久田へと至る安積街道(県道荒井郡山線)へと合流する算段なのだ。
ロードサイドショップが連なる国道とは違い、生活感を味わえる裏道は、歩いていて楽しい。沿道に建物がひしめいているので路面は日陰になるし、いくつかの家の窓に設けられているヨシズや風鈴といった小道具も、涼を感じさせてくれる。