2010年7月28日 ~東邦銀行支店巡礼(26) 菜根支店・郡山市役所支店・桑野支店(前半)~

1週間前の21日に散歩で、3日前の25日にクルマで、郡山を訪れたというのに、今日28日もまた、郡山へと散歩に出掛ける。まるでこの街に対して偏愛を抱いているかのような状況であるが、訪れるべき支店が当分郡山市内に所在するものばかりなため、やむを得ない面がある。街の風景は楽しいし刺激的ではあるものの、しばらく続くとまた郊外に出たくなる。身勝手なものだ。
なお、今日の訪問予定は、前回の終点・喜久田駅を起点に国道49号線を南下してまず菜根支店(213)に立ち寄った後、反転して北上し郡山市役所(214)、桑野(215)の各支店を訪れる。この後も店舗コードの順番的には大槻(218)、新さくら通り(219)と近場の支店が続くのだが、大槻支店以降の訪問は次回の散歩に回したい。
このところ仕事が忙しく疲れが溜まっていたせいか、起床したのは午前5時15分のことであった。ヤバい、急がなければ。10分ほどで着替え、財布、通帳を準備し、自宅を出発する。乗車するのは、いつものように桑折駅発5時41分の上り始発電車である。
郡山駅6時53分着。ここで6時57分発の磐越西線の下り列車に乗り換える。乗車率は3割程度といったところだが、いくつかあるボックス席はどこも誰かしらが座っているため、スンナリ座れそうな席がなかなか見当たらない。やむを得ず、年配の男性が座っていたボックス席に、後ろ向きで腰かける。
喜久田駅に到着したのは、7時04分のことであった。まずはここから国道49号線に出て南下し、菜根支店を目指す。喜久田駅から菜根支店までは、約8キロ。歩行時間は1時間半程度を見込んでいる。従って、ATMコーナーが開く8時45分以前に到着してしまう可能性が高いが、その時はまた、前回の安積支店(211)の時のように、近くの公園で暇をつぶすとしよう。
そんな事情なので、喜久田駅周辺ではちょっと遠回りをする。駅前から西へとまっすぐ延びている道を歩けば5分ほどで国道49号線へと出られるのだが、安積街道を北進し、喜久田の中心集落である堀之内を通ってみた。集落の規模は守山と五十歩百歩といったところであるが、大東銀行の支店がある。郡山に本社を有する第二地銀だけあり、大東銀行は、喜久田の他、日和田や八山田、あるいは郡山市東部の方八町や田村町金屋など、東邦銀行の支店がない地域にも店舗を展開しているのが特徴だ。
集落を抜け、国道49号線に出る。合流地点の交差点近くには穏津島(おきつしま)神社の鳥居があり、安積街道はこの神社への参道の役割を果たしていたようにも見える。
この交差点の300メートルほど北から、国道49号線は4車線となっている。歩道も整備されており歩きやすいが、沿道に建物が少ないため、日陰が全くないのが難点。今日も青天。朝日が容赦なくアスファルトに照りつけている。
日陰にようやくありつけたのは、国道を2キロほど南下し、東北自動車道郡山インターチェンジ付近に差し掛かるところであった。この辺りの国道と直行する道路との交差点ではことごとく車歩分離がなされており、歩行者は地下歩道を歩かされるケースが多くなるからだ。インターチェンジとの取付道路との合流地点で2度、あと、郡山インター線及びあさか野バイパスとの交差点でそれぞれ、地下歩道を渡る。確かに直射日光の猛威からは逃れられるけれど、交差点の度に階段を上り下りするのには辟易するし、それより何より、明るい地上と薄暗い地下歩道の連続で目が順応しないことがある。私の瞳孔は、恐らく猫のように拡大と縮小を続けていたことであろう。
この辺りは6月4日の散歩をスタートする際にも高速バスで通ったが、改めて歩いてみると、郡山の街は郡山インターチェンジが北の端なのかな、という感がある。インターチェンジの以北と以南とでは、沿道における住宅やロードサイドショップの張り付き具合が著しく異なっているのだ。この傾向は、福島市の福島西、福島飯坂両インターチェンジでも見られるように思う。
あさか野バイパスを過ぎると、市街化の度合いは更に強くなる。8時を過ぎ、通勤時間帯にも差し掛かっているせいか、渋滞も激しくなっているようだ。もっとも、渋滞が激しいのは、うねめ通り以南の国道49号線が2車線しかないという事情にもよる。郡山市中心部とインターチェンジとを結ぶ大動脈であり高速バス、路線バスがひっきりなしに行き交う道路がこの体たらくというのはどういうことであろう。商店や住宅がびっしり張り付いた沿道の状況を見ると拡幅は不可能のように思われるので、公共交通機関網の充実策などモータリゼーションの無秩序な拡大を防ぐ施策が、必要になってくるのではなかろうか。
もっとも、歩行者という立場から見れば、うねめ通り以南の国道49号線は、非常に歩きやすい道である。電柱はスッキリと地下化されているし、歩道の幅も広く、しかもアスファルトではなくカラータイル舗装。こういう道は、歩いていて楽しい。
沿道は商店街が続いていたが、さくら通りとの交差点を渡ると、右手に開成山大神宮の鎮守の森、左手に開成山公園と、緑一色に一変する。歩道には木陰が形成され歩いていて気持ちが良いが、国道によって緑が分断されているのが玉に傷。こういう場所にこそ、国道を横断する地下歩道が欲しいところである。
その後も国道49号線を南下し、はやま通り、文化通りを横断。なお、文化通りがそのように呼ばれる区間は国道との交差点が西端であることを、道路標識によって初めて知ることができた。
その文化通りの次に国道と交差する大きな道路が静御前通りということになるのだが、菜根支店は、この交差点のすぐ近くに位置している。周囲を見ると、商店街が尽きかけ、広い道路さえなければ閑静な住宅街といった風情である。
時計を見ると、8時40分。予定より少し遅れたが、それはそれでラッキー。5分程度の時間だったら、店の前で待っていればすぐに過ぎる。果たして8時45分、ATMコーナーのシャッターが開いた。早速入店し、1,000円を入金する。
菜根支店を出た後は、静御前通りを東進した後、内環状線との交差点を左折し北進。開成山公園を再び経由し、郡山市役所支店を目指す。両道路とも今後の散歩で訪れる予定があるので、沿道を眺める目にも気合があまり入らない。ただ、両道路とも地形に「逆らって」一直線に延びているのが気になった。というか、両道路に限らず、都市化された年代が比較的新しいからか、郡山市中心部の道路には、この種のパターンが多いような気がする。
だからこそ、郡山市中心部は、地形の起伏が際立っているような気がする。一例を挙げると、内環状線沿道、菜根の北、開成山公園の南に鶴見坦(つるみだん)という所があるが、この辺り、周辺よりも一段高いのである。「坦」は一般には「平坦」の熟語にみられるように平たい所を意味する漢字であるが、郡山市近辺においては、一里塚のことを「一里坦」と詠んだりするように、用法的には「壇」に近く周辺より高い場所を指す字として定着している。まさに地名の通りの状況が、内環状線を介して露見されているのが面白かった。