2010年8月30日 ~東邦銀行支店巡礼(30) 西ノ内支店・希望ヶ丘支店・富田支店~

郡山ブロックの東邦銀行支店巡礼も、残すところあと2回となった。
が、今朝目を覚ましてみたら、もう午前6時。散歩時にいつも乗車している桑折駅発5時41分の始発電車には間に合わない。「あれ、今日は散歩じゃなかったの?」と、妻に指摘される始末である。
実はこれ、決して油断していた訳ではなく、計算通りの行動。今回の散歩では西ノ内(226)、希望ヶ丘(227)、富田(228)と郡山近郊の支店ばかりを回るので、始発電車に乗ったのでは早く着き過ぎるのである。今回は、桑折駅発7時11分の電車に乗る予定。これに乗れば、郡山駅着は8時23分。西ノ内までは30分あれば歩けるだろうから、ATMが開く8時45分にはなっているだろうとの目算を立てていた。
学校支度の子供達をよそに道楽支度を済ませ、7時少し前に自宅を出発。7時11分発の郡山行電車に乗車。駅構内も車内も、通学の高校生で満員だ。ただし、彼らの大半は7時27分着の福島で下車し、代わりにラフな私服をまとった学生風の男女が乗ってくる。じゃあ彼らは福島大学に近い金谷川で降りるのかなと思っていたのだが、予想に反して、大半が郡山駅まで乗り通していた。奥羽大学日本大学工学部の学生なのだろうか。それとも専門学校の学生なのかもしれない。郡山市内にある専門学校は二桁を数え、福島県内他地域を圧倒する多さを誇っている。
8時23分、郡山駅に到着。跨線橋を上り、2階の改札から外へ出る。学生達も改札を出て各方面へと散って行ったが、私と同様に貨物通りを北上する者は殆どいなかった。
逢瀬川に突き当たったところで左折。この道路は主要地方道郡山大越線と名前がついているが、昭和通り(国道4号線)を渡った先から名前を変え、うねめ通り(旧軍用道路)となる。最初に目指す西ノ内支店は、この道路に面している。
うねめ通りはさくら通りや文化通りと同様に郡山の市街地を東西に結ぶ基幹道路だが、国道寄りの若葉町や咲田近辺は住宅街。商店が増えるのは咲田から坂を登った先の桜木や西ノ内界隈からであり、イトーヨーカドー郡山店や西部プラザが核となってロードサイドショップからなる商店街を形成している。西ノ内支店は、イトーヨーカドーから100メートルほど国道4号線寄りにあった。時計を見ると、8時54分。郡山駅を出てから大体30分が経過している。概ね予定通りの進捗状況だ。
ATMで1,000円を入金し、次の希望ヶ丘支店に向けてうねめ通りを西進する。内環状線から先、沿道にある桑野支店(215)までの500メートルほどの区間は7月27日にも歩いた区間だが、改めて沿道を見ると西ノ内よりもロードサイドショップの集積度が高いように思う。東証一部状況企業・ゼビオの本社があり、福島放送がある。東邦、秋田両行の支店があり、ヨークベニマルが店舗を構えている。
そう言えば、前回の散歩を振り返ると、郡山南インター線沿いの荒井や静御前通り沿いの菜根も、西ノ内や朝日と似たような雰囲気だったように思う。区画整理で造成された幅広い幹線道路の沿道にロードサイドショップが建ち並び、そこにはヨークベニマルや金融機関が必ずあるという構図。更に過去の散歩を振り返ってみると、国道4号線沿道の安積や安積街道沿いの八山田、主要地方道郡山湖南線沿いの台新・鳴神や東部幹線と美術館通りが交わる横塚も、そんな感じだったかもしれない。あたかも金太郎飴のごとく。定住する分ならそれでも差し支えないと思うが、定住人口より交流人口の増加が重視される傾向が強い、言い換えれば都市そのものの個性や魅力が決め手となるであろう今後の都市政策において、現在の郡山の都市構造はひょっとしたらマイナスに作用するかもしれない。
国道49号線との交差点を渡る。うねめ通りと呼ばれる区間がどこまでなのかは知らないが、ここから先は、県道河内(こうず)郡山線の名称も加わる。あさか野バイパスをアンダークロスする上亀田交差点までは、4車線の幅を保っている。国道49号線からあさかのバイパスまでの間の沿道は、比較的新しいロードサイドショップ、特に飲食店が多い。ただし、一番敷地が広く目を引いた建物は、医療介護や休日、夜間の急患に対応する医療施設・郡山ビッグハートであった。
上亀田交差点を過ぎると、左手に大規模な集合住宅群が展開する。希望ヶ丘団地である。一戸建てではなく集合住宅が建ち並ぶ住宅地は、郡山では非常に珍しい。比較的近い場所にある類似の住宅地としては、仙台市の鶴ヶ谷や将監、あるいは福島市の蓬莱など、高度経済成長期に開発された所が多い。だから希望ヶ丘の集合住宅もその時期の建物なのかと思っていたのだが、近くで見ると築20年から30年といったところで、あまり古さを感じない。
ところで、希望ヶ丘支店は団地の中にあるのかなと思いきや、通りを直進し、団地の西南端にある交差点を左折した先にあるという。なお、左折した先の道路はコスモス通り。更に言えば、県道はここで右折し、直進するとまさに軍用道路の名残で8月6日に通過した陸上自衛隊郡山駐屯地へと至る。
希望ヶ丘支店の住所は「郡山市大槻町字広町」。だから希望ヶ丘を名乗るのは詐称的な感がなくもないのだが、支店の周囲にある店舗の名前を見ると、ことごとく希望ヶ丘の名前が使われていたりするから面白い。郡山信用金庫ツルハドラッグ、そしてヨークベニマル… 団地とは別に、コスモス通りに沿って希望ヶ丘という街が出現したかのようである。先述した西ノ内などと比べると幾分自然発生的な感じはするが、またしても金太郎飴の街並みだ。
ATMで入金を済ませ、先ほどの交差点へと戻って今度は県道を北へと進む。集合住宅群が尽きた辺りで、大東銀行の支店があった。ここもまた「希望ヶ丘支店」なのだろうと思って覗いてみると、「うねめ支店」。この県道は既にうねめ通りではないと思うが、安積采女伝説が残る片平町を経由するから、まあ悪くはないネーミングだと思う。
が、ここから先、うねめタクシー、うねめ保育所など、付近にうねめを冠する施設が妙に増えている。おかしいなと思いながら歩いていると、今度はうねめ団地のバス停が登場。どうやら町名も「郡山市うねめ町」であるらしい。これで、一応納得。
うねめ団地を過ぎると、住所的には片平町に入る。もっとも、片平の中心集落は東北自動車道をアンダークロスして2キロほど歩いた先なのだが、訪れた経験が全くない場所なので、ちょっと嬉しくなる。また、県道沿いに「蟻塚」なる名前のバス停を発見。日本には蟻塚を造る蟻はいないはずだが、どうしてこのような地名がついたのか、気になるところである。
東北自動車道のすぐ手前にある交差点を右折。この辺りは今でこそ田畑が多いが、富田第二地区土地区画整理事業の施行区域であり、徐々にではあるが住宅も増えてきている。逢瀬川を渡った先には、またしてもヨークベニマル。いったいどこまで、同じ街をつくれば気が済むのだろう。
この地域と他地域との差異を強いて挙げれば、日本電産コパルの工場があることぐらいだろうか。もっとも、工場の存在を示すのは、区画整理施行区域の北端にある丘陵に「COPAL」と掲げられた大きな看板のみ。工場自体は丘陵の頂上にあり、しかも林に遮られているので建物を拝むことはできない。
ところで、今、日本電産コパルと書いたが、ここで個人的に思い出すのが、国道49号線沿いにある高速バスのバス停・コパル前である。私自身何度か利用したことがあるので思い出深いバス停でもあるのだが、工場が近くにあるということは、実は国道49号線がすぐそばを通っているということでもあったりする。「COPAL」の看板の南側を東西に貫いている太い道路を東に進むと、国道49号線との交差点に突き当たる。そして私の歩いていた道路は国道から東側は郡山インター線となって、更に東の郡山市中心部へと続いている。次に目指す富田支店は、この道路を国道49号線から2キロほど進んだ先にある。
郡山インター線もまた、富田第一地区土地区画整理事業の施行区域内を通っているせいか、沿道にロードサイドショップが目立つ。荒井の内環状線沿いに似ていて、特に飲食店が多いようだ。ヨークベニマルは出店していないが、金融機関の進出が目立つ。あさか野バイパスとのアンダークロスの西側に福島銀行があり、東側には須賀川信用金庫東邦銀行富田支店もまた、須賀川信用金庫から300メートル東へ進んだところにある。更に言うと、東邦銀行の隣接地には、大東銀行のATMコーナー。狭い範囲によくぞこれだけ金融機関が集まったものだと思う。
そんな金融激戦区(?)にある富田支店のATMは、5台も並んでいた。先ほど訪れた西ノ内、希望ヶ丘両支店内におけるATMの正確な台数は失念したがせいぜい2、3台だったと思うので、富田支店の重要度の高さが伺い知れる。
富田支店から東も、ロードサイドショップ街は更に続く。が、内環状線との交差点を過ぎると、肝心要のクルマの通行量自体がガクッと激減してしまう。理由はごくごく単純で、郡山インター線が行き止まりになってしまうからだ。
行き止まり地点では伊賀河原土地区画整理事業が施行されておりとりあえず安積街道(県道荒井郡山線)と接続するのは確定的なようであるだが、そこから先は、果たして国道4号線国道288号線、東部幹線といった幹線道路に接続するのだろうか。安積街道から東側は住宅が立て込んでおり整備には相当の時間を要するだろうが、4車線の幅を有し郡山市北部を東西に貫く幹線道路なだけに、中途半端な形で終わって欲しくないな、と思う。もっとも、整備された暁には、沿道にどこかで見たようなロードサイドショップ街が新たに形成されてしまうのであろうが…
更地の迂回路を通って安積街道に出、奥州街道、日の出通りと歩いて、10時52分、郡山駅に到着。散歩開始からおおよそ2時間半。いつもの散歩に比べると短めだが、今日はこれで終わりにする。次回はいよいよ、郡山ブロックのオーラス。郡山総合卸市場(229)、ローンプラザ須賀川(230)の両支店を訪れる予定だ。