2010年9月10日 ~自宅に帰る① 須賀川から郡山市中心部を経て喜久田まで~

目が覚めたら、5時17分だった。
大急ぎで身支度をして、家を出る。
今日は散歩に行くと決めていたのに、少々慌て気味の出発となってしまった。
やはり、9月4日の散歩で東邦銀行支店巡礼の散歩を終わらせてしまったことが、微妙に影響していると思う。モチベーションが、なかなか高まらないのだろう。実は去年の前半もそんなことがあり、早朝散歩と銘打っているのにも関わらず出発が昼過ぎになったケースもしばしばあったのを思い出す。
が、あの時はテーマ自体が未定だったのに対し、今回は一応「県中地区から自宅まで帰る」という目的がある。にも拘らず遅刻寸前の寝坊をやらかしたのは、東邦銀行支店巡礼というテーマが自分にとって大きな存在だったのだろうと思う。
とにもかくにも、今日は桑折駅発5時41分の始発電車に間に合った。しばらく電車に揺られて本日の散歩の出発点である須賀川駅まで行くということになるのだが、5時54分着の福島駅でいったん下車する。6月4日に訪れた磐城守山駅の時と同じで、桑折駅と須賀川駅との間の運賃も、通しで切符を買う(1,280円)よりも福島か郡山で分割して買う(桑折~福島間230円、福島~須賀川間950円 桑折~郡山間950円、郡山~須賀川間230円となり、いずれもトータルで1,180円)方が安いのだ。こうした姑息な切符購入法もまた、4ヶ月にわたる県中地区を歩いたことで得た知識ではある。
福島駅で須賀川駅までの切符を買い直し、再び列車へ。意外であったが、平日の朝に郡山以南の東北本線に乗るのは初めて。安積永盛須賀川、鏡石、矢吹とこの区間には高校に近接する駅が多いので彼らで混雑するかなと思いきや以外にそうでもなかったので拍子抜け。ただし、7時13分に須賀川駅に着くと、下車した客の大半は高校生であった。
須賀川市には須賀川須賀川桐陽と二つの学校があり、前者は8月19日に訪れた須賀川東支店(223)、後者は9月4日に訪れたばかりのローンプラザ須賀川支店(230)に、ぞれぞれ近接している。極論すれば、市街地の東端と西端にある訳だ。須賀川駅を下車した高校生も、東と西に両極端に散っていく。一般客を含めても、メインストリートであるはずの奥州街道へと進む人は皆無に等しい状況だ。
私もまた、須賀川桐桜高校の生徒に混じり、国道4号線との交差点まで歩く。通勤通学の時間帯に差し掛かっているだけあって、国道を行き交うクルマの通行量が多い。それは理解できるが、意外なことに郡山市方面から須賀川へと向かう自転車通学の高校生も目立つ。電車の車内に高校生があまりいなかったのもこれが一因なのだろうか。確かに、一駅分ぐらいの距離だったら電車よりも自転車よりも小回りが利くし、便利だと思う。
なお、今日はここから、磐越西線喜久田駅ないし安子ヶ島駅まで行く予定を立てている。本当は磐梯熱海まで歩きたいのだが、距離が遠すぎるのでこれは次回のお楽しみ。とりあえずはその手前まで歩こうという目論見だ。
福島県庁を郡山市へ 県庁移転を推進する会」と大書された看板が左手に見えると、郡山市安積町との境界。この辺りであさか野バイパスが左手に分岐するが、今日はそちらへ行かず、国道を北上する。ただし、このまま国道を進むと7月21日に歩いた区間とバッティングしてしまうので、安積四丁目にあるツルハドラッグの先の交差点で左折し、住宅地の中のへと分け入ることにした。
当てずっぽうで入った住宅地だが、街路樹にカラー舗装の歩道を設けた道路などもあり、意外に整備されているようだ。須賀川信用金庫の支店や郵便事業の支店も併設された郡山南郵便局など施設の集積もみられる。安積町というと国道4号線や郡山南インター線といった幹線道路の沿道に諸施設が集中しているイメージがあるが、必ずしもそうではないようだ。郡山南郵便局から500メートルほど北上すると、郡山南インター線に突き当たる。交差点にはちょうど、安積行政センターが建っていた。
ここから先は、8月22日に歩いたルートと重ならざるを得ない。ただし、それは笹原川を挟んだ300メートルほどの区間の話。橋を渡った直後の交差点で右折し、北へと進む。この道路には特段名前は付けられていないが、地図で見るとさくら通りに面したザ・モール郡山のすぐそばまでまっすぐ延びているので、以前から歩き通してみたいと思っていたのだ。
郡山南インター線と別れた直後の沿道は、どうということもない住宅街。ただし、センターラインや歩道といった最低限の施設は設けられているので、歩きにくくはない。
しばらく歩くと、鎌倉屋というスーパーが現れる。ここの駐車場の一角に東邦銀行の店舗外ATMが設けられているので、条件反射的に身体が向いてしまう。今年1月以来の習慣はものの見事に染みついてしまったようで入金しようかとすら思いかけてしまうが、今日は通帳を持参していなかったので諦める。ちなみに、鎌倉屋のATMは、安積支店(211)が管轄しているようだ。住所的には安積町荒井だし直線距離も郡山荒井支店(225)の方が近いと思われるが、どうして安積支店の管轄なのかはわからない。
安積町荒井を過ぎ、南川を渡った先から、アップダウンが激しくなる。いかにも郡山らしいと最初は思ったが、国道49号線を渡って香久池二丁目までは上り一辺倒だったのに香久池一丁目で下りになり、七ッ池町に入るとまた急激な上り… と続くと、いささか辟易する。散歩というよりトレッキングに近い雰囲気だ。ただし、静御前通りを渡って深沢に入るとアップダウンも多少落ち着くとともに、沿道も住宅街から商店街へと変わる。
郡山市内における過去の散歩を振り返ってみると、坂道に商店街が発達している場所は、清水台のさくら通りぐらいであろうか。咲田~西ノ内間のうねめ通り、郡山市民文化センター以西の文化通り、郡山東高校以西の静御前通り、菜根付近の内環状線や国道49号線… 坂道の多い地域は周辺地域に比べて商店の集積度が低いような気がする。坂のある街を歩いた経験がそんなにある訳ではないからこの傾向が郡山だけのものなのかはよくわからないが、荒池、酒蓋両公園の間を通り抜けると再び上り坂となり商店が消え失せるのを目の当たりにし、これは面白い傾向だなと思う。
福島中央テレビのアンテナ付近を通過し、文化通りを渡る。右手にはレンガ造りの郡山公会堂。8月6日に文化通りを歩いた際は遠目でしか確認できなかったので、間近で見ることができて少し嬉しい。ここから先は緩やかな下り坂となり、勾配が少ないからか個人商店が建ち並ぶはやま通りを横断する。
そしてこの先、左手にザ・モール郡山の大きな建物が見えてくる。スーパーといえばヨークベニマル、コンビニといえばセブンイレブンセブン&アイホールディングスの店舗がやたらと目立つ郡山市内にあって、このグループに属さないザ・モール郡山の存在は、異彩を放っているように感じる。時計を見るとまだ9時を少し回ったところであるが、駐車場には多数のクルマ。食品売場が24時間営業なので、時間を問わず利用があるようだ。
広い駐車場の敷地を過ぎ、さくら通りを横断。ここから北は一方通行の隘路となる。沿道は、芳山(ほうざん)小学校や郡山第二中学校、あさか開成高校が建ち並ぶ文教地区。合唱部が全国レベルの活躍を見せている郡山第二中学校の校門周辺では、数々の実績が誇らしげに掲示されていた。
校舎の改築工事が進められている芳山小学校の敷地を通り過ぎたところで左折する。ここもまた一方通行の隘路。道路網が発達している郡山市だが、こういう下町的な一角もあるんだなと思う。
ただ、こんな街並みも、変容を迫られている面があるようだ。この地域で操業していたパラマウント硝子工業の工場が、取り壊されていたのだ。調べてみると、須賀川市長沼にある工場に生産拠点を集約することになったという。周辺の道路や住宅が総じて狭小なだけに、敷地は随分広く感じられた。どのように再利用されるのか、楽しみなところではある。
緑町を通過し、内環状線を横断して朝日に入る。この界隈の裏通りには飲食店や飲み屋が結構多く、何となく味がある。これは、7月25日にこおりやまグリーンカレーを食べに出掛けた時に得た知識。あの時はたかだか食べるという目的に随分苦労したのを思い出す。
環状線を渡った先にある交差点を右折し北上。予想以上に店が多いので驚く。駅前アーケードのようにポン引きがいる訳ではないので、安心して歩けるのが嬉しい。これらの店の主な利用者は至近にある郡山市役所の職員だろうが、この他にも朝日界隈には郡山郵便局やJA郡山市の本部など各種団体の主要施設が目立つ。ヨークベニマルの本社もあった。市内にあれだけ店舗を展開している割には質素な社屋であった。
うねめ通りを渡った後も直進。実は、このまま進むと、東邦銀行支店巡礼で初めて郡山入りした5月13日歩いた郡山駅前~下富田~百合ヶ丘団地のバス通りに合流するのだ。入った時と同じルートで出てみたい… そういう考えであった。
ところが、どこかで道を間違えたのか、見覚えのない場所に出てしまう。前回の散歩に引き続いての失態だ。住宅と畑とが入り混じった地域を当てずっぽうに歩いていると、逢瀬川のほとりにぶち当たる。富田親水広場と名付けられた河畔には木道や東屋が整備されており、木陰もあって暑い中歩いてきた身には一服の清涼剤のような役割を果たしてくれている。もっとも、この時点で時刻は午前10時を回った。散歩の帰途は安子ヶ島発11時04分、喜久田発11時08分の電車を利用するつもりでいたのだが、安子ヶ島はちょっと厳しい。今日は喜久田で打ち止めとしよう。
国道49号線に合流し、逢瀬川を渡河。喜久田駅へはこのまま国道を北伸すれば良いが、せめて百合ヶ丘だけでも訪れたいので、橋を渡るとすぐに脇道へと入った。500メートルほど歩き、富田小学校の前でバス通りに合流。郡山インター線を横断して、無事に百合ヶ丘のバス停を拝むことができた。
ここから先は、7月21日の散歩の終盤に通ったルートとほぼ同じ。斬新なデザインが印象的な郡山養護学校、次いで東北自動車道郡山インターチェンジの脇を通過し、喜久田町卸の流通団地へと入る。ここを通り抜けるといよいよ喜久田駅となるが、流通団地と駅周辺の住宅地との間には田園風景が広がっている。田んぼを見渡すと黄金色に輝く稲穂がたわわに実っており、稲刈り間近を思わせた。今日も夏日の予想だが、秋は確実に近付いている。稲刈りが終わるとこの辺りの風景も淋しく、そして寒々しくなるのだろうなと思った。
10時50分、喜久田駅着。