2010年9月29日 ~自宅に帰る④ 二本松から土湯温泉を目指したが、岳温泉で断念~

前回の散歩では、雨が降る中、小浜から二本松まで国道459号線を歩いた。
福島まで一息に歩ける距離の二本松まで戻ってきたという余裕もあり、今回の散歩でもこの国道にもう少しこだわってみたいと思う。
そこで、二本松からこの国道を西進し、岳温泉を経て国道115号線に合流して土湯温泉まで行こうと考えた。距離探索したところ、二本松と土湯との距離は約24キロで、二本松から福島までの距離とほぼ同じ。ただし、二本松と岳温泉との高低差が約400メートルあるのが懸念材料ではある。
なお、岳温泉土湯温泉とも、鉄道駅こそないものの1時間に1往復程度の割合でバスが走っており、公共交通機関の便は悪くない。ただし、土湯温泉を発つ福島駅東口へのバスは、11時15分発の次が13時15分発と2時間も間が空いてしまう。11時15分発に間に合わないようであれば、岳温泉で引き返すつもりで考えていた。
いつものように、桑折駅発5時41分の上り始発電車に乗車し、6時28分に二本松駅着。前回の散歩まではこの電車に1時間以上揺られていたから、ちょっと物足りない感じがする。駅のトイレで用を済ませ、6時30分ちょうどに駅前広場に出た。
まずは東北本線に沿って西進し、東北自動車道二本松インターチェンジ付近で、ロードサイドショップが連なる旧国道4号線に出る。5月6日に訪れて以来のご無沙汰だ。なお、インター前から300メートルほど西に位置する岳街道入口交差点までの旧国道は、国道459号線と重複している。ここから始まる国道との長い付き合い。よろしくお願いしますと心の中で頭を下げる。
岳温泉 9キロ」の標識をチラッと確認してから、岳街道入口交差点を右折。ここから本格的に459号線攻めとなる。敵もなかなかのもので、交差点付近まで展開していた市街地がすっかり消え失せ、田んぼと丘陵が連続。する風景へと一変する。国道はその只中を、緩やかに上っている。前方には安達太良山。今朝は晴天だが、前日に降っていた雨の影響が多少残っているのか、頂上付近は雲に隠れて見えない。
永田の集落で、小学生の集団登校に遭遇。時計を見るとまだ7時を過ぎたばかり。万事順調だ。小規模な工業団地、続いて軽いアップダウンを経て、毘沙門堂の集落へ。ここで歩道が尽き、周辺の風景も人家や田んぼが消え失せ、雑木林の中へと入る。
散歩開始から1時間が経過すると、左手から原瀬川が近づいてくる。国道はこの川を大跨ぎで渡った後つづら折りの坂道を登って岳温泉へと至るのだが、地図で見ると、橋の袂から原瀬川やこれを堰き止めた岳ダムの湖岸に沿って岳温泉へと延びている道がある。どちらを歩こうか… 迷った結果、後者の道を進むことにした。理由は二つある。一つは、国道459号線はクルマで何度も通ったことがあり、私にとっては「経験した道」であったこと。そしてもう一つは、後者の道を歩いた方が岳温泉に早く着けるのではないかという期待感。今日の終点はまだまだ先の土湯温泉なだけに、ここで時間を稼いで後半に備えておきたいという思惑があったのだ。
雑木林の中にある萩坂というバス停を過ぎると、件の道は分岐していた。意を決して進む。国道は頭上高くに聳える橋を渡った後反転し、つづら折りの坂道に臨んでいる。この様子を目にすると、国道を選ばなくて良かったなと感じる。
国道との分岐点から5分ほど歩くと、道が二股に分かれている。ただし、左側の道は、路肩崩落のため通行止の表示。昨日の雨の影響ではなくずっと前からの話のようで、看板の先の路面には雑草が生い茂っていた。であるならば、右側の道を行くしかないか。こちらの方は、舗装のひび割れも陥没もなく、歩きやすそうな雰囲気だ。轟々と滝のように流れる川の流れを耳にしながら、一人行く。
ところが、15分ほど歩くと、こちらも嫌な雲行きに。道路の幅いっぱいにチェーンが張られている箇所がある。これは跨いでやり過ごすものの、チェーンの先のカーブを曲がると、今度は柵が行く手を塞いでいる。これは致命的。すぐ先には岳ダムの堰堤が見えており柵を乗り越えればひょっとしたら通り抜けは可能なのかとも思うが、住居侵入罪に問われかねないケースである。前日の雨を豪快に流している堰堤を眺めるにとどめ、今歩いていた道をすごすごと引き返すことにする。
やはり、国道にこだわるべきであったか…そう思った。
また、こんなことも思い出した。前日の早朝の話になるのだが、「高速バスに誤乗してあらぬ場所へと連れて行かれそうになる」という嫁を見たのだ。ひょっとしたら、この夢は今日の予知夢だったのかもしれない。
結局、30分以上の時間を無駄に費やし、国道へと戻る。山道をしばらく歩くと、安達太良山雄大な姿が見えてくる。今度は頂上も良く見える。少し慰められたような気がした。
そして、岳の温泉街へと入る。時計を見ると、8時半を過ぎている。ここから土湯温泉までの距離は、約15キロ。先ほどのロスが重くのしかかり、11時15分までに土湯温泉に着けるかどうかは微妙な情勢だ。今回は、ここで散歩を打ち切ることにする。ここしばらくの散歩では4時間前後歩いていたから少し物足りない気がしないでもなかったが、自業自得だ。仕方がない。 
「ニコニコ共和国 国際バスターミナル」の看板が残る岳温泉のバス停に着いたのは、8時40分のこと。バスの便は良すぎるぐらいに良く、8時47分に二本松への便が出る。短い待ち時間の間に温泉街を覗いてみると、土産物屋が何軒か開店しており、朝食を終えたとおぼしき宿泊客が、店頭を覗きながら散策していた。