2010年11月22日 ~仙台銀行支店巡礼③ 宮城野支店・宮町支店・長町支店(前半)~

今日は休日。天気は午後から崩れるものの午前中は雨が降らないとの予報だったので、散歩に出掛けることにする。
訪問先は、陸前原ノ町駅を起点に、宮城野(207)、宮町(208)、長町(209)の3店舗。最初に訪れる宮城野支店は陸前原ノ町駅からさほど離れていない。いつも利用している桑折駅発6時29分の始発電車で行ったのではATMが開く前に着いてしまうので、次発の7時16分の電車で仙台へと向かう。この電車に乗れば仙台駅着が8時27分で、宮城野支店には9時前後には着けるかなとの目算を立てていた。
ところが、電車が東白石駅に着いたところで、アクシデント発生。大河原町内を走っていた上り電車の車両に異常があったとのことで、あおりを食って22分も立ち往生する羽目になってしまった。結局、仙台駅に着いたのは、25分遅れの8時52分であった。
仙石線の地下ホームに移動し、8時59分発の快速に乗車。快速といっても、多賀城までの各駅に停車するから普通列車同然だ。榴ヶ岡宮城野原と各駅に丹念に停車し、9時04分、ようやく陸前原ノ町駅に到着した。
スタートで躓いてしまった分を沿道の景色を見ながら取り戻したいと思いつつ、まずは、新寺通沿いにある宮城野支店へと歩を進める。陸前原ノ町駅の南側に展開する銀杏町の住宅街、旧名称の国立仙台病院の方がどことなくしっくりくる国立病院機構仙台医療センター仙台育英学園高校宮城野キャンパス、仙台市陸上競技場Kスタ宮城が所在する宮城野原公園総合運動場仙台駅東口からまっすぐに延びている宮城野大通の終端地点と矢継ぎ早に通過し、20分ほどで宮城野支店に到着。
なお、新寺通の由来となった新寺は若林区の地名だが、通りの北側に位置する宮城野支店は宮城野区宮城野に所在する。ただし、通りの南側は若林区木ノ下ないし二軒茶屋であり、更に仙台駅方面に向かって西進すると、通りの両側とも若林区新寺となる。新寺と言うだけあって、沿道には寺院が非常に多くなる。
次の目的地・宮町支店へは、この寺町を経由するのが第一歩となる。
沿道の寺院はいずれも立派な建物なのだが、不思議なことに、寺院につきものの墓地が殆ど見られない。新寺を含む仙台駅東口一帯は1960年代以降現在に至るまで順次土地区画整理事業が施行され、その際にこれらの寺院に付属していた墓地は青葉区西部の郷六にある葛岡霊園へと移されたという経緯がある。そして、かつて墓地だった地域が整地され、現在住宅やらマンションやらオフィスビルやらが建っているという訳だ。
林松院、同林寺、林香院と何の因果か名前に「林」のつく寺院が三つ並んだ先にある、宮沢根白石線との交差点を右折し、北へと向かう。宮沢根白石線は、前回の散歩で通った若林区南鍛冶町で工事が進められているが、そこより北、東北本線の線路脇から宮城野区小田原の国道45号線との交差点までの区間は開通している。都市計画道路だけあって幅員は4車線以上と広いが、中途半端に開通しているため交通量は少ない。
宮城野区に舞い戻り、先ほど終端地点を通過したばかりの宮城野大通を横断した後しばらく歩くと、目の前に大規模な更地が広がる。つい最近まで、この一帯には二十人町、鉄砲町と木造の個人商店が建ち並ぶ旧態依然とした商店街が展開していたのだが、区画整理事業の施行に伴いきれいさっぱり姿を消している。見知った街並みが忽然と消えたのは知識としては知っていたのだが、目の前でその様子を見せつけられると唖然としてしまう。
やり過ぎなんじゃないかと腹立たしくさえなってくるが、覆水は盆に返らない。今となっては、これから整備される新しい街並みに期待するしかなかろう。二十人町の商店街は青葉城と直結する仙台城下町の東西軸をなすメインストリートとして整備されたものであるが、現時点においては一方通行の隘路。それが区画整理に伴い拡幅された上東北本線を越えて広瀬通や仙台西道路とも直結するというから、ある意味復権のチャンスでもあるのだ。
国道45号線から先は、宮城野区小田原一丁目と二丁目との境界、旧町名で表記すると小田原東丁という一方通行の隘路を北上する。沿道には、築年数を経た木造家屋やアパートが多い。この界隈も宮沢根白石線の延伸に伴いそう遠くない将来変貌を余儀なくされる可能性が高いから、今のうちに街並みを目に焼き付けておかねばなるまい。
住宅地をしばらく歩き、キリンビール仙台工場の跡地に建てられたスポーツクラブの脇を通り抜けると、小田原東丁踏切という名前のが踏切が登場。旧町名を冠しているのが嬉しい。なお、1933年から1944年までのごく短期間であるが、この界隈には小田原東丁という名の駅もあった。その面影は今となっては見るべく影もないが、この踏切付近でちょうど仙山線東北本線と分岐することもあり、道幅に対して長さが結構ある。
踏切を渡った先も町名は小田原だが、行政区は青葉区に入る。宮町支店へもあと少しという所まで迫っており、街並みを眺めながら歩いていると、前方から歩いてきた女性から、「あら、○○さんじゃないの!」と突然声を掛けられる。
なんと、勤務先のベテラン従業員であった。仙台市内を歩いていればいつかはこのような事態に遭遇するだろうとは薄々感じていたのだが、まさかこんな所で遭遇するとは… 小田原のすぐ北に位置する青葉区中江に住んでいる彼女は、先ほど私が脇を通過したスポーツクラブに行く途中だという。「○○さんは今日休みなの?」「福島からわざわざ何しに来たの?」「暇だったら一緒にスポーツクラブに行かない?」と私に矢継ぎ早に質問を浴びせる彼女。まさか「仙台銀行の店舗巡りをしています。」と正直に話す訳にもいくまい。「まあ、ウォーキングですよ、ウォーキング…」と切り返すのが精一杯であった。
同僚に遭ってしまった動揺で、景色もろくに頭の中に入らないまま北上。気がついたらもう、北六番丁まで出ていた。特段のターミナル機能がある訳でもないのに4~5階建のビルが建ち並ぶ沿道の一角に、宮町支店はある。
店内に入ると、2台あるATM機は両方とも使用中であった。特に片方のATMでは操作方法がわからないのかお年寄りが悪戦苦闘中であり、店員が傍らについて懇切丁寧に説明をしていた。これまで訪れた仙台銀行の店舗は本店(201)も含めてカウンターもATMコーナーも実に閑散としておりこの銀行は大丈夫なのかと心配してしまうほどであったが、ここは例外のようで少しホッとする。