2010年12月8日 ~仙台銀行支店巡礼⑥ 中山支店・将監支店(前半)~

前回の散歩から、10日の間が空いた。
それまで3、4日おきに散歩に出掛けていたからか、モチベーションが切れかけたかもしれない。今朝の起床は5時45分。6時20分には自宅を出発していなければならないから、やや遅い目覚めだ。
起きていた妻が素早く作ってくれた朝食を搔っ込んで、桑折駅へと急ぐ。この12月4日に東北新幹線延伸開業に伴うダイヤ改正が行われたが、桑折駅発の下り始発列車の時刻は、改正前と全く変わらず、6時29分である。
この列車が仙台駅に着く時刻は7時40分だが、今日は5分ほど遅れて到着。でも、今日の起点となる北仙台駅へと向かう仙山線の列車は7時58分発なので、5分程度の遅れは特に気にはならない。
仙台駅在来線ホームの東端、仙山線用の7番線ホームより、電車に乗る。車内は私服姿の若者が多い。それもそのはずで、沿線には、仙台から四つ目にその名も東北福祉大前駅がある他、東照宮駅付近に東北薬科大学、国見駅付近に東北文化学園大学と、大学が多いのだ。ついでに言えば、国見駅付近にある仙台高校や愛子駅付近にある仙台高専広瀬キャンパスも私服通学OKの学校であるから、仙山線の私服通学者率は大学生の割合以上に多いはずだ。従って、朝の仙山線の車内は、制服姿の高校生が目立つ他路線に比べてやや落ち着いて大人びた風景に見えなくもない。
定刻通りに仙台駅を発車した電車は仙台城下町の北東端を半周した後、8時06分に北仙台駅に到着。島式ホームには上り列車も到着しており、バリアフリー化工事が進行中という構内は降客でごった返している。トレンチコートを着た勤め人風の男性が多い。私が乗っていた電車にはそのような人はあまり乗っていなかったから、恐らく上り電車の利用者であろう。彼らの中に混じって歩き、自動改札機を通過したのは8時09分のことであった。
さて、散歩スタートである。今日の巡礼先は、中山(213)、将監(しょうげん・214)の両支店。両地区をはじめ南中山、長命ヶ丘、加茂と仙台市西部から北部にかけての丘陵に展開する大規模住宅地を通り抜けた後、地下鉄の北のターミナル・泉中央駅を目指す計画だ。
駅舎を出、まずは右手に広がる商店街を歩く。北仙台仙山線と地下鉄の乗継駅であり、通りに面した駅出入口の階段を上り下りする人の姿も多く見られる。
そのすぐ隣の雑居ビルの1階に、仙台銀行のATMコーナーがある。北山支店(219)北仙台出張所となってはいるが、かつてはこの位置に北仙台支店が所在していた。文献などで確認していないので確かなことは言えないが、現在欠番となっている幻の店舗コード「222」は、この北仙台支店のものだった可能性が高そうだ。
奥州街道との交差点を渡り仙山線の南側に沿って細道を進んだ後、ガードをくぐって仙山線の北側へと出る。ここから先は仙台市中心部と中山、桜ヶ丘など市北西部とをアクセスする幹線道路なのだが、幅員が異常に狭く、しかも歩道が設けられていない。当然というべきか今の時間帯はクルマは大渋滞で、歩行者や自転車は狭い路肩から車道にはみ出して通行せざるを得ない。そんな状況が、北仙台駅から1キロ以上離れた七十七銀行荒巻支店付近まで続いている。
酷い。この一言に尽きる。11月18日に訪れた旭ヶ丘から小松島にかけての一帯や11月22日に訪れた向山にも言えることだが、仙台の道路網は中心部や近郊の住宅地についてはよくできているけれど、その中間には整備状況が極めてよろしくない場所が多いと思う。
しかし、この地域に関して言えば、仙台市の側も手をこまねいている訳ではなく、仙台市北西部と中心部とを結ぶ都市計画道路北四番丁大衡線(県道大衡仙台線)の整備が進められている。仙山線のすぐ北側に位置する荒巻小学校付近以北は4車線の道路が完成しており、現在は仙山線とその南側に位置する北山霊園とをまとめてアンダークロスするトンネルが建設中。来年には完成の運びとなるとのことで、完成の暁には北仙台から荒巻にかけての大渋滞はかなり緩和されるはずだ。
北四番丁大衡線との交差点を過ぎた辺りから、土地に余裕ができたのか、ようやく歩道が登場する。沿道にはヨークベニマル、TSUTAYA、西松屋ツルハドラッグとロードサイドショップも現れるが、この辺りから緩やかに登り勾配となり、その名も中山入口というバス停を過ぎると更に急坂へと変わる。いよいよここから中山の住宅街かと気が引き締まる。
ところが、急坂が落ち着いたところで現れたのは、なかやま商店街と銘打った商店街。仙台近辺において計画的に宅地開発された地域の商店街としては泉区南光台の四条通りと並んで規模の大きいものであり、南光台共々振興組合も組織されているほどだ。
中山支店は、そのほぼ中央に位置している。時計を見ると8時42分を指しており、玄関のシャッターはまだ閉まっていた。ATMコーナーは8時45分に開くはずなので、店の周りをうろつきながら待つことにする。
ところが、8時45分になってもシャッターが開かない。どういうことなんだろうと不審に思う。店内に行員がいるはずので裏口から入って問い合わせようかと思った矢先、ようやくシャッターが開いた。8時47分のことであった。
開店時刻になってもシャッターが開かないなんて、前代未聞のことだ。ATMの開店待ちは東邦銀行でも何度か経験しているけれど、どの店舗でも所定の時刻きっかりにシャッターが開いていた。仙台銀行はちょっと弛んでいるんじゃないかと思う。宮城県内において七十七銀行に押されっぱなしなのも、ある意味当然じゃないかとも感じる。なお、その七十七銀行は、商店街の北西端近くに大規模な研修所を構えている。
東北電力研究開発センターの前で商店街は尽き、一戸建てや集合住宅が建ち並ぶ一角を過ぎると、主要地方道台北環状線との交差点。この道路の沿道はロードサイドショップの集積が著しく、仙台市北西部における一大商業集積ゾーンとなっている。今後の動静によっては、なかやま商店街の趨勢にも影響を与えるようにも感じる。なお、仙台北環状線の少し手前で、行政区画が青葉区から泉区へと変わる。
その中核をなしているジャスコ仙台中山店の脇を通過すると目の前に登場するのが、巨大な仙台大観音。正式名称を仙臺天道白衣大觀音というこの像は、周辺の住宅地を開発したディベロッパーの経営者が1989年の仙台市制100周年を記念して起工し、翌々年の1991年に完成させたという経緯を有している。同時期このディベロッパーが周辺にホテルやゴルフ場をオープンさせたことからこの一帯は一時リゾートゾーンと化したが、2000年代に入ってディベロッパーが経営破綻。ホテルもゴルフ場も人手に渡り、仙台大観音だけがディベロッパーが設立した宗教法人によって管理されている状況だ。
だから、仙台大観音は、所詮「バブルの塔」。仙台大観音が設立された背景にはディベロッパーの経営者の信仰上の理由があるとのことだが、そんなにバカでかい観音様を建立せずにつつましく信仰を続けていれば、会社だって経営破綻せずに済んだのにと思う。住宅が建ち並ぶ周囲の風景からも相当浮いているし美観上も好ましくない構造物だから、尚更そう思う。