2010年12月17日 ~仙台銀行支店巡礼⑧ 泉ヶ丘支店・桜ヶ丘支店(前半)~

2010年もあと半月を切った。
今年中にあと何回歩けるか、指折り数えてみる。
今日と…せいぜいあと1回だろうか。やはり、今年は宮城町支店(220)辺りまでしか歩けそうになさそうだ。
だからこそ、残り少ない2010年の散歩を、堪能したいと考える。今日の散歩は泉中央駅から泉ヶ丘(217)、桜ヶ丘(218)の両支店を訪問し、北山駅まで歩く予定。前回の散歩は泉区の南方にある仙台東口支店(215)をボトムとした袋状のルートだったが、今回は仙台東口とは逆方向の北に位置する泉ヶ丘をボトムとした袋状のルートとなる。北山駅仙台城下町の北端近くに位置しているものの、今日のルートの大半は丘陵に面した住宅地。前々回から似たような地域ばかり歩いておりいささか食傷気味ではあるが、歩くことによって新たな発見もあるだろうと期待を込めて、桑折駅発6時29分の下り始発列車に乗車する。
今日は、仙台駅で地下鉄に乗り換えた。地下鉄に揺られて起点の泉中央駅に着いたのは、8時05分前後のことだったと思う。
改札を出、ペデストリアンデッキへと出る。ここから奥州街道七北田宿までは、前回の散歩で歩いた泉ヶ岳通り(主要地方道泉塩釜線)の一本北を通るすいせん通りという遊歩道を歩く。泉中央の街はロードサイドショップばかりが目立つイメージがあったが、こういった道もあることを初めて知る。クルマの通行がないので裏道っぽい雰囲気が漂うものの、泉中央駅の利用者とおぼしき通勤客が慌ただしく行き交い、それなりの賑わいを見せている。
そんな一帯を漫然と歩いていると、突然「おはようございます!」と元気な声を掛けられる。見ると、地元の七北田小学生の集団が、道行く人に対してあいさつ運動のようなことをやっている。結構なことだと思うが、挨拶された大人の側の対応が総じて冷たく、酷いのになると無視して通り過ぎていく人もいた。私もまた軽い会釈程度しか交わさなかったので反省すべきだと思っているが、学習すべきは大人の方なのかもしれない。
七北田宿からは奥州街道を北上。将監団地の東端を通過し、仙台バイパスへと出る。ここから次の宿場町である富谷町富谷までの約7キロの間、奥州街道仙台バイパスの下敷きになってしまっている。左右は東側も西側も宅地開発が進む丘陵だが、奥州街道仙台バイパスの沿道は要害川の谷底であり、住宅もあまり張り付いていない。
一方丘陵の側に目を移すと、将監や向陽台のように1960年代から70年代にかけて造成された老舗の住宅地がある一方で、その北側には将監殿(しょうげんとの)や明石南(あかいしみなみ)などこの10年ほどで開発が進んだ新しい住宅地も存在する。
そして、東北自動車道インターチェンジの真下を通過した先、東側の丘陵に登場するのが、仙台泉インターシティ。この5年ほどで造成、開発が進んだニュータウンで、住宅地だけでなく事業用地も分譲されているのが特徴。イーグルスの二軍練習場や選手寮がある他、イオンショッピングセンター、ケーズデンキホームセンタームサシといった規模の大きいロードサイドショップ、東京エレクトロンなどの工場の進出が見られる。今後の発展も期待できそうな地域なので仙台バイパスから外れて歩いてみたのだが、丘陵上に位置するのに加えて個々の事業所の建物に比して区画が大きいため、今の時期は吹きっ晒しで泉中央に比べると非常に寒さがこたえる。両手をポケットに突っ込むが、それでもまだ寒い。手袋を持参してこなかったのを後悔する。
仙台泉インターシティのメインストリートは、緩やかな勾配とカーブを描きながら北上し、仙台バイパスに合流する。バイパスの対岸はもう泉区北端に位置する泉ヶ丘の住宅地だが、驚いたことに合流点が交差点になっておらず、バイパスを横断することができない。いったいどういう理由でそうなってしまったのだろう。交差点を求めて仕方なくバイパスを北上していたら、なんと富谷町へと入ってしまった。
でも、富谷町に入るのは、既定の行動でもある。非常にややこしいのだが、泉ヶ丘支店は、富谷町南端で泉ヶ丘と境を接している住宅地・富ヶ丘に所在するのである。泉ヶ丘と富ヶ丘は、元々1960年代から70年代にかけて一体となって開発された住宅地であり、ネーミングは泉区(開発当時は泉町ないしは泉市)にあるから泉ヶ丘、富谷町にあるから富ヶ丘という至極単純なものだったりする。
このように、自治体の境界を跨いで開発された住宅地は泉区から富谷町、大和町にかけて多く、先ほど仙台バイパスから仰ぎ見た明石南は富谷町明石台と一体になったグランヒル明石台という住宅地だし、富ヶ丘の北にはパルタウン大富(たいとみ。なお、この名は両町の頭文字を合成したものである)やハーモニータウン杜のまちといった、富谷町と大和町とに跨る住宅地が開発されている。パルタウン大富には大富支店(224)が所在するので、来年早々に予定している訪問時には、これらの住宅地も訪れることができるかと思う。
話を散歩に戻すと、富谷町に入って300メートルほど、広大な敷地を有するジャスコ富谷店の前で、ようやく交差点にたどり着いた。ここでバイパスを渡り、富ヶ丘へと入る。古ぼけた住宅が建ち並ぶばかりだと思っていたのだが、近年リニューアルされたと思しき家屋も意外に多く、年季をあまり感じさせない。また、住宅地内のメインストリートに商店街が形成されているのが、興味深く感じた。飲食店の比率が高く、特に「網地島(あじしま)拉麺」の看板を掲げたラーメン屋の看板に惹かれる。牡鹿半島沖に浮かぶ網地島の海の幸とラーメンとのコラボってどんなものなんだろう。今日は無理だが、いつか時間を割いて、食べに行きたいな…と思う。
泉ヶ丘支店は、そんな商店街の一角にあった。仙台銀行の建物は総じて古ぼけた建物が多いのだが、ここの建物は比較的新しいというか、手入れがしっかり行き届いている感じがする。店内に入ってみると、9時の開店からそんなに経っていないというのにお客さんが数人入っており、窓口から呼ばれるのを待っていた。この界隈には七十七銀行杜の都信用金庫も出店していないので、泉ヶ丘支店が地域に密着した金融機関として確固たる地位を築いているのだろう。
ATMで入金後店を辞し、桜ヶ丘支店方面へと歩く。まず西進すると、右手にベルサンピアみやぎ泉というスポーツ・レジャー施設の建物が見えてくる。以前は宮城厚生年金スポーツセンター(ウェルサンピアみやぎ泉)と名乗っていたが、近年地元大手企業のバイタルネットの傘下に入り改称したとのこと。地元ではスケートスポットとしても知られるこの施設の住所は、泉区でも富谷町でもなく、なんと大和町となっているから面白いところ。正門から数歩だけ中に入ってみる。詐欺のようだが、これで大和町にも足を踏み入れたことになる。
そのベルサンピアみやぎ泉とは反対の左側に目を移すと、すぐ近くの高台に幾棟かの工場の建物があるのが目に入る。これらは泉パークタウン工業流通団地の工場群。まずはここを目指す。直線距離が近い割には直結する道路がなく多少難儀したが、10分ほど右往左往した結果、ようやくたどり着くことができた。
泉ヶ丘方面から見た時は建物ばかりが目についたのでそうは感じれらなかったのだが、泉パークタウン工業流通団地の内部は、いずれの工場も建物に比べて敷地面積が広く、樹木も豊富に植えられている。仙台の例で言えば宮城野区日の出町や扇町といった工業地域一般に見られるようなゴミゴミした雰囲気は、全く感じられない。公害とも無縁な雰囲気の快適な環境で仕事が捗りそうだなとは思うが、その一方で区域内には商店が一軒もなく、俗世間から隔絶されたような雰囲気も感じる。