2011年1月16日 ~仙台銀行支店巡礼⑫ 松陵支店・大富支店(前半)~

ここ数回の散歩における傾向なのだが、散歩直前に雪が降ることが多い。今回もまた然り。前夜に降った雪で、自宅の周囲は数センチの積雪となっている。
本当に散歩に行けるのだろうかとその度不安に襲われるのだが、今日の仙台の天気は何と晴れだという。それを信じて、いつものように桑折駅発6時29分の下り始発電車で出発した。仙台駅で乗り換えて、今日の散歩の起点である東仙台駅に着いたのは、7時50分のこと。予報通り晴天で、積雪の方も、日陰が若干アイスバーン気味になっている他はすっかり溶けており、散歩に支障はなさそうに思えた。
今日は、松陵(223)、大富(224)の両支店を訪問する予定を立てている。松陵支店は泉区、大富支店は富谷町と大和町の境界にあり、正直言ってこれらの支店をひとまとめに訪れるのは至難の業と言える。散歩時間も4時間を超える可能性が高そうだ。
まずは、駅前から利府街道(主要地方道仙台松島線)を渡り、ダラダラとした登り坂を北上する。登りきると、鶴ヶ谷団地。12月13日に南光台支店(216)を訪れた時に通過して以来の来訪だ。建築から30年から40年は経たとおぼしきいささかくたびれた感のある集合住宅や一戸建住宅が建ち並ぶ様子が印象的だった。ただし、一戸建住宅に関して言えば、同時期に開発された南光台辺りに比べると、区画が広いような気がする。そのせいかどうかわからないけれど、かつて建っていた一戸建を取り壊してアパートを建て直す事例も見られるようだ。
文字通り団地の中央に位置する鶴ヶ谷中央公園の敷地を掠め、更に北上。団地の縁は急激な下り坂となっており、残雪がある歩道を歩く際は細心の注意が必要となる。下りきると、七北田川沿いの低地。南東方向から延びている仙台バイパスをアンダークロスし、七北田川に架かる宝堰橋を渡る。渡った先には、高さ100メートルの大煙突を備えた松森清掃工場が聳えている。
そしてその後方の丘陵には、松陵支店、鶴が丘出張所(234)と仙台銀行の支店・出張所が二店舗所在する泉区東部の住宅地群が控えている。この界隈には七十七銀行が進出していないので、ちょっと嬉しく感じる。
前回歩いた八木山界隈同様ここもまた斜面いっぱいに住宅地が広がる「家波」なのだが、1990年代には一通りの開発が終了したこともあり、現在は住民の高齢化や減少が進行中だという。松陵、鶴が丘ともに二つの小学校を擁するがそれぞれ一つに統合する計画があり、更に松陵と鶴が丘に一校ずつある中学校も統合されるかもしれないとのことだ。
主要地方道泉塩釜線を渡り、その丘陵へと分け入る。松陵への入口は仙台バイパスからさほど離れていない位置にある宮城県運転免許センターの前から延びている4車線道路を北上すれば良いのだが、天邪鬼な私は、松陵と鶴が丘の中間に位置する谷底を分け入って延びている細道を歩くことにした。この道路の沿道には古くからの集落が残っており、整然と整備された住宅地とはまた違った趣を感じる。
この細道を1キロほど歩くと、行く手を遮るように前方に公園が登場。所々に石段が設けられた園内の散策路を歩ききると4車線道路との交差点に差し掛かり、渡った先はもう松陵支店の真ん前。玄関前の壁面に「SENDAI BANK」と大書されているのが目立つ建物だ。
時計を見ると、なんと9時ジャスト。今日は日曜日だからちょうど今、ATMコーナーが開いたばかりである。だから、恐らく一番乗りの入店であったろう。広々としたコーナー内には、3台のATM。他店舗だと1~2台のケースが殆どなのだが、主力支店として開設したのだろうか。先ほど見た「SENDAI BANK」の文字といい、気合が入っている。
いつものように1,000円を入金。店舗コード欄に「223」の文字が入る。その上には前回の散歩で訪れた長町南支店の店舗コードである221の数字。ゾロ目となる店舗コード222が欠番というのが、少し悔しい。
さて、次の目標は大富支店。まず4車線道路を北上。松陵という住宅地に限定された道路としては不似合いに幅が広いが、実はこの道路は、仙台駅東口近辺でチマチマと延伸工事が進捗中の都市計画道路宮沢根白石線の一部。だから全通の暁には往来がグンと増えるのであろうが、現時点では松陵の北端でプツンと途切れた状態になっている。
松陵の中核をなしているスーパー・ヤマザワの前で左折。町名に相応しく松の街路樹が植えられた道を1キロ近く歩くと、向陽台へと入る。鶴ヶ谷と同時期の1970年代に開発された住宅地で、開発区域が泉区と富谷町とに跨っているのが特徴だ。境界線は歩道のない2車線道路。左側は泉区向陽台、右側は富谷町東向陽台という奇妙な一帯を歩いてみる。自治体は違えど風景はいずれも似たようなものであり、鶴ヶ谷より区画が狭いふた昔前の住宅地という雰囲気であった。
ただし、自治体が異なれば、当然、通学する小中学校の学区も異なる。泉区側も富谷町側も、小中学校双方が設けられている。若干非効率な感がなくもないのだが、1990年代から2000年代にかけて、向陽台の西側に明石台という、これまた向陽台同様泉区と富谷町に跨った(町名は泉区明石南、富谷町明石台)住宅地が開発されたので、幸い松陵や鶴が丘のような生徒数の激減には至っていないようだ。
その明石台へと入る。メインストリートはこちらも4車線道路で、しかも松陵で途切れている宮沢根白石線なのだという。なお、明石台で再開したこの道路は北西へと延びており、12月17日に泉ヶ丘支店(217)を訪れた際に通った仙台泉インターシティを経由して仙台バイパスへと至り、そこから更に西側は県道泉ヶ丘熊ヶ根線となって泉パークタウンへと至っている。この間オール4車線で、泉区北部及び富谷町南部における東西軸として機能している。
そんなロケーションだからか、沿道にはロードサイドショップも展開している。目を引いたのは広大な敷地を誇るみやぎ生協の店舗だったのだが、個人的には、その少し手前に荘内銀行の店舗があったのが気になった。荘内銀行といえば仙台都市圏内に点在する大型ショッピングセンター内にインストアブランチを続々と開店させているイメージが強いのだが、明石台では普通に単独で店舗が設けられているのだ。
その荘内銀行をはじめ、岩手銀行北日本銀行山形銀行きらやか銀行と、ここ数年、隣県の各行がこぞって仙台都市圏への集中出店を図っている。いや、近県どころか静岡県が地盤のスルガ銀行までもが出店したというから、仙台都市圏は金融マーケットとして有望な地域なのだろうか。調べてみると、どうやら各行の狙いは、主として個人ローン契約の獲得であるらしい。富谷町の属する黒川郡では相模原市から移転したセントラル自動車の工場が今年から本格稼働を始めたし、他にも企業進出の話が相次いでいるから、確かにその手の需要は少なくないだろう。
迎え撃つ地元行のうち七十七銀行は明石台に支店を新設するなど一定の対抗策を講じているが、仙台銀行は新規出店が見られないまま現在に至っている。岩手、山形の両行が出店を果たしている泉中央にすら、未だ出店していない状況なのである。ここ数回の散歩では斬新なデザインの店舗がいくつか見られ、仙台銀行の元気な部分を見たような気になっていたのだが、いきなり厳しい現実を突き付けられ、少し気分が滅入る。