2011年1月16日 ~仙台銀行支店巡礼⑫ 松陵支店・大富支店(後半)~

明石台の住宅街が尽きると、その先は谷となっている。谷底には東北自動車道が通っており、宮沢根白石線は陸橋でその上を跨いでいる。この辺りの住所は一応富谷町であるが泉区との境界が入り組んでいる一帯でもあり、イオン仙台泉大沢ショッピングセンターやホームセンタームサシ仙台泉店など、仙台泉インターシティ内の巨大店舗のすぐそばを通ることになる。
そのホームセンタームサシの手前にある交差点を右折し、再び北上。上桜木、大清水といった、ここ5年ほどの間に開発された住宅街を歩く。上桜木と大清水との境界付近には、イオン富谷ショッピングセンターがある。先ほどイオンの前を通ったばかりだというのに、またイオンか。仙台泉大沢はマックスバリュ、富谷はジャスコと各店舗こそ違うものの、同一企業グループ内での集中出店にはいささか辟易する。なお、イオン富谷ショッピングセンターの一角には、109シネマズ富谷がある。そう言えば、仙台近郊のシネコンも、ここ数年でグッと増えたような気がする。
分譲中とおぼしき更地がまだ目立つ大清水、更に1980年代に開発された住宅地・あけの平を通り、これらの住宅地の西側を縦貫している国道4号線へと出る。更にその西側の丘陵に、大富支店の所在するパルタウン大富が展開している。大富(たいとみ)とは重箱読みでちょっと変わった名前だが、ここもまた、大和町と富谷町とに跨って開発された住宅地であり、両町の名前の頭文字をとって命名されたものである。1980年代後半から1990年代にかけて開発された住宅地だ。
なお、町名に関しては大富の名は採用されておらず、富谷町側は日吉台大和町側はもみじヶ丘となっている。日吉台は、近くにある日吉神社に因んだもの。国道から大富へと分岐している道路が丘陵へと差し掛かる直前で、壁が緑色に塗られた神社らしからぬ外観の社殿を、拝むことができる。
坂を登ると、大富の街並みが見えてくる。特にどうということのない住宅地で、その中央、富谷町と大和町との境界付近に、大富支店がある。道路を挟んで向かい側には、七十七銀行のキャッシュコーナー。明石台で仙台銀行の不在を嘆いたのをすっかり忘れ、大富での仙台銀行優勢の様子に心の中でバンザイする。
ATMで用を済ませ、町境を跨ぐ。もみじヶ丘の町名は、大和町の町木がもみじであることに因む。街路樹にももみじが植えられている。そう言えば、大富支店の外観にも、一部でもみじを象った装飾がなされていたかもしれない。
ところが、住宅地内にある小学校の名前は、もみじヶ丘小学校でも大富小学校でもなく、小野小学校という。小野とはもみじヶ丘周辺の大字名であるが、そもそもこの小学校は、付近にあった宮床小学校小野分校がもみじヶ丘に移転した上1991年に独立した小学校として開校した経緯を有している。
かつて分校があった場所は、確かもみじヶ丘の西側、県道大衡仙台線の沿道だったと記憶している。その様子が伺えるだろうか。丘陵を下り、県道まで出てみた。県道の周囲は、左右を丘陵に阻まれた農村地帯。ところが、県道自体は最近4車線に拡張されたようだ。分校跡地もどこだかわからずじまいであった。
それにしても過分に幅が広い道路である。どこにそのような道路を通す必要があるのだろう。そう思いながら県道を仙台方面へと進んでいると、左手に広大な工業用地が登場する。こんな工業用地、自宅にある地図にはなかったぞと思って県道を更に歩いていると、どうやらこの用地は宮城県が開発した大和リサーチパークという分城工業団地であり、その中のとりわけ広い区画には東京エレクトロンATの工場が進出し、今年中に稼働を始めるとのことらしい。県道沿いには「歓迎 東京エレクトロンAT様 大和町」との立看板も見られる。
工業用地が尽きると緩やかな登り坂。その途中で、仙台市泉区へ再突入となる。
この時点で、散歩開始から3時間半が経過していた。4時間を超える散歩は覚悟の上であったが、そんな長時間散歩はここしばらく行っていなかったので、さすがに疲れ始めてきた。喉が渇く。どこかに自動販売機はないだろうかと探すが、そんなものは見当たらない。そうこうしているうちに、泉ヶ丘支店を訪れた直後にも経由した、泉パークタウン工業流通団地の中へと入ってしまう。平日であればクルマの通行も人通りもそこそこあるのだろうが、今日は日曜日なので実に閑散としたもの。自動販売機はここでも見つからない。心が乱れそうになってくる。
それでも気を取り直して前へと進む。工業団地を通過した先は、今回の散歩で何度も歩いた宮沢根白石線の延長路である県道泉ヶ丘熊ヶ根線。基幹道路だけあって、クルマの通行が非常に多い。ここに至るまで通行量に比べて幅員が異様に広い道路ばかり歩いてきたこともあり、妙な安心感を覚える。
が、この道路も東へとちょっと歩いただけでサヨウナラ。道路名ともなっている泉ヶ丘に入る手前で右手から分岐している石段を降り、谷底を通っている2車線の道を南下する。左手には泉ヶ丘の住宅群が、何もそんな所にまで建てなくてもいいじゃないかと思うぐらい急斜面ギリギリの場所にまで建て込んでいる。
前方には国道4号線が見えているのだが、その直前で右折し、細道へと入る。この道は東北自動車道をオーバークロスし、その向こうの丘陵へと消えている。丘陵上には、将監支店(214)が所在する将監団地の北側に2000年代になってから開発された将監殿という住宅地が展開している。当然ながら住宅はまだ真新しく、「分譲中」の幟が掲げられた更地もかなり目立つ地域だ。そのほぼ中央に、ヨークベニマルが店舗を構えており、郡山の八山田界隈のような雰囲気も若干漂っている。
ところが将監殿を通り抜けて将監に入ると、街の表情が一変する。今日の散歩の序盤で訪れた鶴ヶ谷と同じく古ぼけた集合住宅及び一戸建が目立ち、瑞々しさがまったく感じられないのが淋しい。特に集合住宅に関しては、全面的なリニューアルが必要になるのではなかろうかと思う。
ここで時計を確認すると、既に正午を過ぎている。ここから泉中央駅までは1キロ強の距離。長かった散歩もいよいよラストスパートだ。将監団地の丘陵を下ると商店街が展開する泉中央の街並みに入り、イズミティ21泉区役所の間を通り抜けて12時30分ジャストに、泉中央駅着。散歩時間は4時間40分と、仙台銀行支店巡礼では断トツの最長記録と相成った。