2011年11月6日 ~奥州街道を南下する② 岩沼から大河原まで~

このところ、散歩に出掛けるペースが、鈍っているように思う。
前回は10月27日だったし、前々回は10月19日。休日があっても所用が入ってしまい思うように歩けなかったせいもあるが、このままではいけないと感じる。
だから今日は絶対散歩に出掛けたかったのだが、折悪いことに、降水確率が70%という。小雨程度なら平気で出掛けてしまう私であるが、なにぶん季節は晩秋に差し掛かっている。雨に当たることで思わぬ体調悪化をもたらしかねない。
そんなこんなで、前日の晩から、空模様とにらめっこの状態が続く。霧雨のような細い雨が降ったり止んだりという状態であった。
 
夜が明けた。
路面は湿り、濃い霧がかかっていたが、雨は降っていなかった。
思い切って、散歩に行こうと思う。
桑折駅6時30分発の下り始発電車に乗り、前回の散歩の終点であった岩沼駅へと向かう。
もっとも、出先で雨が強くなれば、散歩を諦め引き返すつもりであった。だから、車窓に目を凝らす。白石、大河原、船岡… 岩沼に近づいても、天候には特段の変化が見られない。濃霧はなかなか消えないものの、致命的な降雨はないようだ。路面は生乾きといったところか。
結局岩沼でも似たような状況のまま、7時17分に駅へと到着。改札を出、奥州街道へと歩を進める。
 
岩沼宿を起源とする岩沼市の中心街は、9月18日に歩いたばかりである。だから今日訪れても特段の発見はない。ただ、残暑が厳しかった前回の来訪時と今にも雨が降りそうな今回の来訪時とを比べて、季節の進み具合の速さを感じるのみである。
竹駒神社の門前を通り過ぎると、奥州街道陸前浜街道と分岐する。旧家が建ち並ぶ家並みの中に、五城信用組合岩沼支店の建物があった。五城信用組合は、わずか三つしか店舗を有さない小さな信用組合。ホームページすら設けられていない。本店所在地は岩沼市の南西13キロほどの所にある大河原町である。今日の散歩ではこの大河原町を通過し、最低でも北白河駅まで歩いてみたい。が、天候が許してくれるかどうか。
日本製紙岩沼工場へと至る貨物線の踏切を渡ると住宅地が尽き、田んぼの中へと出る。常磐線がオーバークロスして左手へと消えていき、代わりに阿武隈川の堤防が近づいてくると、岩沼市南端に位置する玉崎の集落へと入る。家並みは街道に沿って展開しており、間宿(あいのしゅく)の機能を担っていたとの話も耳にする。また、阿武隈川の河港でもあったようだ。
家並みが尽きると堤防がかなり近づく。右手からは国道4号線も接近し、奥州街道と合流する。この辺りで行政区画も柴田町へと変わる。柴田町内の国道4号線から槻木宿を起源とする槻木の町並みにかけてもまた、9月18日の散歩で訪れた。だから沿道を見る目にも気合が入らない。もっとも、濃霧の中だから、遠方の眺望は全くきかないのだが。
槻木の町を通過し、白石川に架かる白幡橋の北詰で右折する。奥州街道はここから白石城下の直前まで、ほぼ白石川の北岸に沿って進む。柴田町内に関して言えば街道のルートはほぼ残っているが右に左にカーブしており、ほぼ一直線に町の東西を貫いている国道4号線柴田バイパスに絡みついたような形になっている。特に槻木から東船迫にかけてはバイパスの築堤の脇をみじめに平行する隘路であり、その歴史的役割に見合った敬意が払われていないのが残念なところ。
が、東船迫に入ると、状況は一変する。この界隈は近年土地区画整理事業で宅地化が進んだ所だが、奥州街道を地域のメインストリートとして遇しているのだ。その名もズバリ「奥州街道通り」。語呂的には多少変な感じがするが、向こう数十年にわたってその地位は安泰だろうなと将来に想像をめぐらせたくなる。
東船迫を過ぎると、国道4号線との交差点。奥州街道を歩く際にはいつもこの交差点で2分程度待たされるが、今日は運良く待ち時間なしで渡ることができた。が、実はこれが不運の始まりだったのか、交差点を過ぎてしばらく経った辺りで雨が降り出して来た。しかも、ザーザ-降りではなく霧雨状に細かく降る雨だから始末が悪い。路面がなかなか濡れないから、もっと先へ進めるはずだとついつい期待を抱いてしまう。
クランクがやたらと多い船迫の宿場町を通り抜け、再び国道4号線との交差点を渡る。ここからちょっと南に歩いて白石川を渡れば船岡駅のはずだが、この時点で散歩開始から2時間が経過したばかりとあって、躊躇なく通過する。イオン船岡店の裏手を通り抜けると奥州街道と国道とが再び合流。この辺りで、少しだけ村田町を掠める。左手には白石川の堤防も近づいている。川向いの丘陵は船岡城址公園で頂上には観音像が建っているはずだが、霧が濃くて全く見えやしない。
国道から左に別れ、松尾川に架かる韮神橋を渡ると、大河原町に入る。橋を渡った先の桜町地区は宅地化が進み、奥州街道がどこを通っているのか判然としない。東船迫とは違い薄情だなと思う。
住宅街を通り抜け、六叉路という非常に珍しい交差点を通り抜けると、大河原宿を起源とする大河原町の中心街。宮城県南部を代表する商業都市として発展した経緯を有するだけに、街道沿いには延々と商店が続いている。商都の中心的役割こそ国道沿いのロードサイドショップに譲った感があるが、往年の貫録はそれなりに感じる街並みだ。
雨は激しくこそなりはしないものの、相変わらず降り続けている。止む保証は全くない。この先歩き続けて良いものか。商店街を歩きながら、今日はこの辺で散歩を切り上げてもいいじゃないかと思う。多少逡巡した結果、大河原駅でピリオドということにした。時計を見ると、10時を少し過ぎたところ。目安としていた歩行時間3時間には多少足りないが、小雨の中ここまで歩いたのだから、OKということにしよう。
県道大河原停車場線との交差点を左折し、白石川に架かる尾形橋を渡って大河原駅へと向かう。商店街と駅とを結ぶメインルートでもある尾形橋だが、散歩で渡ったのは意外にも初めてのことだった。
10時11分、大河原駅着。