2012年8月21日 ~青春18きっぷで日光旅行 その2~

杉木立に囲まれた社寺の境内へと入ると、それまでグロッキー気味だった子供達の足取りが、急に軽やかになった。小走りしながら石段を駆け上がっていく。一方、アラフォーの我々夫婦は、ゆっくりと石段を登る。
石段を登りながら、広い境内のどこを選んで回るか、いろいろと考えを巡らせていた。一般的には東照宮二荒山神社、日光山輪王寺の二社一寺を回るパターンが多いようであり一枚1,000円で共通拝観券も販売されているが、券売所の係員の方に訊いてみると、これらを全部回ると2時間前後はかかってしまうという。今回は鈍行列車利用の日帰り旅行だから、帰りの足についても頭に入れておかねばならない。子供達の体力も考えると、日光駅発14時20分の電車がリミット。昼食も摂らなければならないだろうし、見物だけに2時間もかけてはいられない。
夫婦で検討した結果、二荒山神社と日光山輪王寺の見物は諦め、東照宮のみを拝観することにした。ただし、共通拝観券では見ることができない眠り猫や奥宮、鳴竜も見られる拝観券を購入したので、代金は1,300円と余分にかかってしまった。
 
表門から入り、まず目に入ったのは、三猿の彫刻が施された神厩舎。著名なスポットだけあって、日本人白人問わず多くの観光客が見入っていた。
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鳴竜のある薬師堂の脇を通過し、陽明門をくぐる。撮影者が下手くそなので陰になって分かりづらいが、屋根の下には多彩な彫刻が施されており、眺めているだけでも飽きない。なお、彫刻自体は、入口よりも拝殿・本殿の内部から見た方が、きらびやかに感じるかもしれない。というか、各種ガイドブックでは入口側からの写真ばかりが掲載されるから、驚きや感動が倍加されるだけなのかもしれないが。
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拝殿・本殿を一通り見た後は、奥宮へと向かう。
まずは、眠り猫がお出迎え。意外に小さく、ズームを目いっぱいに設定して撮影したものだから、かなりぼやけた写真になってしまった。
なお、私の撮影した角度からだと、眠り猫と言うよりは獲物を狙っている猫のように見える。左甚五郎は、こういった視覚効果も狙って眠り猫を彫ったのであろうか。江戸時代の美術、技術のセンスに、思いを馳せてみる。
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眠り猫から奥宮までは、200段を超える長い長い石段が続いている。歩くだけで息が切れ、拝観券を買ったのを一瞬後悔しかける。
やっとの思いで登りきると、奥宮が登場。すぐ近くに休憩スペースがあり、ベンチとお茶のみが販売されている自動販売機が設けられている。
参拝前に家族でお茶を買って休憩していると、背後から「すいません、失礼します」と40代から50代とおぼしき体格の良い男性が迫ってきた。全部で50キロ前後はあっただろうか、お茶の缶の入った箱をいくつも背負っている。自動販売機への補充と一見してわかったが、こういった、まさに縁の下の力持ちの働きぶりを目の当たりにすると、今口にしているお茶の味も、多少違ったものに感じられる。妻などは、その男性に向かって「ごちそうさまでした。おいしかったです」とお礼を述べていた。
参拝済ませ、帰路でもまた、同じ男性が沢山の缶を背負って石段を登っていくのを目にした。平日とはいえ境内には沢山の観光客が詰めかけているし、なにぶんこの暑さだ。本当に大変な仕事だと思う。ごくごく自然に、男性に向けて会釈した。
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その後、鳴竜(撮影禁止なので写真なし)を見て、参拝は終了。日光の街に加えて境内も歩きまわって非常に疲れたので、帰りはタクシーで日光駅前へと戻った。
運転手が「中禅寺湖はいかがですか」などと勧めてくる。でも、今回での来訪は難しい。時計は間もなく正午を指すところ。お昼を食べてお土産を買って、それでサヨナラだ。東照宮は見たけれど、それでも日光の魅力のほんの一端に触れたに過ぎないというのが、微妙に悔しい。今度日光に行く~「来晃」とも呼ぶのだそうだ。洒落たネーミングだと思う~機会があったら、一泊以上の時間をかけて、心の底から「結構」と言えるぐらい堪能したいものである。