2013年4月16日 ~岡田訪問~

年度替りで何かと忙しく、前回の散歩から1ヶ月近く間があいてしまった。これではいけないなと思いつつ、久々に自宅を出発。桑折駅6時29分発の下り始発電車に乗り、向かった先は、前回の散歩の終点でもある仙石線福田町駅。8時06分の到着。
今回もまた、前回に引き続き、東日本大震災の被災地を見て回ろうかと考えている。向かった先は、前回訪れた仙台市宮城野区蒲生とは七北田川を挟んで対峙している同じ宮城野区内の岡田地区。田んぼが広がり宮城野区内でもあまり目立たない(失礼!)地域なのだが、ここもまた津波の被害が少なからずあったと耳にしている。
駅からは、国道45号線の南側に展開している福田町の商店街を歩く。いや、下の写真を見る限りでは、もはや商店街とは呼べないかもしれないが。仙台藩時代の足軽集落に端を発する福田町は仙台市役所の支所(現在は「発行証明センター」として機能)も所在し、1980年代まではそれなりの賑わいを見せていたものの、今はシャッターを閉める店舗も目立ち寂れ気味。加えて震災で被害を受けた家屋も少なくないらしく、更地もそこかしこに点在している有様だ。
 
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商店街を通り抜け、梅田川を渡って更に10分ほど歩くと、主要地方道仙台塩釜線(通称産業道路)へと差し掛かる、この道路を横断し、東へと進むと、岡田地区へと入る。
地区の西端に位置する上岡田集落には、賀茂皇大神社が鎮座している。ちょうど今度の土曜日、4月20日に春季例大祭が開催されるとのことで、境内および集落内のバス通りには、開催を告知する赤い幟が立ち並んでいた。
 
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地区内のメインストリートとも言えるバス通りは、右へ左へとクネクネ曲がっている。区画整理もされず、昔の道がそのまま残っているのだろう。下のURLで示される地図によると岡田もほぼ全域が津波で浸水したようであるが、少なくとも仙台塩釜線から2キロ程度海寄りの主要地方道塩釜亘理線の沿道付近までは、震災の爪跡らしいものはあまり残っていないようだ。ただし、集落内の複数の家屋や商店には「がんばっぺ 岡田」と描かれたポスターが掲げられており、相応の被害があったことは間違いないようだ。
 
 
地区のほぼ中央に、小学校がある。校庭に二宮金次郎銅像が立っていたので、スマホを向けてみる。この銅像があることで分かるように、岡田は宮城野区内でもそれなりの歴史を有するのだ。
 
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ところが、塩釜亘理線を渡ると、様相が変わってくる。
住所的には岡田ではなく(南)蒲生になる鍋沼集落に入ると、1階部分が津波にやられ柱が露出した住宅、あるいは再建中の住宅が点在するようになる。再建をあきらめ、土台だけ残して解体した住宅も少なくないようだった。 
ここでふと、疑問が頭をもたげる。確か塩釜亘理線の東側は災害危険区域として居住制限がなされているはずなのに、どうして住宅の再建が行われているのだろうかと… 帰宅後に調べてみると、どうやら塩釜亘理線自体が鍋沼の東側を通る形で作り直されるらしく、鍋沼もまた塩釜亘理線の西側という扱いになり災害危険区域から外されているらしい。新聞報道等によると元々いた場所に戻りたいという住民の要望があったとのことだが、仙台市側が強制移転に伴う補償をケチった結果と解釈できなくもなさそうだ。
集落の周囲には、震災以降荒れ放題となっているかつての田んぼが広がっていた。津波による塩害、更には排水機能の破壊により、当面耕作の再開はできないらしい。ちなみに、田んぼの向こうに見えている建物は、仙台市営の下水処理施設・南蒲生浄化センター。こちらもまた津波の被害が大きく、機能が完全に復旧するのはしばらく先の話になるようだ。
 
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鍋沼から、塩釜亘理線の旧道に沿ってしばらく南下してみる。こちらもまたクネクネ曲がりくねった道だが、被災の影響で住民が激減している今なお路線バスが営業を続けており、生活道路としての重要度はそれなりに高い。
鍋沼から1キロほど歩くと、新浜の集落に到着。「浜」の名前がつくものの漁業集落ではなく、海岸線からも1キロ以上離れている。が、津波の被害は岡田の中でも最も大きいようだ。更地の割合も、鍋沼よりずっと多い。
それでも、集落内にある寺院をはじめ、再建に向けて頑張っている人たちは少なくない。震災前の状態に戻すのは難しいかもしれないが、せめてコミュニティが維持できればいいな…と思う。
 
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新浜からは現・塩釜亘理線を北上し、仙台港の後背地を通って仙石線中野栄駅へと歩いた。仙台港周辺もまた津波の被害を大きく受けているが、再建もまた早く、被災前とさして変わらない佇まいを見せている。代表例として、キリンビール仙台工場と三井アウトレットパーク仙台港を、撮影してみた。
 
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三井アウトレットパーク仙台港から中野栄駅までは、徒歩7分程度。中野栄駅は1981年に東北地方初の橋上駅舎を有する駅として開設された経緯を有するが、その後も仙石線では仙台市中心部の地下化(2000年)也小鶴新田駅の開設(2004年)など仙台市内の駅舎のリニューアルや新設が相次いだため、真新しさは既に消え失せているように感じる。
次回の散歩はこの駅からどこへ歩こうか… そんなことを考えながら、階段へと向かった。
 
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