2012年4月13日 ~新企画は郵便局巡り(2) 伊達局・伏黒局(後半)~

伊達駅前からは、「ふれ愛通り」と銘打った、 広い通りが延びている。歩道には水辺空間があり、その一部では鯉が放流されている。駅前通りに鯉というのは、結構斬新なスタイルなんじゃないかと思う。
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ふれ愛通りを300メートルほど進むと、国道399号線に合流。西の飯坂温泉、東の伊達市保原町とを結ぶ街道でもあり、この街道沿いにかつて福島交通軌道線が走っていた経緯もあることから、奥州街道との十字路となる伊達町はハブとして賑わいを見せた。
写真は、そんな伊達町の中心商店街・天王通り(奥州街道)の様子。交差点の少し先には飯坂、保原両方向へと向かう軌道が分岐した「長岡分岐点」の跡がある。この名称は、今でも50代後半以上の方には通用する符牒のようだ。
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更に東へ200メートルほど進むと、国道4号線との交差点。伊達郵便局は、この交差点から100メートルほど国道4号線を北上した先にあった。新しくて大きな建物だ。20年ほど前に発行された地図を見ると、当時の伊達郵便局は国道399号線沿い、現在交番が建っている所の向かいにあったらしい。そう言えば、昔ながらの郵便局といった風情のある平屋の建物があったような気がしないでもない。
新しい局舎だからサービスも充実しているのだろう。中に入ると、何かのセールスと思しき男性が待ち構えていた。郵便局の中には、時折この手の人がいて、何やらかにやら勧めてくることがある。正直なことを言えば鬱陶しい。幸い私は声をかけられずに済んだのだが、あまりしつこくからまないで欲しいと願う次第である。
ATMで100円を入金し、再び国道399号線を東進する。
ほどなく、阿武隈川に架かる伊達橋が登場。車道橋と歩道橋とが大きく離れているのが特徴で、歩道橋はかつての軌道線の鉄橋を転用したものである。私は須賀川市の江持橋から下流に架かる徒歩通行が可能な阿武隈川の橋をすべて歩いて渡った経験があるが、車道橋と歩道橋とが離れている橋は、この伊達橋と角田市の東根橋ぐらいしかなかったかと思う。
福島市の松齢(しょうれい)橋と大仏(おさらぎ)橋のように近接していても別の名前の橋という例もあることを考えると、伊達橋もまた両橋を別の名前にした方がいいと思われるほどだが、仮にそうしてしまうと、クルマがひっきりなしに行き交う車道橋の方は正直渡る勇気がない。そんな訳で、伊達橋に関しては、名称に救われて渡ることができた橋という印象がある。
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伊達橋を渡った先は、旧伊達町の伏黒地区。睦合村などと同様に1950年代半ばの昭和の大合併で伊達町の一部となったが、その経緯が若干変わっていて、1956年に伏黒村が伊達町を編入し、翌年に伊達町と改称したとの由。うろ覚えの記憶なのだが、確か旧伊達町は信夫郡飯坂町(現・福島市)と、伏黒村は保原町との合併協議が進められていたものの双方とも拒否し、その拒否した者同士でくっついたという話だったかと思う。
だからという訳ではないと思うが、伏黒もまた、伊達町中心部と同様に、宅地が結構多い。ただし、従前からあった集落ではなく、以前は田んぼか果樹園だったとおぼしき所にスプロール現象的に新しい家屋が建っている印象だ。そう言えば、福島県全県で人口減少が進んでいる中で、旧伊達町は横ばいベースで推移している。住宅地としてそれなりに魅力のある地域なのだろう。
また、果樹園の木が根元から切り倒されている一角も見受けられた。これはどういうことだろう。新しい家がまた建つのだろうか。いや、伏黒は東北中央自動車道の経由予定地でもあるから、用地が買収されるのを見越して果樹栽培から撤退する人もいるのだろう。
国道399号線から離れ、伊達東小学校の前を通って、県道保原桑折線へと出る。途中で、飯舘村からの避難者が入居する仮設住宅が見えた。各地で見られるプレハブではなく、ロッジ風の建物が見られるのが特徴だ。「仮設」とは言え木のぬくもりが感じられるかどうかで居住性も違ってくるのではなかろうかと思うが、一方がロッジ風で他方がプレハブだと避難者間での格差を助長することになるのではないかとの批判もあるらしい。東日本大震災福島第一原発事故以降、福島県民は権利意識が敏感になってしまった気がする。何事にも鷹揚だった福島県民の特質が失われてしまったことこそが、震災や原発事故による最大の損失なのではなかろうか。
伏黒郵便局は、保原桑折線の沿道に建っていた。古くて小さな建物だがかつての集配局であり、独自の郵便番号960-05(伊達局は960-04)を有していた。伏黒村と伊達町との合併話も相俟って、伏黒のオリジナリティを見る思いがした。
ここでもATMで100円を入金し、あとは自宅へと戻ることにする。伊達橋で再び阿武隈川を渡り国道4号線に合流すると、ほどなくして桑折町に入る道路標識が目に入った。
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