2012年5月8日 ~新企画は郵便局巡り(6) 越河局(後半)~

貝田駅を過ぎるとすぐに宮城県との境界で、白石城が描かれた標識が登場する。
時計を見ると、8時10分を回ったばかり。当初の予定では8時25分から30分ぐらいに県境を通過する考えでいたのだが、予定が少し狂ってしまった。越河郵便局は県境から1キロも離れていない国道沿いにあるので、ATMが開く8時45分より30分近くも早着になってしまう。ちょっと困った。この辺でどこか暇を潰せるスポットはないだろうかと思案するものの、そんなものはありそうもなく、惰性で足を進めてしまう。
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県境を過ぎると、もう越河郵便局の看板が見えてきた。万事休すか。
が、その直前で、奥州街道が左手へと分岐している。苦し紛れに、私は奥州街道へと入ってみた。街道沿いは、越河の宿場町。これを堪能してから宿場町の北端にある越河小学校の付近で国道に出、今度は国道を南下して郵便局へと向かうことにした。なお、今日の散歩の終点は、越河小学校の更に北に位置する越河駅を予定している。従って、越河郵便局を出てから再び国道を北上し戻る形になってしまう。効率が悪いが致し方なかろう。
写真は、越河宿の様子。貝田宿に比べると大きな旧家が多く、道幅も広くて開放的な雰囲気がある。奥州街道における仙台藩最南端の宿場町らしく、藩外の人々の目に触れやすい部分を立派に取り繕おうとの、いわゆる「伊達の薄着」的な部分が前面に出た結果ではなかろうかと、勝手に推察を巡らせてみる。
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先述の通り、越河小学校の脇で国道に入り、南下して越河郵便局へ。到着した時にはATMが開く8時45分を過ぎていた。窓口は9時に始まるのでまだ開いていないが、女性局員が局内を清掃している様子がチラッと見えた。
100円を入金。同時に、「81097」という取扱店コードが記帳された。前回までの散歩で訪れた郵便局の取扱店コードは、すべて上二桁が「82」だった。「82」は福島県、「81」は宮城県の郵便局に付けられるコードとのこと。越河には果樹園も多く見た目における福島県との差異はあまり感じられないのだが、改めて、県境を越えたんだなという思いを強くする。
入金後は、反転して国道を北上。
同じ道を往復するのだからと周囲の風景を見る目にもあまり気合が入らずスマホをいじくりながらの行程だったのだが、周囲の田んぼをチラリと見ると、水が張られ、所々で代かきや田植えをしている姿が目についた。蛙の大合唱も聞こえてくる。ゴールデンウィークを過ぎると、季節は春から初夏へと急速に進む感じがする。
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越河小学校の前を再び通過し、更に国道を1キロほど北上すると、越河駅への入口に差し掛かる。この辺りには越河駅前郵便局という小さな郵便局があるのだが、ATMが設置されていないので立ち寄らない。簡易郵便局ではないのにATM未設置というのも珍しいが、そもそも越河ほどの規模の集落で郵便局が二つもあるというのが驚きだ。
その郵便局の前から細道を300メートルほど進むと、越河駅に到着。到着時刻は9時16分だが、桑折駅方面への上り電車は9時48分発と間があるので、誰もいない待合室でしばしまったりと過ごす。
室内に掲げられていた近距離きっぷ運賃表の地図を漫然と眺めていたら、妙なことに気がついた。
越河駅は、東北本線におけるSuica仙台エリアの北端・小牛田駅と、南端・矢吹駅とのちょうど中間に位置しているのだ。ちなみに、片道運賃はいずれも1,620円で、近距離(=100キロ以内)ギリギリのラインである。更に地図を見ると、同じくSuica仙台エリアの終端である磐越東線船引駅常磐線原ノ町駅も、片道1,620円。石巻市内の仙石線の駅こそ残念なことに近距離圏外だったのだが、Suica仙台エリアに属する大半の駅が、越河駅の近距離区間に入ってしまうのだ。
快速すら停まらない小さな無人駅だが、越河駅は南東北の中心地なのか… と妙に感心してしまった。もっとも、今後Suicaが利用可能なエリアは順次拡大されていくだろうから、その座はかりそめのものに過ぎないのであるが。
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