2012年6月1日 ~新企画は郵便局巡り(10) 丸森局・館山局(後半)~

さて、いよいよ丸森大橋である。 
まず驚かされたのは、その立派さ。先ほど通った丸森橋とは比べ物にならないぐらいだ。
ただし、通過車両は、それほど多いとは言えない。時計は午前9時を指しており通勤時間帯を過ぎたせいもあるのだろうが、そもそも丸森町を通過して北の角田市方面と南の相馬市方面とを直結する需要が少ないのかなと推察してしまう。両市の間にはそれなりの交流が存在しているとは思うのだが、いずれも人口3万人程度では、スケールメリットも期待できないのであろう。
開通翌日ということもあってか、付近に住んでいるとおぼしき年配女性の二人連れが、散歩がてらに橋を渡りに来ていた。私は橋を撮影したいので小走りで彼女たちを追い越してはパチリとやるのだが、その間に彼女たちが私を追い越していく。そんな妙ちきりんなデッドヒートが2、3回は続いたろうか。
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丸森大橋の北側は、丸森町舘矢間地区。阿武隈高地の北端に位置し山がちな丸森町においては珍しく平地が広がっている。今回の散歩の起点となった丸森駅もまたこの地区に所在するし、丸森大橋から延びるバイパスも整備されたことを考えると、今後この地区には小規模なロードサイドショップの拠点が形成される可能性があるようにも思う。
一方、バイパスのの西側を通っている旧国道(と言っても、舘矢間地区を通る旧国道は国道349号線を兼ねているのであるが)の方はというと、古めかしい住宅や廃屋と化した旧店舗が建ち並び、ややうらぶれた雰囲気。明と暗、陰と陽。旧国道沿道の方には申し訳ないけれど、そんな印象を受けた。そんな町並みの一角に、館山郵便局がある。表記が「舘矢間」ではなく「館山」なのには、若干の違和感を覚える。どうしてこのような表記になってしまったのだろうと疑問を感じつつ、通算21回目となる100円入金。
再び丸森橋北詰の交差点を通過し、今度は国道349号線伊達市方面に向けて西進する。主要地方道白石丸森線との分岐点までの6.5キロほどの区間は前回の散歩でも歩いた道だし、風景を見る目にも気合が入らない。いっそのこと丸森町内に残してきた未踏破の郵便局を制覇してから県道丸森梁川線経由で福島県入りしようかと思いかけるが、行き当たりばったりの行動をしてろくな目にあった試しがないので、思いとどまる。
ちなみに、丸森町内にある未踏破の郵便局は、国道113号線を相馬市方面に向かった先にある金山本郷、大内の両局と、町中心部から10キロ以上南に進んだ先の山中にある筆甫(ひっぽ)局。前2局は頑張れば行けそうだが、筆甫まで歩くのはちょっと難しそうだ。
話を国道349号線に戻すと、白石丸森線との分岐点から1キロほど進んだ先にある下小屋という集落から、センターラインも設けられていない狭隘区間に突入する。境界付近には「童子墓橋」という意味深なネーミングの小橋が架かっており、秘境のイメージを倍加させている。
沿道は、右側が崖交じりの急峻な勾配を擁する丘陵、左側が竹林そして阿武隈川という、いささか単調な風景。崖の法面には過去に発生した洪水の水位を示す標識が掲げられていた。「S61(1986).8.5洪水位」と書かれた標識が、飛びぬけて高い位置にある。この洪水では福島盆地の最底部にある伊達市梁川町で特に甚大な被害をもたらしたが、その梁川町から流れ出す水系は阿武隈川しか存在しないから、この辺りでも鉄砲水が押し寄せたものと思われる。過去にも何度も水害に襲われているのであろうか、川沿い(=国道沿い)には人家が殆ど見られない。
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一方、竹林の側だが、この辺りは「これよりたけのこ街道」の看板も見られるなどタケノコの一大産地として地元では知られている。が、福島第一原発事故の影響で、本年産のタケノコは出荷停止に追い込まれてしまったという。採取されることなく数メートルの高さまで伸びているタケノコを、何度か見かけた。
福島県に住んでいると、県外の放射線状況まではなかなか目が届かない。だから、こういった現実を見せつけられると、原発事故を起こした地域の人間として「申し訳ない」という気持ちが先に立ってしまう。
更に進むと、国道の上空を、羽出庭大橋の橋脚がが横切る地点に出る。大橋とは言っても歩道もセンターラインもなく他地域に出せば「小橋」の部類に入るだろうが、狭隘な国道を歩いてきた身からすると、それなりに「大橋」の風格を感じる。
なお、橋の対岸には農免道路が通っている。道幅は国道よりも広くセンターラインも引かれていたが、クルマの通行量は国道よりも少なかった。原付バイクとも一度すれ違ったが、トボトボ歩く私を怪訝そうな表情で覗きこんでくる。この地域からするとまったくのよそ者となる私は、どうやら闖入者でしかないようだ。
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そのまま農免道路を進むと、福島県との境界に差し掛かる。
もっとも、県境にはそれを示す標識がなく、伊達、丸森両市町の境界を示す標識だけが立っていた。ヒョイと隣町に入っていくような感覚である。
更に進むと、左手にはそれまでトンネルの中を通っていた阿武隈急行が姿を現し、右手には阿武隈川の水面が田畑や雑木林の中からチラチラと姿を見せるようになる。弘法の噴水とともに県境付近を流れる阿武隈河畔の名勝の一つである猿跳岩の姿も、しっかりみることができた。
 
正午目前の11時59分、兜駅に到着。何もない所だが、丸森駅から3時間半も歩いたので、ここで散歩を打ち切ることにしよう。
なお、この駅を発つ次の列車は、福島駅方面が12時50分発、槻木駅方面が12時58分発で、どちらにしても2時間近く待たなければならない。まあ、仕方がない。気長に待つとするか…
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(おまけ)
結局帰りは兜駅12時50分発の福島行の電車に乗り、伊達市内に買い物に出ていた妻に連絡して上保原駅で待ち合わせ、自宅まで送ってもらうことになった。
この仕打ち(?)に対し妻はちょっとご機嫌斜めだった模様で、私を待っている間に、自身のツイッター(URL : https://twitter.com/#!/sunflower01171)に、こんなツイートを残していた。
 
「人待ちなう。車んながには買ってがら30分もたづ、肉や牛乳、冷食がぁ~(T-T)もう待ってらんにはぁ~。」
「ガソリンいだましがったんだげんちょ、エアコンガンガンつけで耐えだ!匂いかいだら何とが食えそうだなぃ(-_-;)。凄い汗かいで現れだ待ちの人のほうが生臭がったなぃ(笑)。」
 
…待たせた上に生臭くて申し訳ない(苦笑)